【レポート】TVアニメ『ランウェイで笑って』第1話先行上映会&トークショー開催。花守ゆみり「まっすぐな青春と、きれいなのに泥臭い心のぶつかり合いがある作品」

【レポート】TVアニメ『ランウェイで笑って』第1話先行上映会&トークショー開催。花守ゆみり「まっすぐな青春と、きれいなのに泥臭い心のぶつかり合いがある作品」

 2019年12月14日(土)、東京のユナイテッド・シネマ豊洲にて、2020年1月10日より放送されるTVアニメ『ランウェイで笑って』の先行上映会とキャストによるトークショーが開催された。

TVアニメ『ランウェイで笑って』第1話先行上映会&トークショー イベント写真を紹介 原作は、講談社『週刊少年マガジン』にて猪ノ谷言葉が連載中の同名コミック。現在までに既刊13巻を発売し、累計125万部を超す人気作。身長158cmながらファッションモデルの最高峰であるパリ・コレクションを目指す藤戸千雪と、家庭の事情から諦めかけたファッションデザイナーの夢に向かって奔走する都村育人が織りなす、服飾業界をめぐる青春ストーリーだ。

  この日は本放送に先駆け、アニメ第1話を上映。その後、司会に導かれ、花守ゆみり(藤戸千雪役)、花江夏樹(都村育人役)、石川由依(都村ほのか役)、山村響(都村葵役)、赤尾ひかる(都村いち花役)、そしてオープニングテーマを担当したシンガーソングライターの坂口有望が登場。観客は大きな拍手で迎え入れた。

■アニメになって、より感情移入をしてしまう作品に

 ファッションを重要なテーマに置く作品だけに、花江夏樹は「今日は衣装もみんな気合いを入れてきました。都村家の3姉妹が、示し合わせていないのにチェック柄だったのに驚いた」と話すと、3姉妹役は顔を見合わせて微笑む、あたたかな空気でトークがスタート。
 アニメ化される以前より原作のファンだったという花守ゆみりは、「このマンガが映像になったら……と想像してきただけに創り手として参加できることに、まだ現実感がないです。いろんな思いが溢れてしまいそう」と素直な気持ちを吐露。花江夏樹も続けて「原作を読んでいても涙でうるっとするシーンが多いのに、アニメになって色と音が新たに加わることで、より感情移入をしてしまう」と見どころを早速アピールした。

 キャスト陣は誰もが原作を読んで涙をしたり、胸を熱くしたりした体験があると伝える。赤尾ひかるは「糸やリボンなど、原作でも大切なモチーフが場面転換の際にも印象的にあしらわれていて、このアニメならではの演出にグッときました」と、細かな絵作りを賞賛。オープニングテーマである『LION』を書き下ろした坂口有望も「原作には鳥肌が止まらなかった。モデルの世界は華やかなように見えて、裏には多くの葛藤がある。その感動から生まれたのが『LION』という曲です」と制作の背景を語った。

■演技に深みを生んだ、音響監督や原作者との親密なやりとり

 キャラクター紹介では、役と共感したポイントや想いが明かされた。花守ゆみりは「私も仕事をしていくなかで『理想が満たさない感覚』が常にある。だからこそ、その数cmを埋めたくても埋まらない諦めに似た気持ちが沸き、それでも諦めたくないという葛藤を、千雪にも感じました」と話す。
 赤尾ひかるは、自身が演じる都村家3姉妹の末っ子・いち花に「いちばん幼くても、しっかり前を向いている。いち花が起点となって家族の空気が明るく変わるところがあるので。みんなの気持ちが癒やされるようにしたかった」と考えを明かす。

 ムードメーカーでもあるいち花に、花江夏樹も「いち花は最高ですよね。育人が疲れていたり、悩んだりしたりしているときに後ろから抱きついてきたり、無邪気にハッとさせる一言をくれたりする。守りたいなぁと思わせてくれるキャラです」と魅力を添えた。
 アフレコ現場では、音響監督たちの会議が綿密に行われていることに加え、原作者の猪ノ谷言葉が参加していたことも話題に。

