結成40年&デビュー35周年! ゴンチチ「今が一番うまいかもしれない」

引用元:夕刊フジ
結成40年&デビュー35周年! ゴンチチ「今が一番うまいかもしれない」

 昨年、結成40年、デビュー35年を迎えたアコースティックギター・デュオ。

 チチ松村(以降チ)「今年で41年ってすごいねえ。出会ったときのこと、今でもパッと思い出せますから、そう考えると短いのかな」

 ゴンザレス三上(以降ゴ)「ギターも深いし、音楽も深い。そういうところで40年も遊ばせてもらっているのは、すごく幸せですよね」

 約1年ぶりの新アルバム「Assortment」(ソニー・ミュージックダイレクト)は通算26枚目。映画「クラゲとあの娘」に提供したサントラを中心に、映画用、タイアップ用に書き下ろした楽曲を“詰め合わせ”た1枚。中でも聴きどころはバッハの「ゴルトベルグ変奏曲BWV988」だ。

 ゴ「僕がやりたかったんですよ。松村さんのほうが難しいかなと思っていたら、僕のほうが難しくてね」

 チ「僕のほうはギターでは無理だという低音があったんです。で、6弦をDに下げると、一音だけどうしても無理なAの低い音があって、それだけ1オクターブ上げようかと。この年になって、こんなにギターを練習するなんてね。でも三上さんに会ったら『僕のほうが無理だ』って泣いてるんですから」

 ゴ「厳しかったですよ。でも、僕が言い出したのに、やめようとも言えないですし。肩とか凝って凝って。でもね、手が痛くなるほど練習していると、ギターの奥深さを新鮮に感じたね」

 41年前、共通の友人に引き合わされた2人。そのときの第一印象はどうだったのか。

 チ「友人がいきなり僕の家に三上さんを連れてきて、『この人がギターのうまい三上さんです』って。でも、パッと見、あんまりうまないように見えたんですよ。もっとやせてて、髪も長くて。どっちかというと文学青年。この人ギター弾けるんかなって」

 そんな2人だが、言葉を交わすよりも、ギターを鳴らしていた。

 チ「驚きましたよ。この人は日本人離れしたリズム感やなと。一緒にやれば、面白いことができるんちゃうかって思いましたもん」

 一方の三上はどう思っていたのか。

 ゴ「僕は人見知りなんで、人の家に訪ねていくなんて初めてで。でもギター弾いたら、間合いがぴったりでね。奇跡的でしたよ。こんなに間合いがあう人はなかなかいないですから」

 チ「僕はそのころ、1920年のジャズとか若者が聴かないような音楽にはまってて。おじいさんみたいでした」

 ゴ「ほんま、会ったときはひげも生やしてて、おじいさんやったもんね。変装してるんかと思いましたよ。そのころが一番落ち着いていましたね。どんどん若返って、今は3歳児ぐらいやもん」

 ギター・デュオの先駆けとして地球一心地良い音楽を作ってきた2人。ギターとの出会いまでさかのぼってみる。

 チ「僕、変わり者なんで、みんながギター弾くなら、僕は弾かんって。高田渡さんの曲をアカペラで歌ってたほどですよ。でも高校になって親戚のマコちゃんに『弾いてみ』って言われて、断れずに弾いたら、こんなに楽しいのかと」

 ゴ「僕は小5のころかな。友達が学校にクラシックギターを持ってきたんですよ。コードを弾くんじゃなくて、指を動かしているのをみて、かっこええなと。その子に教えてもらったら、スッとできてね。その子よりうまくなってしまったんですよ」

 新作ではバッハに挑戦した2人だが、2020年も飽くことなくチャレンジを続けるようだ。

 チ「バッハをやって奥深さに触れたから、まだまだ挑戦できる気がしましたね。今が一番、ギターがうまいかもしれないですし」

 ゴ「最先端の音楽にも興味あるんで、ここ2、3年で何ができるかなって考えてますよ。若い人のすごい音楽を聴くと、やる気がますます湧いてくるし。そのとき、そのとき、風が吹いてきたら、やりたいことをやる感じかな」(ペン・福田哲士/カメラ・萩原悠久人)

 ■新アルバム「Assortment」発売中

 ■ゴンチチ(ごんちち) ナイロン弦のリードギター担当のゴンザレス三上(1953年12月30日生まれ、65歳、大阪府出身)と、スチール弦のサイドギター担当のチチ松村(54年9月6日生まれ、65歳、大阪府出身)が78年に結成し、83年にアルバム『ANOTHER MOOD』でデビュー。「地球一番快適音楽」を標榜している。

 2020年1月からは「ゴンチチ新春生音三昧2020」を各地で開催。1月11日は大阪・いずみホール▽2月16日は東京・紀尾井ホールで。