吉本興業、直営業禁止ではないが「事前に報告義務」

引用元:日刊スポーツ
吉本興業、直営業禁止ではないが「事前に報告義務」

吉本興業ホールディングスは20日、闇営業問題で設置した経営アドバイザリー委員会の中間とりまとめを東京・新宿の東京本部で発表した。

【写真】吉本興業東京本部

座長を務める川上和久国際医療福祉大教授(62)が会見して説明した。川上座長は「経営委員会は、第三者委員会と違う。医療事故の場合に例えると、第三者委員会は原因を突き止める。経営委員会は予防医学のようなもの。何か問題が起きた時には適時、アドバイスをして行きたい」と、その役割を説明した。

とりまとめは、主に反社会的勢力の完全排除、契約のあり方、コンプライアンス体制の確立、コーポレート・ガバナンスのあり方の4項目からなっている。

反社会的勢力の排除に向けた取り組みについて、川上座長は「反社会的勢力の定義は政府でも難しい」と安倍首相主催の「桜を見る会」で問題になり「確認は困難である」と閣議決定されたことを挙げた。そして「徹底的な取引先の属性調査を行っている。全ての新規取引先についてやっていると、吉本興業から説明を受けた。問題になるのは、タレントと反社会的勢力との接触を、吉本興業が知らない場合。直営行について、これまでは吉本が把握していなかった。反社会的勢力と接触、報酬の税金の問題があるので、新たにルールを作った」と説明した。

闇営業として問題になった、事務所を通さない直営行のルールについては「報酬の有無にかかわらず、吉本に事前に報告義務。吉本が属性調査を行い、対価としての報酬は吉本を通じて受け取ること。事後になるような場合でも、まずは全部届けてもらう。その姿勢が大切。タレントさんは不自由に感じるかも知れないが、タレントを守るためのもの」と話した。

吉本興業を通すことで、反社会的勢力との接触、税金の申告漏れなどのリスクは減るが、マージンを取られずにギャラを手に出来る芸人のうま味は減ってしまう。川上座長は「吉本を通じずに仕事を受けるが、届け出をするということ。直営行の禁止ではない。吉本のマージンは、これから決めていく。脱税などを防ぐためだ」と説明。吉本興業関係者は「マージンで、もうけようとは思わない。パーセンテージも低くなると思うし、面倒かもしれないが慣れてくれば大丈夫だと思う」と話した。

タレントとの契約のあり方について、川上座長は「従前は諾成契約という口頭でやっていた。それで問題がない場合もあったが、これからは『所属覚書』を交わして契約をする。それから専属マネジメント契約、専属エージェント契約を、6000人のタレント全員と交わす。現在はタレントに契約説明会を行っている。疑問がある場合には個別相談の場も設けている。クラウドサインというシステムで、スマホを通じて行えるようにもする」と説明した。