「品切れです」「入荷未定」初代ファミコンの思い出は宝物。家にやって来た日の喜び

引用元:マグミクス
「品切れです」「入荷未定」初代ファミコンの思い出は宝物。家にやって来た日の喜び

 1983年に任天堂から発売された「ファミコン」こと「ファミリーコンピュータ」は、日本国内で1935万台、世界全体では6000万台以上を売り上げ、家庭用ゲーム機の代名詞となりました。子供時代、ファミコンに熱中したライターの早川清一朗さんが、当時の記憶を語ります。

【画像】大人になった当時の「子供」たちに、今も愛されるファミコン(5枚)

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「売り切れちゃったんですよ」
「次いつ入荷するか分からないんです」
「入荷してもすぐ売れちゃうんです」

 母親と一緒に「ファミコン」を探しているときに、おもちゃ屋さんの店員に言われたのは、大体この3つだったような気がします。

「ファミコン」は、当時の家庭用ゲーム機としては破格の高性能と1万4800円という手ごろな価格、カセットを入れ替えるだけで多くのタイトルを遊べる多様性などさまざまな理由から爆発的な人気となりました。

 筆者が初めて「ファミコン」に触れたのは、おそらく1984年。小学生時代の友達の家でした。確かタイトルは『ベースボール』だったと思います。当時の筆者にとって、ゲームはデパートのゲームコーナーや駄菓子店でプレイするものでした。家のTVでさまざまなゲームをプレイできるというのは衝撃的な出来事だったのです。

「ファミコン」を体験した筆者は、それからというもの、ひたすら母親におねだりを続けました。TVで「ファミコン」のCMが流れるたびに「買って買って!」と言い続け、ついに根負けした母親と一緒におもちゃ屋さんに向かった筆者が手に入れたのは……。

 SEGAの家庭用ゲーム機「SG-1000II」でした。

 本当に、どこに行っても「ファミコン」は品切れだったのです。疲れ切った筆者と母親は、「ファミコンと似たようなのがありますよ」と言うおもちゃ屋の店員の言葉を聞き「もう、これでいいか」と「SG-1000II」を購入して妥協しました。

 これはこれで結構楽しませてもらったのですが、やはり「ファミコン」でないと友達との会話にはついていけません。再び「ファミコン」探しを開始した筆者は新聞のチラシを丹念に調べ続け、ついにある店が「ファミコン」を販売する日を突き止めたのです。

 その日の朝、倉庫を転用したと思われる雑貨店のシャッターの前には、大勢の小学生とその保護者が行列を作っていました。筆者も母親と一緒に並び、どうにかこうにか「ファミコン」を買ってもらったときのうれしさは、35年が経った今でもよく覚えています。