 花守ゆみりは「先生と話せたことでキャラクターへの理解が深まり、安心して演じられた」と感謝の言葉を語った。

 石川由依は「アフレコ現場にも原作が全巻置いてあり、確認作業のつもりが『読みだしたら止まらない!』となるキャストがたくさんいて。ストーリーの面白さへの共感を感じました」と、現場に満ちる原作へのポジティブな気持ちが、作品に表れていることを語った。

■多彩なキャラクターから生まれた楽曲への感動

 作品の見所については、山村響が多彩なキャラクターを挙げる。「いろんなキャラクターが出てきて、それぞれの思いや悩みも描かれていく。感情の複雑な絡み合いが、相手の背中を押す原動力になったりもする。生まれていくドラマは、みなさんも人生のどこかで一度は覚えた感情のはず。自分が好きなキャラクターが、必ず見つかると思います」と語る。

 赤尾ひかるが「坂口さんの可愛さとキレイさを兼ね備えた歌声のオープニングも早く見たいです!」と力説すると、その熱意を引き継いだ坂口有望は「私も身長が148cmで、千雪と同じく身長が伸び悩んだこと、それから夢を追う強い気持ちにも共感したんです。原作を読みながら、自分に千雪が乗り移ったようになった。『千雪が書いた曲』として見ていただけたら、ストーリーとの良い化学反応が起きるのではと期待しています」と明かす。

 楽曲については花守ゆみりも感動を示し、「演技の練習用DVDで初めて聞いて、千雪らしさがたくさん詰まっていると感じました。それぞれが目標に向かう華々しいファッション業界だけれど、そこにあるきれいな泥臭さを感じる曲。聞いていて元気がもらえ、苦悩に寄り添ってもらえるすてきな歌です」と賛辞を送った。

 ここで、「ランウェイで笑える?美意識度チェック!」と第されたミニコーナーも開催。二択の質問に答えることで、潜在的な美意識が心理学的に明るみになるという主旨で、最も美意識の高い人には豪華景品が贈呈。『年末の大掃除、何から始める?』といった簡単な質問ながら、それぞれのこだわりや私生活からの回答に、トークも盛り上がる。観客にも挙手を促しながら、心理テストを楽しんだ。

 結果は、花江夏樹、赤尾ひかる、坂口有望が同点。「世界一美しいと思える所作で」行うことが条件の「美意識じゃんけん」で優勝者を決めることに。波の動きを意識した花江夏樹、パワーを貯める赤尾ひかる、美意識を拳に集める坂口有望と、各々が表現しながら勝負に挑む。赤尾ひかるが「美意識じゃんけん」に勝ち、景品の美容エステ券を獲得した。「エステに行って、さらに磨きをかけたいち花演じたいと思います!」と喜びを顕にした。

 また、アニメ公式Twitterの企画として、花守ゆみりが世界的なミシンメーカーであるブラザー工業のショールームで、洋服づくりを体験してきたことが紹介された。「最先端ミシンで、科学の進化を感じながらつくった」というTシャツとランチトートを花江夏樹にプレゼントした。Tシャツ前面の、花守デザインの育人をイメージしたロゴ、育人のイラストや『ランウェイで笑って』のロゴを刺繍したトートの意匠などがお披露目され、「魔法のようだった」と笑顔で伝えた。

■「彼らの青春と、きれいなのに泥臭い心のぶつかり合いを」

 最後にはキャストから、観客へのメッセージが送られた。山村響は「原作の魅力が詰まっていて、アニメによってその魅力がさらに開花していると感じました」と話すと、花江夏樹も「ファッションやデザインに馴染みのない方でも心動かされる作品。いろんな方に見てもらいたい」と期待を高めた。

 花守ゆみりは「原作を読んだきっかけは、ファンの方からのおすすめでした。オーディションの話が舞い込み、恩返しをしたい気持ちが強く湧いた。すばらしい作品に出会えた幸せを感じます。夢に向かって走るキャラクターの熱い気持ちに、役者陣もその熱に動かされてしまう。もっと熱いものにしなければと高め合っていける作品です。彼らの青春と、きれいなのに泥臭い心のぶつかり合いを見届けていただけたら」と、自身と現場の熱気を交えて語り、イベントは終了した。

(C)猪ノ谷言葉・講談社/ランウェイで笑って製作委員会