音のプロが作り反響上々の文化放送「♯たき火特番」

引用元:日刊スポーツ
音のプロが作り反響上々の文化放送「♯たき火特番」

<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>

たき火の音を流すだけのラジオがあったことをご存じだろうか。

文化放送で8日深夜に放送された特別番組「たき火特番~ノルウェーのテレビ局が薪が燃えているだけの映像で高視聴率を獲得したので、たき火の音だけを流すラジオをやってみた~」のことだが、文字通り、ノルウェーのテレビ局が薪が燃えるだけの映像を8時間流しつづける番組で高視聴率を獲得したことを受け、「そのラジオ版を」と文化放送が行った新しい試みだ。深夜2時から90分間たき火の音を流し続け、深い時間にもかかわらず「♯たき火特番」がツイッターのトレンドワード4位にランクインするなど反響は上々だったようだ。

こんなラジオ番組があったことに驚いたが、同時に、ドイツに出張した際、宿泊先の備え付けのテレビに薪が燃えるだけの動画が延々と流れていたことを思い出した。パチパチと薪がはじける音は耳に心地よかったし、不思議と無音よりも落ち着いたので覚えていた。テレビをつけたまま寝たような気もする。そんな経験があったので、なるほどあの感じかと興味をそそられた。

先日の定例社長会見に出席した衣笠聖也編成部長によると、音源は単なるCDではなく、より臨場感が出るようスタッフが3Dオーディオ技術を使って編集したものという。また「最初の薪が割れる音、炎が燃え広がる音、途中で薪をくべたりして90分間を演出した。たき火の音を単に流すだけではなく、音だけでドラマを作る意気込みで制作した番組」と説明した。企画のため音を立体的に捉えるソフトを投入したともいい、真剣ぶりが伝わってきた。

通常は放送休止となる日曜深夜2時から月曜早朝5時の枠を放送にあてた。今後も音にこだわった番組を続けていく方針で、衣笠編成部長は「たき火の音だけでなく、音はもっと広がりがある。さまざまな形で検討していきたい」と話した。

最近は若年層を中心に、耳に心地よく感じる音を流す「ASMR動画」が流行っているが、趣向としてはそれと同様のものだろう。ユーチューブの動画では、そしゃく音のほか、せっけんを切り刻んだりスライムをつぶしたりと、ものを使った音動画が多いが、個人的には環境音が好み。小鳥のさえずりもいいけど雑踏もいいな、バッティングセンターで聞こえる「カーン」という打撃音もいいのでは、と勝手な妄想が広がる。

睡眠導入剤的にユーチューブのASMR動画を使う人を知っているが、音のプロが本気で作ったたき火音の方が眠りに効果をもたらしてくれそうな気がする。そうすると、プロのたき火音はどんなものだったのだろうかと急に気になってきた。次回があれば、ぜひオンタイムで聞こうと思っている。