「相棒」「ドクターX」…人気シリーズの裏には“意外なモデル”が

「相棒」「ドクターX」…人気シリーズの裏には“意外なモデル”が

【テレビが10倍面白くなるコラム】

 民放の連続ドラマは来週に多くが最終回となるが、秋クールはシリーズものが並び、いずれも好評・好調だった。なんといっても、「ドクターX~外科医・大門未知子~」(テレビ朝日系)の強さが際立っている。2年ぶりのシーズン6は、平均視聴率20%を上回ることができなくなってきたが、NHKの朝ドラを別にすれば、今年のドラマ最高視聴率は確定した。

 同じテレ朝系の「相棒」はシーズン18と20年目突入で、視聴率15%前後と手堅い。やはりテレ朝系の「科捜研の女」のシーズン19は通年放送となり、視聴率11~14%と健闘している。

 テレ朝にはシーズン2の「おっさんずラブ―in the sky―」、12年ぶりシーズン3の「時効警察はじめました」もあり、深夜帯ながらゴールデンタイムのドラマを抜く人気だ。

 フジテレビ系の「まだ結婚できない男」は主人公の13年後という設定の続編で、視聴率は10%近い。テレビ東京系「孤独のグルメ」は、毎回「今回で終わり」と言いながら、シーズン8まで続いている。TBS系の「グランメゾン東京」も、木村拓哉のコスプレドラマシリーズと見れば23作目で、12%台とまずまずである。

「シリーズものは固定ファンが付いているので、数字(視聴率)が計算でき、スタッフや俳優は制作の勘どころがわかっているし、セットもそのまま使えます。スポンサーも付きやすい。テレビ局にしてみれば、ドラマをシリーズ化して当てたらウハウハですよ」(テレビ誌編集幹部)

 ドラマが人気シリーズになるかどうかは主人公の魅力にかかっている。それを生み出すのが脚本家で、ドクターXの中園ミホは「私、失敗しないので」が決めゼリフの大門未知子の一匹狼キャラは、ロンドンオリンピック女子柔道で金メダルを取った松本薫が、試合後に「私、ミスはしないので」と言い切ったのを見て思いついたと話している。

 相棒の杉下右京の生みの親の輿水泰弘は、切れ者すぎて嫌われる慇懃無礼なキャラはシャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロ、ネチネチと犯人を追いつめ、回りくどい物言いは刑事コロンボからヒントを得たという。

 杉下右京役は企画段階から水谷豊に決まっていて、大門未知子役も米倉以外にはちょっと思いつかない。印象的な主人公をいかにもそれらしい役者が演じたときに、ヒットシリーズは生まれるということだ。天海祐希の「緊急取調室」(テレ朝系)、長澤まさみの「コンフィデンスマンJP」(フジ系)、上野樹里の「監察医 朝顔」(同)などは、長寿シリーズが期待できそう。

(コラムニスト・海原かみな)