数々のバンドにリスペクトされるザ・ストーン・ローゼズのデビュー作『ザ・ストーン・ローゼズ』

引用元:OKMusic
数々のバンドにリスペクトされるザ・ストーン・ローゼズのデビュー作『ザ・ストーン・ローゼズ』

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はザ・ストーン・ローゼズの1stアルバム『ザ・ストーン・ローゼズ』を紹介する。オアシスを始めとする多くのブリットポップ、オルタナティブ系のバンドに多大な影響を与えながら、活動期間中、たった2枚のアルバムしか残さず1996年に解散した彼ら(その後、2011年に再結成を果たすが)。90年代の音楽シーンをともに駆け抜けた人たちにとっては、まさに伝説のバンドだ。そんな彼ら名盤と言えば、1曲目「I Wanna Be Adored」からギュッと心を掴まれる本作だろう。
※本稿は2015年に掲載

ロック好きなら聴いて損なし!

ザ・ストーン・ローゼズの1stアルバムがリリースされた時は、気になって早速買いに行った。昔からジャケ買いに近い感覚で、あまりリサーチせずに勘を頼りに選ぶことが多いのだが、ザ・ストーン・ローゼズの場合はまず、バンド名だ。「もしかしてローリング・ストーンズに影響を受けたバンド? それともガンズ・アンド・ローゼズ?」(実際にはヴォーカルのイアン・ブラウンがストーンズとポール・ウェラー好きだったからとか、もろもろ諸説あるようだ)と単純に気になったのと、1曲目に“憧れられたい”という邦題が付けられていたからだ。1989年当時ロックバンドは以前より身近な存在となっていて、いわゆる“雲の上の存在的なスター”は少なくなっていた。そんな時代に“憧れられたい”とか“熱烈に愛されたい”みたいな、どストレートなタイトルを曲に付けるバンドがいることに妙にテンションが上がった。

そして、手にとったザ・ストーン・ローゼズの音楽は期待を裏切らない煌めきと高揚感にあふれていた。ちなみにザ・ストーン・ローゼズは幼少の頃からともに遊んでいたイアン・ブラウンとギタリストのジョン・スクワイアによってマンチェスターで結成されたバンドだ。1stアルバム『ザ・ストーン・ローゼズ』はシングルカット曲「She Bangs The Drums」がUKインディーチャートの1位を獲得したのをきっかけにじわじわと売れ、リリース翌年の1990年にはナショナルチャートで19位を記録。NME誌に“史上最高のアルバム”と絶賛されることになる。

…が、レーベルとのトラブルやバンドを取り巻く環境の変化がザ・ストーン・ローゼズの活動をストップさせることになった。マンチェスターブームからブリットポップへとシーンが移り変わる中、2ndアルバム『Second Coming』をリリースするのは1994年の12月。1stにして最高傑作と高い評価を得ながら、約5年もの間、彼らは長い沈黙期間に入ったのだ。