松本穂香が体現する、高校生たちの儚い青春…『君が世界のはじまり』が今夏公開

引用元:Movie Walker
松本穂香が体現する、高校生たちの儚い青春…『君が世界のはじまり』が今夏公開

ふくだももこ原作の「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を一つの物語に再編し、テレビドラマ「この世界の片隅に」などの松本穂香が主演を務める青春映画『君が世界のはじまり』が今夏に公開されることが決定。あわせてティザービジュアルと場面写真、イメージクリップが一挙解禁となった。

【写真を見る】儚い青春を感じさせる、フィルムで撮影されたティザービジュアルが解禁

ふくだのデビュー作ですばる文学賞佳作を受賞した小説「えん」と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を、『リンダリンダリンダ』(05)や『愚行録』(17)などを手掛けてきた脚本家の向井康介が一つの物語に再編した本作。松本演じる高校2年生のえんを主人公に、寂れゆく町でくすぶる高校生たちの青春模様が描かれる。ふくだ自らが監督を務め、原作の危うい魅力を一切損なうことなく映画化する。

このたび解禁されたティザービジュアルと場面写真は、あえてフィルムで撮影されており、穏やかに差し込む光とえんを演じる松本が物憂げにこちらを見つめる姿が印象的だ。またあわせて解禁されたイメージクリップ映像では、「自分だけ自由になりたいなんて、そんなんで人にやさしくなれるのかな」という少年の意味深な言葉とともに、えんがなにか言いたげな表情で正面を見据える姿が映しだされる。

原作と監督を務めたふくだは本作について「どこへも行けない、なににもなれない、そんな風に思っている誰かのはじまりのきっかけになればいいと願っています」と語っており、若者たちの揺れ動く心情を映しだした新たな青春映画の誕生に期待したい。

<キャスト・スタッフ コメント>

●松本穂香(えん役)

「青春時代って、一瞬すぎるからなのか、どこか記憶がぼんやりしている。大切な瞬間が溢れてたはずなのに、記憶が抜け落ちてる。だけど、多分、その時感じた切なさやあたたかさは、ずっとずっと心の中に感触として残ってるんだと思う。恥ずかしいぐらいまっすぐだった私たち。過去があって、今がある。私たちはずっと、何かに向き合いながら、苦しみながら生きてきた。そんな当たり前のことに救われる気がする。だから大丈夫。私たちは大丈夫。ダサくても痛くてもいい。だから伝わるものがある。そんな気持ちでこの作品に挑みました」

●ふくだももこ(原作&監督)

「『君が世界のはじまり』のもとになった小説『えん』と『ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら』は、私にとって、どうしようもなく特別な物語だ。“青春”という箱の中に入れられるのを嫌悪していたあの頃の、胸を突き抜けて飛び出しそうなエネルギーが、すべての登場人物に詰まっている。この映画が、どこへも行けない、何にもなれない、そんな風に思っている誰かの、はじまりのきっかけになればいいと願っています。私が書いた、ゴツゴツトゲトゲした岩のような小説を切り取り、石にして世に出してくれた人がいて、手に持てるよう丁寧に削ってくれた向井康介さんの脚本があって、一緒に磨いてくれた素晴らしいスタッフと、松本穂香をはじめとする、才能ある俳優たちがいる。すべての人の力を合わせて『君が世界のはじまり』は、誰も見たことのない、燦然と輝くたったひとつの宝石になった。どうかこのきらめきが、あなたの心を照らしますように」

●向井康介(脚本)

「40歳を越えて、もう青春映画を書くことはないと決めていた矢先に、佐々木史朗さんとの出会いがあり、“ふくだももこ”という若い作家の短編小説を知りました。二十代の書く文章に自分はもうついていけないだろうと思っていたのに、驚くほど心の中に入ってくる。なぜなのだろう?そんな疑問から、僕の中でこの企画は始まりました。『ふくだ、君が晩年になって、人が作品を振り返ったときに“ふくだももこの初期の代表作と言ったらこれしかないよね”とみんなが肯くような映画にしよう』何度目かの打ち合わせのあと、居酒屋で僕はふくだにそう言ったのを覚えています。とても小さな物語だけれど、この映画が生まれる一助を担ったひとりとして、本当にそんなふうに語り継がれるような作品になってくれたら嬉しいです」(Movie Walker・文/富塚 沙羅)