「ひつじのショーン」のウィル・ベチャー監督がいたずら心に込めたもの

引用元:TOKYO HEADLINE WEB
「ひつじのショーン」のウィル・ベチャー監督がいたずら心に込めたもの

「留守番させておくわけにいかなかったから一緒に日本に連れてきたよ」とショーンたちを紹介してくれたのは、公開中の『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』のウィル・ベチャー監督。「運ぶときは特別なケースに入れて片時も手放さないよ。もちろん飛行機の中も一緒。手荷物のX線検査で、ときどき係員が“!?”ってなることがあるよ(笑)。今回、日本に向かう飛行機の中で日本のCAさんがショーンの大ファンだというので“実は今一緒にいるよ”と言って見せてあげたらみんなが一緒に写真を撮りたがって大変だった(笑)。でもこうしていろいろな国の方がショーンたちを愛してくれるのは本当にうれしいね」。

「いたずら心は人の童心に響くものなんだ」

 2007年に登場して以来、世界中で愛されているイギリスのクレイ・アニメーション「ひつじのショーン」。待望の映画第2弾はショーンたちが宇宙を舞台に大騒ぎ。

「今回はショーンたちが新しいキャラクターと冒険に行く物語にしたいと思ったんだ。そこで宇宙からやってきたキャラクターを思い付いたんだけど、よく考えれば僕らはみんなSF好きだし、世界観も意外と合うことに気づいた。だってミステリーサークルといったらトウモロコシ畑でしょ(笑)」

 そして誕生したのが愛らしい新キャラ・ルーラ。

「シリーズの世界観に溶け込むと同時にショーンが一目見て興味を持つような印象的なデザインにするためかなり試行錯誤したよ。今回は、いつもは騒動を起こす側のショーンがルーラに振り回される姿を見ることができるよ。ショーンもこれでビッツァーの苦労が分かっただろう(笑)」

 無邪気ないたずら心やイギリス流の遊び心は作品を手掛けるアードマン・アニメーションズにおいても大切なもの。

「見る人は“ショーン、それはやらないほうがいいんじゃない?”と言いながらニヤニヤしちゃう(笑)。きっといたずら心は人の童心に響くものなんだ。アードマンのスタッフも撮影セットにこっそり何かを加えたり、いたずらし合っているよ(笑)」

 パペットたちを少しずつ動かしながら撮影していくストップモーション・アニメ。動かす度合いの大小でスピード感も出せるという。

「手足やしっぽにワイヤーが入っていて、こうやって細かく動かすことができるんだ。少しずつ動かすこともあれば、例えば手を素早く振っているときは手だけ一気に動かすときもある。だから、そのときの行動がどれくらいのスピードで行われているか把握しておかないといけないんだ」

撮影のある日のベチャー監督の1日とは?

「朝8時にはスタジオに着いて、まず(共同監督の)リチャードと一緒に確認事項や打ち合わせを1時間ほどする。スタジオに入ると120人ほどのスタッフたちと、それぞれ分担しながら作業をするので、毎日最初にシークエンスの確認が必要なんだ。その後、9時くらいから、各セットで行われている撮影を見て回る。1日10キロくらい歩くよ(笑)。撮影したシークエンスが入ってくると、スタジオの試写室でそれを確認する。撮影自体は夕方5時ごろには終了するんだけど、僕らはそこから編集室に入って、夜10時くらいまで作業。深夜近くに家に戻るけど、ベッドに入った後も夢に出てくるよ(笑)。今回はVFXも多く、アビーロードでの音楽収録なども行ったので、ポスプロ段階での作業も多かった。“やることリスト”の一番最後の項目にチェックしたときは、リチャードと2人で「終わったね…」って感じだったよ(笑)」

 最後に、日本のファンに本作に隠されたトリビアを。

「実は僕とリチャードも映画にカメオ出演しているんだ。2匹のカタツムリ役だよ。身長が高いほうが僕。草を食べて吐き出しているのがリチャードだよ(笑)」

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)