今の時代こそハッとするメッセージ 元ザ・クラッシュ、ジョー・ストラマーのドキュメンタリー映画「レッツ・ロック・アゲイン!」

引用元:夕刊フジ

 【大人のエンタメ】

 ■ドキュメンタリー映画 21日~新宿K’S cinema

 2002年12月22日に急逝した元ザ・クラッシュのフロントマン、ジョー・ストラマーを追ったドキュメンタリー映画「レッツ・ロック・アゲイン!」が21日から2週間限定で東京・新宿のK’S cinemaで上映される。

 1976年、18歳の失業率16%という経済不況にあえぐロンドンの下層階級の若者から誕生したパンク・ロック。スピーディーでハイテンションな演奏、セクシーなルックスで人気沸騰したのがクラッシュ。ジョー(G、Vo)、ミック・ジョーンズ(G)、ポール・シムノン(B)、トッパー(D)の4人だ。

 地球温暖化、原発危機、自然破壊を警告し、世紀の傑作となったアルバム「ロンドン・コーリング」が届いたのは40年前の今頃。“娯楽やドラッグに目を奪われず、周りで何が起きているかちゃんと見ようぜ”とジョーが発したメッセージは世界中のロックキッズを覚醒させた。

 「ジョーの社会的、政治的な詞には当時も今もハッとするような真実の指摘がたくさんある」とロンドン博物館で開催中の「ロンドン・コーリング展」にコメントしたのはエルトン・ジョン。

 50歳でザ・メスカレロスを結成。第2部の幕を開けるという矢先の2002年、突然他界したジョー。今こそ、彼やクラッシュのようなバンドがいてくれたらと思う人間は世界中に多いはず。

 かっこよくファンキーな見かけの下に、誠実なまじめ人間がひそんでいることを最後の2年間を専属通訳の任を受けた筆者は知っている。

 「人間は何だってできる、こんな時代だからこそ、みんなでそのことを証明しようぜ」。最後に聴いた彼の言葉がまだ昨日のことのようだ。(フリーライター・室矢憲治)