BOYS END SWING GIRL「その時に発したいメッセージを」更なる個性が開花した2nd:レポート

引用元:MusicVoice
BOYS END SWING GIRL「その時に発したいメッセージを」更なる個性が開花した2nd:レポート

 4人組ロックバンドBOYS END SWING GIRLが11日、ミニアルバム『STAND ALONE』をリリース。「色褪せない青春を歌いたい」という前作『FOREVER YOUNG』からの変化、「いままで見せなかった部分を見せるようになった」という、更なる個性が開花した現在のバンドのスタンス、そして今作の作詞面からサウンド面、制作のこだわりの点など、あらゆる角度から冨塚大地(Vo/Gt)に話を聞いた。【取材・撮影=平吉賢治】 BOYS END SWING GIRL「その時に発したいメッセージを」更なる個性が開花した2nd:レポート 冨塚大地(撮影=平吉賢治)

そのアルバムで思い出ができる

――7月の東京・渋谷でのワンマンライブを振り返っていかがでしたか?

 ライブの最後の曲、「フォーエバーヤング」が終わった後、みんなめっちゃ歌っていたんです。あれ、僕らはしっかり聴こえていたというのをみなさんに伝えたいです。ダブルアンコールを期待してみなさん歌ってくれましたし。

――そうでしたね。アンコール2曲が終わった後、オーディエンスが合唱していました。

 僕らはダブルアンコールは出ないんですけど、それでもみなさんの歌が聴こえていたから凄くジーンとして感動しました…「あんなこと起こるんだ」と思って。前作の『FOREVER YOUNG』は色んなことに挑戦したアルバムだったんです。打ち込みもそうだし、そういうのをどうライブで表現するかというのが悩むポイントだったので、上手くそれを混ぜ合わせて、ロックバンドという枠から外れずにできたんじゃないかなと思っています。

――そんなワンマンも経て、メジャーデビューから約半年経って心境の変化はありますか?

 あるほうがいいと思うんですけど、全然ないです。変わらず幸せだし、変わらず楽しいという。あえて変化を探すと、「メジャーデビューしたんだからもうちょっと良い服を買ったら?」と言われて奮発して服を買ったくらいでしょうか(笑)。「見られる存在になろう」という意識の変化はあるかもしれないです! そこは大きいかと。心の中はあまり変わってないです。

――確かに、前回のインタビューの時と良い意味で雰囲気が変わっていないというか。

 取材して頂く時なども楽しく喋るのが好きでして。こういう時でも、どこでも同じことを言いたくないんです。その人としか出せないエアー感というか、その人としかできない話をしたいんです。そういうところを大事にしています。

――その場その時の瞬間やご縁を大切になさっているのですね。そういった面が今作でも出ていると感じます。

 そうだと嬉しいです。

――本作『STAND ALONE』は、前作の1stフルアルバム『FOREVER YOUNG』から、バンドの個性が花開いたという印象を受けました。まず、「ラックマン」がリードトラックという点に驚きました。

 どうしてそう思ったんですか?

――1st『FOREVER YOUNG』を聴いた印象を引き継ぐと、本作の5、6曲目がリードトラックっぽいなと感じたからです。

 そうですよね! 本当にその通りでして。

――でも、「ラックマン」が1曲目のリードトラックにした意図は?

 僕は“アルバム”が大事だと思っているんです。昔からCDで聴いてきたので、「このCDって何なの?」みたいなことを、聴く時に大事にしてきたんです。くるりさんが大好きなんですけど、くるりさんは1作ずつコンセプトが全く変わっていくみたいな。同じアーティストだけどアルバム毎に全く色が違うほうが、そのアルバムで思い出ができるんです。

――そういうバンドは個人的にも好きです。例えばRadioheadとか。

 正にそうです。Radioheadだと3rdアルバム『Ok Computer』を聴く時は暗い気分になったり、他のアルバムでは全然違ったりと。気分によってアルバムを聴きわけてほしいんです。前作は僕らがデビューするし、「がんばろう」と思う気持ちになる時に聴いてほしくて。今作は、人生に負けそうになった時に聴いてほしかったんです。暗い気持ち、苦しい時に手を伸ばしてほしいアルバムにしたくて。

――そうなると「ラックマン」がリードなのは腑に落ちました。BOYS END SWING GIRLは爽やかな楽曲というイメージがあったのですが、この楽曲はマイナー調のコード進行からだったり。

 ちょっと予定調和ではない感じにしたくて。アルバム毎に色を変えると、どこかで「このアルバムは合わないかな」と思ってもいいと思うんです。でも、いつかそれを認める時がくると思っていて。みんなが「名作」と言っているアルバムも自分では「合わない」と思うこともあるんです。でも、大人になったら「なんか聴いちゃう」というアルバムになっていたりと。

――それは凄くわかります。数年後にそのアルバムの良さに気づくという作品はあります。

 そういうのもいいかなと。その時に伝えたいこと、その時に発したいメッセージというのを、サウンド面も一緒に伝えていくというアーティストでありたいなと思っています。