純粋に育ったわが家の“変わった息子”たち【ダンカンの笑撃回顧録】

純粋に育ったわが家の“変わった息子”たち【ダンカンの笑撃回顧録】

【ダンカンの笑撃回顧録】#19

 カタカタ……コロン! うむ、今回、俺の人生ルーレットが止まったのは? あら、教室? しかも、ここは小学校低学年の教室だぞ? で、俺を含め大人たちが教室の後ろに立っているってことは……あー! 父兄参観ということか!!

 となると、あー! いたいた、あの後ろから見てもソワソワと落ち着きのない態度は、わが虎太郎に他ならない。ということは2005、06年ということになるのだ。

 その時、教壇の先生が「では、きのう言ってあったように、みなさんの宝物を机の上に出して、なぜそれが自分の宝物なのか、順番にお話ししてください。いいですか」「はーい!!」という小学生たちのカン高く澄み切った声が教室中に響き渡ったのだった。

 ある女の子は幼い頃から大切にしているのだろうと思われる人形を取り出し、またある男の子は野球のグラブを左手にはめて右手の拳でパンパンと叩いている。そうして、どの子も宝物を机の上に並べているその時、「キャー」ダダダダダー、「イヤだ、なーに!?」ダダダダダーと教室内が突然、パニックに包まれたのである。

 そして、先生や子供たちの視野の先に目を向けると、そこにはわが家の愛猫の「ニャン」がウググググ……と多くの人間の目におびえながら、体中の毛を立てて、いざとなったら反撃に転じる低い姿勢をとっていたのだった。

 そうなのだ! わが子・虎太郎は前日、先生から自分の宝物を持って来るように言われ、自分がかわいがっているわが家の猫を段ボールに入れ、その段ボールをガムテープでグルグル巻きにし、逃げないようにして学校まで運んで来たのがこの騒動の顛末だったのだ。

 その後、俺と先生は大汗をかきながら愛猫のニャンを捕獲したのだ。もちろん、2人とも猫を宝物と思っている純粋な少年の気持ちを踏みにじるようなことはできるはずもなく、ほほ笑みながらそっと引っかかれた猫の爪痕を隠したのであった……。しかし、大切な宝物なんだろうけど、動物を学校に連れて行くかー!?

 いや、親バカと言われるかもしれないが、わが家の子たちは純粋なんです! 純情で汚れを知らないんです!!

 あ、そーいえば、虎太郎より8歳上の長男・甲子園が学校で頭を強打し、病院に行った時も(学校から連絡をもらい、俺しかいなかったのですぐ病院に駆け付けた)、本人は大丈夫と言っているけど念には念を入れて頭のCTを撮ってもらいたいと思い、診察を待つ時間に小声で「甲子園、いいか? 大丈夫と言うとCTを撮ってもらえないかもしれないから、大丈夫か聞かれたら、わからないよー!! と演技するのだぞ」とレクチャーしたところ、まさにその通りに迫真の演技をやり通し、「すぐCT! CT!」と先生を慌てさせたという、親の言うことを聞く素直さであったのだ。

 えっ、名前が甲子園とは珍しい? まあ、そーかなあ……よし、じゃ次回は甲子園誕生をお伝えいたしましょう。=つづく

(ダンカン/お笑いタレント・俳優・放送作家・脚本家)