ピカソも影響を受けた!?一人の郵便配達員が、33年を費やし“DIY”したトンデモないものとは?<写真18点>

引用元:Movie Walker

ここ数年、日本でも盛んになったDIYカルチャー。“Do It Yourself”すなわち何か作ったり、修理したり、出来ることは自身でしてしまおうという精神であり、棚や机を作ったことがあるという人もいることだろう。そんな“DIY精神”でとてつもないものを作ってしまった人物にスポットを当てた映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』が本日12月13日より公開となった。

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彼が作ってしまったものとは、ズバリ…宮殿(!)だ。19世紀末のフランスを舞台にした本作は、不器用で寡黙な郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(ジャック・ガンブラン)が、未亡人のフィロメーヌ(レティシア・カスタ)と出会い、結婚。そして娘アリスの誕生を経験し、アリスへの愛情表現として、石を積み上げて宮殿を作り上げるという奇想天外な試みに挑んでいく姿を描く。

石を拾い上げるところからすべてシュヴァルたった一人の手作業で行われ、実に33年、9万3000時間もの歳月を費やし作られた幅、奥行き26メートル、高さ10メートルにも及ぶこの宮殿。空想癖の強いシュヴァルの絵ハガキや雑誌を情報源にした夢想が表現されており、その見た目は古今東西様々な建築様式が混在したユニークさ。本作の撮影にも実際の宮殿が使用されており、その壁面や内部はおびただしい数の動植物のモチーフで覆われていたりと、いびつだがどこか引き込まれてしまうような、あふれ出る魅力を確認することができる。

この異様な建築物はシュールレアリズムの旗手アンドレ・ブルトンを筆頭に“素朴派唯一の建築物”との高い評価を受け、かのパブロ・ピカソやニキ・ド・サンファルも絶賛したほど。ピカソにいたっては、シュヴァルを題材にした素描も残すなど大きな影響を受けたというから驚きだ。

いまもフランス南東部ドローム県オートリーヴ村に現存するこのDIY宮殿は、1969年にフランス政府によって重要建造物に指定されると、現在は年間17万人以上が訪れる観光スポットとなっている。とはいえ、なかなか足を運ぶのも難しいので、ぜひ劇場で、宮殿が完成に至るまでの過酷な道のりやその裏に隠されたシュヴァル想いを目の当たりし、建築物が放つ魅力に圧倒されてほしい!(Movie Walker・文/トライワークス )