選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット

引用元:ELLEgirl
選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット

12月10日(現地時間)に開催されたノーベル賞の授賞式。カール16世グスタフ国王を始めシルビア王妃、ヴィクトリア王太子やダニエル皇太子、カール・フィリップ王子やソフィア妃が出席、華々しく行われた。化学賞を授賞した日本の吉野彰氏も出席、グスタフ国王からメダルを授与された。


選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット


ソフィア妃(Princess Sofia of Sweden)Photo:Getty Images

この授賞式と晩餐会にグスタフ国王の姉のクリスティーナ王女(マグナスン夫人)が出席していなかったことがスウェーデンのマスコミを騒がせている。毎年クリスティーナ王女は授賞式と晩餐会に出席、授賞者たちを称えていた。王女の欠席が報じられると、スウェーデン王室はコメントを発表。「王室はクリスティーナ王女と夫のトルド・マグナスンは毎年授賞式に招待しています。でも今年は2人は出席しないと決断しました」と説明、王女側の意思だったと説明している。


選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット


クリスティーナ王女(Princess Christina of Sweden)、トルド・マグナスン(Tord Magnuson)Photo:Getty Images

王室は理由については正式発表していないけれど、王室の関係者はこれが文学賞の選考結果と授賞者に対する抗議だったと語っている。これまで文学賞授賞者が男性だった場合、晩餐会ではクリスティーナ王女が隣席でもてなすのが通例だった。今年文学賞を授賞したのはオーストリアの作家ペーター・ハントケ氏。彼の授賞を巡っては選考結果が発表された当初から議論が勃発していた。


選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット


ペーター・ハントケ(Peter Handke)Photo:Getty Images

ハントケ氏は1995年、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中に7,000人以上のイスラム系住民が殺害されたスレブレニツァの虐殺を「事実ではない」と否定している人物。またセルビアに住むアルバニア系の住民を多数虐殺し、民族浄化を計ったミロシェヴィッチ元ユーゴスラビア大統領を一貫して擁護している。ミロシェヴィッチ元大統領は国際戦争犯罪法廷で「人道に対する罪」で訴えられ、公判中に死去している。


選考結果に抗議? スウェーデンのクリスティーナ王女、ノーベル賞授賞式をボイコット


Photo:Getty Images

そのため、ハントケ氏の授賞が決まったときには国際社会や文学界から抗議や疑問の声が上がった。アルバニアの首相はSNSで抗議のメッセージを発表している。またミロシェヴィッチ元大統領によって自治権を剥奪された過去を持つコソボはハントケ氏を「好ましくない人物」として入国禁止にしている。授賞式が行われたスウェーデンのストックホルムでも抗議活動が行われていた。関係者はクリスティーナ王女もハントケ氏の授賞に抗議の姿勢を示したと見ている。

ノーベル賞文学賞は昨年、選考を務めるスウェーデンアカデミーの会員の夫の性的暴行が告発され発表が見送られたばかりだったのに、今年も物議を醸す結果となってしまった。アカデミーが来年どんな選考をするのか今から注目が集まりそう。
(text : Yoko Nagasaka)