LUNA SEA「30年やってきて今が一番カッコいい」たまアリ初日に魅せた唯一無二のステージ:レポート

引用元:MusicVoice
LUNA SEA「30年やってきて今が一番カッコいい」たまアリ初日に魅せた唯一無二のステージ:レポート

 ロックバンドのLUNA SEAが21日と22日、さいたまスーパーアリーナで『LUNA SEA 30th Anniversary LIVE LUNATIC X’MAS 2019』を行った。30周年を迎えたLUNA SEAのクリスマスライブ“LUNATIC X’MAS”初日は、初期の楽曲から最新アルバム『CROSS』の楽曲まで、そしてクリスマスならではの楽曲と、豪華セットリストで披露された。怒涛の本編と聖なる“LUNATIC X’MAS”の光と合唱に包まれたアンコール公演に沸いた初日、21日の模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

■奇跡が1日でも長く続いていくように

 クラップが響き渡るなか会場が暗転。神々しい雰囲気のSEと共にアリーナ上方からいくつもの円状の鏡が降ろされ、ブルーの光を輝かしく反射させる。美麗な空気感のオープニンングに大歓声が沸くなかLUNA SEAが登場。ライブはINORAN(Gt)が奏でるアコースティックギター導入からの「FALLOUT」でスタートを切った。

 会場中に広がる逞しいRYUICHI(Vo)のボーカル、鋭くレガートなSUGIZO(Gt/Vn)のリードギターが鳴り渡り、ミドルテンポの初曲からLUNA SEAサウンドが目一杯アリーナに広がる。そして真矢(Dr)の男気溢れる掛け声とカウントで始まった「G.」でBPMは急上昇。オーディエンスは一斉に右手を掲げて応え、序盤から一気に熱気が高まるなか、RYUICHIとJ(Ba)のボーカルの掛け合いで曲を締めた。

 「僕達は出会って30年、一人も欠けることなくこうしてこのステージに上がっていることは本当に感謝しているし、そういう奇跡が1日でも長く続いていくように、精神的にはもっと上を目指していきたい」と、MCでRYUICHIからオーディエンスへの感謝とLUNA SEAの意気込みが伝えられると、会場は大歓声で応えた。

 そしてライブは灼熱のシンコペーションで疾走する「ROSIER」へ。INORAN(Gt)とSUGIZOはステージ左右に目一杯移動してのパフォーマンスを魅せ、オーディエンスからの「ROSIER!」という激熱コールが一斉に鳴り響いた。

 さらに「お前ら全員で飛ばして行くぞ!」というRYUICHIの契機で「DESIRE」へと繋げられ、INORANのソリッドなギターサウンドからの「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」と、MC明けから3曲、LUNA SEAの1990年代の珠玉の楽曲が並んだ。RYUICHIとINORANはオーディエンスが揺らす手の動きに応えて笑顔で右手を振り、SUGIZOの美麗なトーンのギターソロから会場一体シンガロング。そしてラストの1拍の後には真矢はスティックを豪快に放ってフィニッシュと、勢い、テンション、一体感十分のセクションに会場は“LUNA SEA一色”の空気感に満たされていた。

■『CROSS』楽曲、ソロコーナー、初期の名曲と怒涛の展開

 「音楽を通して5人でずっとやってきて、本当に家族みたいなバンドなんです」と、RYUICHIは改めてLUNA SEAの強い絆を言葉にし、オーディエンスからの温かい声援に包まれた。

 そして「俺達の今のベストな作品」と、ニューアルバム『CROSS』に触れ、「これからの未来も楽しみだね!」と、「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」を披露。スクリーンに映し出されたスペーシーなビジュアルアートをバックにLUNA SEAは神秘的なアンサンブルを放った。ここからは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』オープニングテーマが連なる。「悲壮美」ではSUGIZOのギターアルペジオとRYUICHIのボーカルが尊く響き、オーディエンスの心に染み渡るように会場中に広がった。

 ライブ中盤を過ぎるとソロコーナーへ突入。まずは笛や鼓の和楽器を凛と構える4人の和楽器隊と真矢の“和”の演奏。この日、真矢はPearlの電子ドラム「e/MERGE」を使用。発売前のこのセットを大型コンサートで使用したのは世界で初めてだ。和楽器隊との阿吽の呼吸、“間”を最大限に表現するようなセッションは、息を飲むような艶やかな日本美が醸されていた。

 拍手に包まれながら和楽器隊がステージを去ると、真矢のドラムソロへ。「俺達の30年間の結晶をこの場で爆発させようぜ!」という真矢の魂の叫び、ズシリと響く強拍にレスポンスする「真矢!」のコールが1拍ずつ会場に刻印されるように叩きつけられた。

 そしてエレクトロビートとSEが鳴り渡るなか、頼もしい表情でJが颯爽と登場。力強くダウンピッキングで刻まれる低音がオーディエンスとのコール&レスポンスをガツンと引き起こす。そして灼熱のベースソロコーナーに真矢も加わり、「30周年盛り上がっていこうぜ!」と、ボルテージをさらに押し上げるとメンバーが全員登壇し、RYUICHIのシャウトを合図にヘッドバンキングが巻き起こるほどの熱気に満ちた「Dejavu」へ続いた。

