『魔女の宅急便』が働く女性たちに支持された理由 仕事のスランプをどう乗り越える?

引用元:マグミクス
『魔女の宅急便』が働く女性たちに支持された理由 仕事のスランプをどう乗り越える?

「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」

 少女の自立を描いた宮崎駿監督の長編アニメーション『魔女の宅急便』(1989年)が、2020年3月27日(金)21時からの「金曜ロードSHOW!」(日本テレビ系)で全国放映されます。4月からの新生活を控える多くの人たちが共感を覚える内容です。

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 ヤマト運輸、日本テレビ、徳間書店とがっちりタイアップした『魔女の宅急便』は、1985年に設立したスタジオジブリにとって、大躍進を遂げるきっかけとなるヒット作となりました。それまでの宮崎監督は、『天空の城ラピュタ』(1986年)はSFマニア、『となりのトトロ』(1988年)は子どもたちに人気を博しましたが、『魔女の宅急便』が幅広い層に受け入れられたことで知名度がいっきに高まったのです。

 人気コピーライターの糸井重里氏が宣伝コピーを担当し、「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」という主人公・キキ(CV:高山みなみ)の手紙から引用した言葉は、働く女性たちの胸にふんわりと届きました。時はバブル。F1層と呼ばれる20歳~34歳の女性たちの消費動向が、経済を動かしていた時代でもありました。

時代の雰囲気とマッチした軽やかさ

 児童作家の角野栄子さんが1985年に発表した小説『魔女の宅急便』は、少女キキを主人公にした成長ストーリーです。キキは魔女のお母さんと人間のお父さんとの間に生まれ、13歳になった満月の夜、魔法のホウキに乗って実家から旅立ちます。魔女のいない街で、自活すること。それが一人前の魔女になるための通過儀礼でした。旅の相棒として黒猫のジジ(CV:佐久間レイ)も一緒です。

 キキが暮らすことになる時計塔のある街・コリコは、スウェーデンの首都ストックホルムやゴットランド島がモデルとなっています。『この世界の片隅に』(2016年)でブレイクすることになる片渕須直監督は、『魔女の宅急便』に演出助手としてクレジットされており、スウェーデンへのロケハンにも参加しました。他にも欧州や米国の都市のイメージが、コリコの街の景観には取り込まれています。

 キキが生まれ育った田舎と違って大都会のコリコですが、ここでキキはひとり暮らしを始めることにします。気の良いパン屋さんの奥さん・おソノさん(CV:戸田恵子)と知り合い、パン屋さんの二階に下宿させてもらいながら、「宅配サービス」を開業します。キキがお母さんから渡されたホウキに乗って飛翔するシーンは、宮崎監督ならではの軽やかさが感じられます。好景気が続いた1980年代という時代の雰囲気と、うまくマッチしていました。