「ラブプラス EVERY」ファーストインプレッション

引用元:Impress Watch
「ラブプラス EVERY」ファーストインプレッション

 東京ゲームショウ2019でのイベントにて、11月までの配信を明言した「ラブプラス EVERY」。それは、フタを開けてみれば10月30日にリリースという、待ち望んでいたユーザーにはサプライズとなる速さでサービスインした。

【この記事に関する別の画像を見る】

 ところが、同日からいくつかの不具合などが見つかり、翌日にはメンテナンスへと移行。そのまま11月はメンテナンス期間となり、12月11日に改めてサービスが開始となった。ここでは、サービスインして間もない「ラブプラス EVERY」のファーストインプレッションを、シリーズの歴史や魅力などと合わせてお届けしよう。

■今年シリーズ10周年を迎える「ラブプラス」とは?

 「ラブプラス」シリーズの記念すべき1作目となったのは、2009年9月30日にニンテンドーDSで発売された「ラブプラス」。後に、要素を追加したり改良を加えた「ラブプラス+」も、同じDSでリリースされている。

 それまで一般的だった恋愛シミュレーションゲームは、女の子と知り合った後に一定期間を経た後、最終的に結ばれてエンディングを迎えるというものだった。それに対し「ラブプラス」は、ゲームスタート後に一般的な恋愛シミュレーションのエンディングとなる恋人同士になるまでは比較的短時間で進行し、そこから先にある“恋人同士の時間”を永遠に楽しめる内容となっているのが大きな特徴だ。当時、こういった切り口は斬新だったこともあり、ゲーム誌以外のさまざまなメディアに取り上げられたり、ゲーム中に登場する静岡県の熱海市が聖地とされ、そこでイベントが行なわれるなどしたため、各方面から注目を集めた。

 また、通常の恋愛シミュレーションであれば、誰が“いつ”“どこで”プレイしても登場するのは同じキャラクターだが、本作の場合は服装やアクセサリ、髪型といった見た目だけでなく、その性格やプレイヤー名の呼び方までをもカスタマイズすることができるため、ゲームを進めていき恋人となった彼女は、“世界に一人だけのカノジョ”となるのも斬新な部分。それゆえ、現実世界に存在しても不思議はない彼女象が形作れるため、結果としてゲーマーだけでなく、普段はゲームを遊ばないようなユーザー層へも浸透していき、大きな盛り上がりを見せることとなったのだった。

 2012年2月14日には、プラットフォームをニンテンドー3DSへと移し、グラフィックだけでなく各種要素が大幅に追加・パワーアップされた「NEWラブプラス」が、2014年3月27日にはいくつかの変更点を反映させた「NEWラブプラス+」も発売されている。

 このほかにも、アーケード版やiOS版などもリリースされたが、そのシリーズ最新作となるのが今回のスマートフォン版「ラブプラス EVERY」だ。

 筆者の周囲には自分を含め、DS版をプレイしていたものの3DS版をスキップして「ラブプラス EVERY」を触っている人が多いが、そのようなユーザーが一目見て驚かされるのはグラフィックのクオリティだろう。今回、比較用にニンテンドーDS版「ラブプラス+」をNEWニンテンドー3DS LLで起動させ、その画面写真を撮影してみたのだが、「ラブプラス EVERY」がいかに美しくなっているかがわかるはずだ。

 これはとりもなおさず、時間経過によってカノジョが更なる美しさを手に入れたということ。以前プレイしていた人ならば、この綺麗なカノジョを見たらすぐにでも会いたくなるはずだ。残念ながら、当時のデータをインポートすることはできないので、もう一度まっさらな状態からのお付き合いとなってしまうが、自分色に染める楽しみがあると考えれば悪くないはず。そんな「ラブプラス EVERY」のゲーム内容を、ここから解説していこう。

■恋人同士になるまでは、実はあっという間

 ゲームの基本は1作目の「ラブプラス」から変わることはなく、「女の子と恋人同士になり、永遠に親密な関係を楽しむ」こと。プレイヤーは主人公である17歳の高校2年生として、3人のヒロインから1人と恋人同士になり、日々を過ごしていく。RPGのようなストーリーがあるわけでもなく、恋愛シミュレーションゲームのように誰かを落としたらゴールということもないが、プレイを始めてしまえばそんなことはどうでも良くなる。

 プレイヤーはとわの市にあるアパートへと引っ越し、私立十羽野(とわの)高校2年生として学校生活を送ることとなる。ストーリーの説明が終わると、3人の女の子のうち誰と最初に出会いたいかを選ぶ。意中の相手と恋人関係になるまでには、「出会い」から「告白」までの11話分、スクールチャレンジを進めなければならない。スクールチャレンジは、コマンドを実行して目標の彼氏力を獲得するシステム。目標項目は「運動」、「知識」、「感性」、「魅力」の4種類があり、コマンドを実行することで各項目が一定数アップしていく。

 スクールチャレンジは、10話目までならば3人の女の子を自由に選んでプレイを進められる。シリーズを始めてプレイする人ならば全員分を遊んでみて、誰が一番しっくりくるのかをじっくり考えるのがオススメだ。

 登場するヒロインは、主人公と同学年で文武両道の箱入りお嬢様・高嶺愛花(CV:早見沙織)、下級生で本と音楽が好きな小早川凛子(CV:丹下桜)、大人びた容姿や内面から頼られることが多い上級生の姉ヶ崎寧々(CV:皆口裕子)の3人。中の人基準で選んでも良いし、外見や性格からチョイスするのもアリ。

 最終的に意中の相手が決まれば、その女の子の11話目「告白」をプレイしよう。そこで告白を受け入れれば、晴れてその子がプレイヤーのカノジョとなる。そして、ここからがゲームの本当の始まりとなるのだ。