 RYUICHIは、「『CROSS』は僕らにとって30周年のアルバムでもあり、10枚目のアルバムでもあるけど――世界基準のLUNA SEAサウンドを届けられたんじゃないかなって思います」と、最新作について語り、「ライブでみんなのパワーを感じて『待ってくれてたんだな』という瞬間に奮い立ち、僕達の血が騒ぐ。やっぱりここなんだなというその瞬間が今なんだからね、みんな!」と続け、改めて「30年間みんなどうもありがとう!」と、LUNA SEAからの30年ぶんの感謝が会場に向けられた。

 そして演奏されたのは『CROSS』収録曲「THE BEYOND」。壮大な楽曲展開と美しいギターアンサンブル、RYUICHIと向かい合ってのSUGIZOのギターソロと、LUNA SEAの最新サウンドがオーディエンスに浴びせられ、スクリーンに映し出された様々な空のビジュアルとのベストマッチングの光景を魅せた。

 ライブ後半では「Hold You Down」、「STORM」とたたみ込み、タイトなビートと希望感溢れる歌詞が光り輝く「SHINE」へ。INORAN、J、RYUICHI、SUGIZOと4人横並びとなってのキメフレーズからのSUGIZOギターソロ、というドラマチックなステージングでビシッと決めた。

 本編ラストはINORANの突き刺すようなギターフレーズからの「TONIGHT」。イントロ直後にJが情熱的に「Yeah!」とシャウトを差し込むと、会場中がガンガンに揺れるほどのテンションでコールが鳴り渡った。そして一旦ブレイク気味に落としながらの「飛ばして行くぞ!」という流れで再びINORANのギターが轟く。楽曲ラストセクションでは<キミだけのMelody キミだけの祈り>というシンガロングがサラウンドに広がり、熱く、美しく、ドラマチックに本編が締めくくられた。

■聖なる“LUNATIC X’MAS”の光と合唱

 本編終了後、様々なかたちのアンコールがLUNA SEAに向けられた。「きよしこの夜」の合唱、各々がケータイのライトを照らして作られた銀河のような景色、方々で巻き起こるウェーブ、それらのアクションはLUNA SEA30周年を祝う気持ちが溢れるような愛の光景だった。

 ステージに再び姿を現したLUNA SEAは、「みんなの作ってくれた星空で次のナンバー行きたいと思います」と笑顔を見せた。オーディエンスが作ったロマンティックな光に包まれながら「HOLY KNIGHT」を、そして「White X’mas」へと続き、RYUICHIの伸びやかな歌声がどこまでも広がる「I for You」とアンコールに応えた。

 そしてメンバー紹介がおこなわれ、SUGIZOが紹介されると「20th Century Boy」(T. Rex)のリフをおもむろに弾き出し、それに乗っかり真矢も叩き出す。これにはRYUICHIも「いいねえ。なんかジャムのコーナーみたいになってきたね!」と嬉しそうにニッコリ。

 SUGIZOが『CROSS』について語るなか、「30年やってきて今が一番カッコいいんじゃないかな、俺達。これから旅はまだまだ続きます。みなさんよろしければこの旅にお供頂ければ幸いです」と、美しい口調でオーディエンスをエスコートした。

 そして冒頭で銀テープが放たれた「WISH」では、SUGIZOはアリーナ席通路を移動しながらのパフォーマンスを魅せ、RYUICHIはステージ左右いっぱいに移動しながら最後の最後まで“LUNATIC X’MAS”を盛り上げる。

 最終曲ではINORANとSUGIZOは着座してのプレイ。アンビエントな空気からのサウンドアプローチにSUGIZOはバイオリンもプレイし、LUNA SEAの耽美な世界観を深めた。あまりにも美しいラスト曲目「MOTHER」の演奏を魅せてくれた。

 締めは会場一斉のジャンプで大団円。そしてRYUICHIからオーディエンスへの「みんなLUNA SEAだよ。俺達LUNA SEAは最高だぜ!」というメッセージが会場中に飛散した――。

■セットリスト

『LUNA SEA 30th Anniversary LIVE LUNATIC X’MAS 2019』
2019年12月21日@さいたまスーパーアリーナ

01. FALLOUT
02. G.
03. ROSIER
04. DESIRE
05. IN MY DREAM(WITH SHIVER)
06. 宇宙の詩 ~Higher and Higher~
07. BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~
08. 悲壮美
09. absorb
10. Dr. Solo & Bass Solo
11. Dejavu
12. THE BEYOND
13. Hold You Down
14. STORM
15. SHINE
16. TONIGHT

ENCORE

EN1. HOLY KNIGHT
EN2. White X’mas ~ I for You
EN3. BELIEVE
EN4. WISH
EN5. MOTHER