「舌平目のターバン仕立て」に“亡き巨匠の哲学”を見た! 高嶋政宏・こだわりの極意

引用元:夕刊フジ
「舌平目のターバン仕立て」に“亡き巨匠の哲学”を見た! 高嶋政宏・こだわりの極意

 皆さん、覚えているだろうか?

 第52回ル・テタンジェ国際料理賞コンクールで日本人として34年ぶり、史上2人目という快挙で見事優勝した「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」の関谷健一朗シェフを!

 《Le Turban De Sole(舌平目のターバン仕立て)》

 この料理、以前、この記事を書きながら、食べたくて食べたくて仕方なかったんです。ところが…、奇跡って起きるんですね。

 その受賞料理を3月16日から1週間だけ完全に再現するというではないですか。この機会を逃しては! と「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」へ。

 店に入るなり、目に入るのは食べ終わったお客さんたちの幸せな顔! 顔! 顔!

 バターを一切使わない3種類のムース。舌平目とホタテのムースをベースに、上からマーブル模様のきのこのデュクセルソースを混ぜたムース、オマール海老のミソを混ぜたムース、1番下は何も混ぜてないナチュラルなムースでターバンをかたどっている。

 もちろんコンクールの料理を完全再現なので、食材はすべてフランスから空輸。何よりも仕込みはすべて当日で、味と薫りがMAX際立つよう、直前に仕上げる。

 この料理のためのスペシャルコースを頼み、受賞料理以外の、これまたスペシャルな料理を前菜から満喫しておりました。すると、つ、ついにその全貌をあらわにした舌平目のターバン仕立て!

 ここしかないというタイミングで仕上げられたソースをたっぷりかけてもらい、ひと口食べれば…。さあ、想像してみよう! 錬金術師が使うはかりのちょうど真ん中に座ったらどうなるか。まさにこの究極のバランス。このあんばいしかないという味わい! 滑らかさ!

 そこには王道フレンチでありながら、軽さのある究極の逸品が…。うまいもんを食べた、というような気楽な言葉では言い表せない。脳髄から“尊敬”という言葉があふれ出してくる。

 20世紀フランスが産んだ天才にして巨匠ジョエル・ロブションさんは残念ながら亡くなってしまいましたが、1970年に圧倒的な技術、センス、料理への愛をもってして同コンクールで優勝したあなたのフィロソフィーは50年以上たった2020年にも間違いなく受け継がれていますよ!

 ■高嶋政宏(たかしま・まさひろ) 1965年10月29日生まれ。東京都出身。87年、映画『トットチャンネル』で俳優デビュー。映画『AI崩壊』が公開中。4月からはドラマ『映像研には手を出すな!』(MBS/TBS)に出演。また、CS旅チャンネルで『高嶋政宏の旅番長“激動!ベトナム縦断編”』も放送中。