「もうひとつのスター・ウォーズ」3作品。創造主ルーカスは認めないが面白さは倍増?

引用元:マグミクス
「もうひとつのスター・ウォーズ」3作品。創造主ルーカスは認めないが面白さは倍増?

 ジョージ・ルーカス監督が手掛けたシリーズ第1作『スター・ウォーズ』(1977年)の公開から42年、「スター・ウォーズ」(以下、SW)サーガの完結編となる『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』がいよいよ2019年12月20日(金)より日米同時公開されます。初期三部作に衝撃を受けたオールドファンも、新シリーズからファンになった若い世代も、壮大なスペースオペラがどのようなフィナーレを迎えるのか気になっているのではないでしょうか。

【画像】「スター・ウォーズ」を人気作へと押し上げた、歴代のキャラクターたち(12枚)

 完結編の公開が待ち切れないファンもいることと思いますが、正統なSWシリーズやスピンオフ作とは異なる、ちょっと気になる作品をご紹介します。どれもルーカスフィルム公認ではないのですが、それだけに意外性のあるエピソードが楽しめるのです。

 個性的なキャラクターが次々と登場するSWシリーズの中でも、いちばん有名なのはダークサイドに堕ちてしまった悲劇の暗黒卿こと「ダース・ベイダー」でしょう。スペインで製作されたドキュメンタリー映画『I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー』(2015年)は、初期三部作でダース・ベイダーを演じた俳優デヴィッド・プラウズの素顔に迫ったものです。

 2メートル近い長身に加え、ボディビルダーとしてのたくましい肉体を持つプラウズは、スタンリー・キューブリック監督の名作『時計じかけのオレンジ』(1971年)にも出演しています。英国では有名な肉体派俳優でした。黒いヘルメットとマスクで顔を覆われたダース・ベイダーでしたが、プラウズは圧倒的な存在感でSWシリーズきっての悪役を演じ、初期三部作の成功に大きく貢献します。 「もうひとつのスター・ウォーズ」3作品。創造主ルーカスは認めないが面白さは倍増? 映画『I AM YOUR FATHER アイ・アム・ユア・ファーザー』DVD(インターフィルム)

マスクに隠された「暗黒卿」の怒りと悲しみ

 ところが、第2作『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(1980年)、第3作『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』(1983年)と進むにつれ、SWの生みの親であるジョージ・ルーカスとの間に軋轢が生じるようになったのです。

 プラウズには俳優としてのこだわりがあり、ダース・ベイダーの声が別の俳優(ジェームズ・アール・ジョーンズ)に吹き替えられていることに不満を感じていました。また『ジェダイの帰還』のクライマックスで、ベイダーがマスクを脱ぐシーンを、やはり別の俳優(セバスチャン・ショウ)が演じたことに大きなショックを受けます。そのことをプラウズは知らされていなかったのです。

 一方のジョージ・ルーカスも、プラウズを好ましく思っていませんでした。『ジェダイの帰還』の公開前、ダース・ベイダーが死ぬというスクープ記事が出回り、情報源はプラウズだとその記事には書かれていたからです。この事件をきっかけに、ルーカスとプラウズの間には大きな溝ができてしまい、やがてプラウズはSWのキャストが集合する公式なイベントには呼ばれなくなってしまいます。

『アイ・アム・ユア・ファーザー』のマルコス・カボタ監督はSWシリーズの大ファン。プラウズだけでなく、SWの関係者も熱心に取材して回り、2人の間に起きた軋轢の真相を探っていきます。両者の間には、思い込みや誤解もあったようです。マルコス監督はこのドキュメンタリーの最後に、SWファンをホロリとさせるようなサプライズ演出を用意しています。

 SWシリーズを通してダース・ベイダーと息子ルーク・スカイウォーカーとの確執を見守ってきたファンにとっては、SWの生みの親である創造主ルーカスといちばんの人気キャラであるダース・ベイダーを演じたプラウズとの関係が今後どうなるのかも気になるところです。