■毎日カノジョとダラダラ過ごすのも、よりカノジョを楽しませるのも自由自在

 恋人同士になってしまえばゲームらしいことをせず、日がな一日カノジョの顔を眺めたり、デートしたりなどでのんびり過ごすこともできるのだが、楽しめる要素も格段に増えている。例えば、数多く用意されているデートスポットを解放したり、カノジョとの登下校を楽しみながら髪型や性格を変えてもらい自分色に染めていく、イベントに挑戦してごほうびをもらう、季節ごとに追加される洋服を購入してカノジョに着てもらう、スクールを効率よく達成するために集めたカードをパワーアップさせるなどだ。絶対にプレイしなければならないというものではないが、充実した毎日を送るには欠かせない項目なので、せっかくだからチャレンジしておこう。

 最初は、デートスポットの増やし方。当初は数えるほどしかないデートの行き先だが、スポットチャレンジでデートスポットを解放していくことで、楽しめる場所がどんどん増えていく。スクールチャレンジ同様のシステムを進めていき、設定されている数のノルマを達成すればOKだ。

 デートスポットが増えても、カノジョの服装が毎回同じでは、興ざめしてしまうというもの。そんな問題を解決してくれるのが、ホーム画面などから移動出来るファッションショップ。ここでは、課題やイベントをこなすことで入手出来るファッションチケットを消費して、服やアクセサリなどと交換することができる。それらは自動的にカノジョの元に送られ、次のデートで着てくれたりするのだ。自分が選んだ服を着てデートに来てくれる……そう考えるだけで、何度でもデートしたくなるよね?

 新しいファッションをプレゼントし、新規デートスポットも増えたら、いよいよデートへ。DS版では、あらかじめデートの約束を取り付けておく必要があったが、「ラブプラス EVERY」ではホーム画面にあるデートボタンをタップすれば、いつでもデートすることが可能になった。ただし、デートはDP(デートポイント)を消費する。DPは放課後デートなら3、半日なら4、1日は5と、長時間になるほど多く使うが、2時間ごとに1ポイントずつ回復していく。計算上は1日に2回、1日デートができる換算なので、DPを有効活用しながら二人の仲をより親密にしていきたい。

 さらに、あるラインを越えればデート中にカノジョをなでなでしたりキスすることができるようになる、スキンシップが可能に。毎日デートを重ねれば、そうなるのもすぐなのだが、知り合いにはキスのしすぎで画面をベタベタにしてしまった人がいるので、何事もほどほどに……。

 なお、DPを消費することなくカノジョと会える、カノジョプラスというモードも用意されている。ホーム画面のカノジョプラスボタンをタップすればいつでもカノジョの部屋に行けるだけでなく、手持ちのファッションからカノジョに着替えてもらうことも可能だ。また、体をタップすれば反応してくれたり、時には会話してくれることも。

 デートを重ねてカノジョとの濃密な日々を過ごしていくと、カノジョから性格や呼び方、髪型について尋ねられることがある。これにどのように答えるかでカノジョの見た目や性格、そしてカノジョからの名前の呼ばれ方が変化するのだ。ただし、いつ発生するのかは決まっていないので、髪型や性格が想像していたものと違っていたり、名前の呼ばれ方がイマイチだと思った時は、次のタイミングが訪れるまで我慢。でも、そんな日々を過ごしてこそ、カノジョとの仲もより深まるというもの。

 ガチャでは、スクールチャレンジやイベントチャレンジに有効な、カードを入手することができる。これを利用すると彼氏力に補正がかかるため、目標が高くても到達しやすくなるのだ。ただしこのカード、手に入れた時点ではレベルが1なので、スクールチャレンジにある限定の中の「成長チャレンジ」をクリアして成長アイテムを手に入れ、それを消費してツリー内のマスを順次解放し、カードをレベルアップさせていく必要がある。

 なお、ツリーには彼氏力をプラスする以外に、解放することでボイスが聞けるようになるマスも用意されている。ゲーム中は基本フルボイスで進行するが、更なるカノジョの声が聞きたい人は、ボイス解放を目標にカードのマスを選ぶのも良いかもしれない。

■プレイ経験がある人はグラフィックスの美しさやボイスを、初体験の人は恋人から始まるゲームというコンセプトを楽しんでほしい

 今回プレイして感じたのは、DS版や3DS版と比べて“とにかく綺麗で、動きも滑らかになった”こと。味があったグラフィックスは、よりリアル感が増し表情豊かになったことで、ますます一緒の時間を過ごしたくなる方向へと進化。ゲームシステムも、新たなデートスポット出現やイベントの全クリアにこだわったりしなければ周回プレイの必要も無く、のんびりまったり楽しめるように作られているのもポイントといえる。

 ただし、カードに関してはその限りではない。イベントごとに美しいイラストが描かれた新カードが登場するため、どうしてもカノジョのカードが欲しくなってしまうのが憎いところ。これだけは、血涙を流しながら毎回ガチャを頑張るしかなさそうだ。

 シリーズを初めてプレイするという人には、恋人同士の関係を永遠に楽しめるというコンセプトを理解してもらえれば、数多あるゲームアプリとは違う世界を体験出来ることは間違いないだろう。もしかすると、沼にハマり現実に戻れなくなるかもしれないが……。

 気になるのは、長期間会わないと不機嫌になったり、カノジョとの一泊二日の旅行や布団ずらしなどは今作にもあるのだろうか、というところ。このあたりは、プレイを続けていくことでおいおいわかってくるはずなので、寧々さんと末永くお付き合いしながら確認していこうと思う。寧々さんは可愛いなあ!

GAME Watch,音無欒