村上春樹さんが発表前の最新短編を自ら朗読 東京都内でのイベントで、川上未映子さんらとトークも

引用元:産経新聞

 今年デビューから40周年を迎えた人気作家の村上春樹さん(70)が、作家の川上未映子さん(43)とともに朗読やトークを行うイベント「冬のみみずく朗読会」が17日夜に東京都内で開かれた。川上さんによる村上さんへのインタビューを収めた「みみずくは黄昏に飛びたつ」(新潮社)の文庫化を記念して企画された。村上さんは近く発表する予定の最新短編小説を自ら朗読して披露、会場を埋めた約400人のファンを沸かせた。

 村上さんが朗読した新作は「品川猿の告白」(仮題)。地方の温泉旅館の住み込みとして働いている猿の不思議な身の上話をつづる。年明けにも雑誌に発表する予定という。

 「数週間前に書き上げたばかりの新しい小説です。恩を売るわけじゃないけれど(披露するのは)今日のみなさんが初めてです」。紺を基調にしたパンツとジャケット姿で登壇した村上さんはそう切り出し、朗読用に短縮した「品川猿の告白」をゆっくりと読み上げた。人の言葉をしゃべる猿の声音をコミカルに再現する朗読は、聴衆の笑いを誘った。

 また、朗読の合間に行われた川上さんらとのトークで村上さんは「(作品を)書いているときは、僕は『書いてます』とは絶対に言わない。締め切りは嫌い。だから締め切りのある仕事はしないんです」など創作の舞台裏も披露。訪れた人々は熱心に聞き入っていた。

 村上さんは平成30年、母校の早稲田大が開いた「早稲田大学国際文学館(通称・村上春樹ライブラリー)」設置構想をめぐる記者会見に出席。今年6月にも自身が出演するラジオ番組の公開収録に臨むなど、これまでほとんど姿を見せなかった公の場での露出を増やしている。