またアニメで差し替え? NHK番組編成は五輪延期でどうなる

またアニメで差し替え? NHK番組編成は五輪延期でどうなる

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年7月下旬から開催予定だった東京五輪が1年程度延期されることになった。東京都や大会組織委員会は、延期に伴う追加の費用負担や会場確保などでテンヤワンヤになるが、五輪中継や関連イベントの放送を予定していたテレビ局も番組の編成見直しを余儀なくされるだろう。民放はすでに代替番組の仕込みに向けて動き始めたといわれるが、気になるのは、NHKの動向だ。

 NHKは、阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で19日から始まる予定だったセンバツ(第92回選抜高校野球大会)の中止を受け、この時間帯は野球アニメ「メジャー」を放送。日を追うごとに深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大や、学校法人森友学園の国有地売買をめぐり、自殺した財務省近畿財務局の男性職員の遺書が公表されるなど、世論の関心が高い話題がたくさんある中、なぜ、NHKは平日の昼間からのんびりとアニメを放送しているのか。

 NHK広報部によると、「メジャー」放送の理由は、もともと放送を予定していたのがセンバツだったということに加え、子供たちが休校、春休みの時期に重なったこともあったようだ。それならば、過去のセンバツの名勝負や、名選手が振り返るセンバツ――といった企画が見たいと思うのだが、こうなると気になるのは、延期となった東京五輪の差し替え番組でNHKが何を放送するのかだ。

 しかも、このまま新型コロナウイルスの感染拡大が続けば、8月の全国高校野球選手権大会の開催も危うくなる。東京五輪、甲子園中継の代わりに毎日、子供向けアニメの「メジャー」や「おしりかじり虫」「境界のRINNE」ばかり放送されたらたまらない。

 NHKは、加古隆氏作曲の「パリは燃えているか」の音楽で始まる「映像の20世紀」や、第29回科学技術映画祭で科学技術庁長官賞を受賞した「地球大紀行」をはじめ、数多くの優れたドキュメンタリーやコンテンツがあるのだから、それを流せばいいではないか。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏がこう言う。

「森友や桜を見る会の問題など、公共放送機関として今、報道するべき材料はたくさんあるでしょう。かんぽ報道をめぐるNHK経営委の現場介入について検証してもいいのです。アニメであれば当たり障りがないと考えているのかもしれませんが……」

 せめてBS番組を地上波で流すぐらいの思い切った編成をしてほしいものだ。