“月10”に音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』の挑戦 ライバルはスマホ、リアルタイムの熱量で対抗

引用元:オリコン
“月10”に音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』の挑戦 ライバルはスマホ、リアルタイムの熱量で対抗

 TBSは、新音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』(毎週月曜 後10:00)を3月30日からスタートする。レギュラーの音楽番組がゴールデン・プライム帯で生放送されるのは27年ぶり。視聴者が「まるでライブハウスに来ているような感覚」になるような、アーティストが主体となって作り上げる音楽番組を目指す。「今、音楽はスマホで聴けてPVもすぐ手に入る。テレビがスマホに勝つにはどうすればいいか。リアルタイムの熱量は検索からは伝わらない。今、赤坂のライブハウスで起きているものを共有してほしい」とこだわる総合演出・竹永典弘氏の番組作りに迫る。

【写真】『テセウスの船』主題歌歌手・Uruがテレビ初出演・初歌唱へ

■制作の“裏側”を中継、新人発掘などのレギュラーコーナーで「毎週見てもらえる番組」に

 この番組では“生放送”ではなく“生中継”を掲げている。コンセプトは「アーティスト自身が作り上げるステージをまるごと生中継する、月曜よる10時のライブ番組」。赤坂のライブハウスで起こっているライブを生中継している、という体裁をとりながら本番のみならず、ふだんはなかなか見ることのできない打ち合わせやリハーサルも放送し、ライブパフォーマンスとその裏側を届ける。

 まず、打ち合わせやリハーサルなど“裏側”まで届けるのは「アーティストがどういう想いで歌うのか。最高のステージにするために、こういう演出がしたいというアーティストに、番組側もできるだけ応えたい。その打ち合わせの模様を短くても見せることで、アーティストの想いやステージ上では見せない素顔やキャラクターもわかり、歌をより理解して聞いていただけるのでは」という意図がある。

 “毎週、どんなアーティストが出ても見てもらえる番組”にするため「キャスティングありきの番組になったらダメ」と強調する竹永氏。そのためにコーナー企画も充実させる。例えば今なら夜桜だったりと毎週季節を感じられる日本全国からの生中継ライブ『出張ライブ!ライブ!』、意外と知られていない1週間の音楽ニュースまとめ『安Pニュース』、そして番組最後には日本を代表するアーティストが日本の名曲を歌うコーナー『名曲ライブ!ライブ!』など毎週レギュラーで送る。

 検討段階ですが、いずれ観客を迎えることが可能になれば「スポーツ中継と一緒で、最後にきっちり終わるのではなく、今夜のお客様だけのために、アーティストの中の誰かにサービス曲を歌ってもらう。その途中で番組は終わってしまう・・・というようなことも考えています。番組ではあくまでライブハウスで起きていたことを10時から11時までを生中継していただけ…。始まりと終わりにアーティストに歌ってもらい、その様子は土曜日深夜の『CDTVサタデー』でゴールデンと深夜、ウェブと連動して番組を作っていきたい」と斬新な演出にも期待が高まる。

■従来の音楽番組への疑問 アーティストの“熱”を伝えるための工夫

 アーティスト主体を掲げる同番組の試みとして、裏側と、コーナー企画だけでなく“フルサイズ”放送もある。「基本ほぼ全ての曲を、フルサイズにします。やっぱりフルにするといいんですよ。曲の盛り上がりや詞の世界は全部聴かないとわからなかったりして、やっぱりフルサイズはいい。アーティストにも喜んでいただけたので、これからも続けていきたい」とその世界観を存分に伝えるための工夫を施す。

 竹永氏はこれまで『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』の総合演出をバラエティー中心に担当。長時間の音楽特番『音楽の日』や『レコード大賞』など総合演出も務めてきた。その中で、従来の音楽番組への疑問があった。「ライブに行くとアーティストは、すごく楽しそうなのに、音楽番組で歌っているときって、どうもその熱が伝わらない。ライブに行くと表情も含めてとっても感動するし、歌番組でももちろん、熱を込めて歌っていただいているとは思うのですが、あの感動をテレビで伝えるにはどうしたらいいか、それが大きなテーマになりました」。

 これまでの音楽番組はテレビ局が主導だった。「キャスティングしてアーティストが当日来て、レコード会社とは打ち合わせしますけど、リハーサルして、『では、お願いします』みたいな。段取り的なところがあって“番組に出ます”というモチベーションで来てもらっていた」と回顧。「でもこの番組では、自分のライブだと思ってもらいたい。明らかに今までのテレビよりもいい表情で歌っている。どこの音楽番組よりもあの番組で歌っているときはいい顔をしていると言われたいです」と真剣な表情で語った。

 かつて同局ならばゴールデンやプライム帯にもレギュラーでの音楽番組はあったものの、次々と店じまい。「時代が変わってきたのか、音楽番組は視聴率が獲れないみたいな空気があったけど、特番は違いました。ただ、勘違いしてはいけないのは、特番は“視聴率がとれる要素”でやっていますから。アーカイブやメドレーだったり派手さでやっていける。ただレギュラーで番組を作るとまだ、世の中に出ていない新曲をお見せすることなので、シビアな戦いになる」と冷静な視線も持つ。

 だからこそ、「目先の視聴率じゃない。10年先に愛されているかどうか。今いる10代の人が20代になり、20代の人が30代になってもこの番組を愛してもらえるかどうかがテーマであり、10年先の後輩に渡せる番組にすることが使命です。そのためにはまずアーティストに『出たい』と思ってもらえること。『あの番組なら出たい』という番組にしようとスタッフにも言っています。みんなで愛を持って接し、とにかく熱を伝えよう、と言い続けたいですね」。午後10時台に音楽番組という“大勝負”。永く愛される番組を目指し挑戦が始まった。

 初回は4時間スペシャルにて午後7時から放送。(※コーナー名は変更の可能性あり)。