ラッパーの般若を密着した番組が、ヒストリーチャンネルで12月30日・31日に放送される。音楽界で活躍する人々の知られざる創作の源に迫る新ドキュメンタリーシリーズ『MUSIC BEAN』の第1話に登場。ドキュメンタリーチームが、2019年1月11日に開催された般若初の武道館ワンマンライブの舞台裏に完全密着するとともに、本人や関係者のインタビューを通じて半生を振り返る。放送を控える般若にインタビューを実施、彼の考えに触れた。【取材・撮影=木村武雄】
人生は冗談「人生は冗談だと思っているんですよ。だって、こんな俺が武道館に立てるんだから。だから人生を楽しんでほしい。万人受けするつもりはないし、本当に苦しんでいる人に届いてくれたらそれでいい」
そう語るのは般若、41歳。日本のHIP HOPシーンを牽引する伝説のラッパーだ。“ラスボス”とも崇められ、不動の地位を確立した。
密着した『MUSIC BEAN』に映し出されるのは自身を追い込む姿だ。しかし彼は「仕事ですからね。深く考えていないですし、意識してない」とあっけらかん。だが照れ隠しのようにも見える。
自身に厳しいが人には優しい。常に同じ目線の高さにいる。「楽しむこと」。それが彼の人生の指針にもなっている。般若とはどういう男なのか。そして彼にとって日本武道館はどういう存在だったのか。 般若
失敗しても挑戦はしたい――日本武道館公演を成功させました。16歳でラップに興味を持ってステージに上がった青年は今を想像できていましたか?
いや、全然できていないと思います。もし想像出来たとしても「お前遅いだろう!」と(笑)。やっぱり日本武道館は、1回は立ちたいステージです。とにかく立ちたかった。でも俺にとってはあれがスタート。あのステージに立った時に自分が一人じゃないということをすごく感じました。流れていく時間が早いような遅いような不思議な感覚もあって、終わってほしくない気持ちでした。あの日を迎えるまでにつらいことがたくさんあったけど、やれて良かったし、みんなが足を運んでくれたことにすごく感謝しています。
――ライブの序盤、中盤、終盤での気持ちの変化は?
手の届く範囲にあったというか、それはステージの作り方にも関係してくるかもしれないけど、思ったより会場が大きくなかったというか、時間が経っていくごとに近くになっていく不思議な感覚があったんですよ。今年は武道館公演が終わって、地元の三軒茶屋、俺が最初に立った「Heaven’s Door」などキャパが200もないところのライブハウスを全国周って、そこでまた見えてきたものがあって。
――見えてきたものとは?
次、こういう曲を作らなきゃとか。でも基本は変わらないと思う。新曲を披露したんですけど、色々な刺激があって、こういうことをやろう、ああいうことをやろう、というアイデアがたくさん出てきました。
――武道館という目標が達成できて、新しいスタートが切れているという点では清々しい気持ち?
達成感はありますけど、でも結局、この先も挑戦は続けないといけない。現状維持だと絶対に力は落ちていくし、失敗しても挑戦はしたいじゃないですか。そういうふうにありたい気持ちでいます。
――体力も含め歳を重ねると乗り越えるハードルも上がっていきますよね?
そうですね。年齢とともに知識や知恵は増えるかもしれないけど、現実的に体も衰えていくし、その辺は10年トレーニング続けてきて、今のところ、なんとかクリアはできています。これからもっときつくなるし、リカバリー的能力は正直落ちてきた。俺も感じるくらいになってきているので。でもまだまだイケますけど。
――映像を見ても、かなり追い込んでますよね
追い込むときと、追い込まない時もありますけど、仕事だからね(笑)
“ラスボス”般若の流儀「一生懸命やるということしかできない」:インタビュー
引用元:MusicVoice