“バカ殿”志村さん持ちネタ「BCG」コロナに効く?

引用元:東スポWeb
“バカ殿”志村さん持ちネタ「BCG」コロナに効く?

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界で続くなか、結核予防のためのBCGワクチンがコロナに有効の可能性があると騒がれている。針の点状痕が思い浮かぶBCGといえば、バカ殿に扮した志村けんさんが左腕をあらわにして「このBCGが黙ってねえぞ!」とすごむコントがあったのを覚えている人もいるかもしれない。ネット上でも「志村さんはBCG接種してない世代だ」「同世代の親は接種していた」と議論になっている。そもそも信ぴょう性のある話なのだろうか。

 BCGが新型コロナに有効かどうか臨床試験を始めると発表したのはオーストラリアの医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスティチュート」。この研究所によると、新型コロナに似ているウイルスに感染している人にBCGワクチンを使用したところウイルスが減少したという。まずはオーストラリアにいる医療関係者4000人に対して臨床試験を行う。

 そもそもBCGワクチンは結核予防のためのもの。日本では戦前から研究が進み、日本ビーシージー製造株式会社のホームページによると、1949年にBCGワクチンによる結核予防接種が法制化。30歳未満の人に毎年ツベルクリン反応検査を行い、BCGワクチンによる免疫が確認されなかったら繰り返し接種されていたという。志村さんは1950年生まれであり、ネタにしていたことからも接種していた可能性は高い。

 これまでにもBCGは人の免疫力を高める作用があると指摘されていた。さらに、BCG接種を義務化している国は新型コロナの広がり方が遅かったり、死者が少ないという情報もある。BCGが新型コロナに対して何かしらの効果があるのではないかと推測してしまうのも無理はない。

 果たして信ぴょう性はあるのか。医学ジャーナリストの松井宏夫氏は「今、いろんな薬が試されているときで、こればかりはやってみないと分かりません。ただ、BCGは膀胱がんの治療にも使われています。新型コロナにも効くかもしれません」と話した。

 結核予防のワクチンが新型コロナに効く可能性があること自体が不思議だが、松井氏によると、ある薬が数年後に当初の目的とは違う病気に使えると判明することはよくあることだという。

「インフルエンザの薬だった『アビガン』が新型コロナにも有効だと中国で確認されています。また、東大医科学研究所では急性膵炎の治療薬である『フサン』が新型コロナの治療薬になるのではないかと臨床試験を始めるといいます。既存の薬が使えると分かれば、新薬よりも承認が早い利点があるのです」(松井氏)

 ネットでは「BCGに効果アリと祈ることしかできない」「希望も少しくらい持ちたい」「救世主になるのか」と期待感が高まっている。現時点では仮説ではあるが、これからどんな効果があるのか、もしくは何もないのか検証が待たれる。

 一方で「BCGやフサン以外にも有効かもしれない薬は今回のコロナでも出てくるでしょう」と松井氏。たとえBCGに効果がなくても“次”があるはずだ。