ましのみ「1年目みたいな気持ち」成長した美学が放つ自信作に迫る:インタビュー

引用元:MusicVoice
ましのみ「1年目みたいな気持ち」成長した美学が放つ自信作に迫る:インタビュー

 シンガーソングライターのましのみが3月18日、ミニアルバム『つらなって ODORIVA』をリリース。昨年、生のサウンドを取り入れた「エスパーとスケルトン」を配信リリースし、これまでのましのみとは違った一面を提示。今作では恋愛を軸にこれまでのイメージとは違った彼女の音楽が聴くことができる5曲を収録。インタビューでは昨年のワンマンライブで掴んだ感覚や、自身の名前を変えようと思ったほどの変化を感じているというましのみに話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】 ましのみ「1年目みたいな気持ち」成長した美学が放つ自信作に迫る:インタビュー ましのみ(撮影=村上順一)

今は外に開けている感覚が強い

――昨年行った『ましのみワンマンライブ OKIGARU』で、ましのみさんの中で相当な手応えを感じたんじゃないですか。

 2ndアルバム『ぺっとぼとレセプション』をリリース後の私は音に関してもどのくらい気を配れるか、ライブに関してもどうやって楽しむか、という考え方にガラッと変わったんです。音楽も沢山聴くようになって作ったのが「エスパーとスケルトン」で、これまでライブはショーとして見せることを意識していたんですけど、みんなと楽しむ事を考えるようになって出来たのが『ましのみワンマンライブ OKIGARU』でした。それがめちゃくちゃ楽しくて。その後にも企画ライブをやっているんですけど、毎回良くなっているのがわかるんです。自信を持って新しい軸で進んでいけています。

――ましのみさんが他の音楽を聴くようになったのも大きな変化だと思います。その中で出来上がった『つらなって ODORIVA』なのですが、踊り場という言葉にたどり着いた経緯は?

 歌詞やタイトルの付け方もそうなんですけど、今までは刺激というのを意識していました。2ndアルバム以降、ナチュラルに作るようになってきたんです。前だったら絶対「7」というタイトルはつけなかったと思います。良い音楽を作るというところにシフトしたことで、自然な言葉をつけられるようになって。

 今回ミニアルバムという形式もすごく良くて、上手くトータルプロデュース出来たと感じていて。軸を恋愛に置いていて、ベタベタな誰かに対するラブソングというよりは、日々生活していて、それぞれの場面の踊り場、逃げ場になれるような曲を作りたいと思ったんです。全く同じ恋愛というのもないし、同じ事をしているようでもちょっとずつ前に進んでいるな、と思い螺旋階段が思い浮かんだんです。

――そこから踊り場というのが生まれて。

 でも、みんなが螺旋階段ではなくて、ぐにゃぐにゃしている人もいるし、一段目で止まっている人もいると思うんです。なので、一概に螺旋階段と括ってしまうのは違うなと思って、みんなに共通しているのは踊り場だと思いました。

 『つらなって ODORIVA』は階段でも良いし、階段じゃなくても良いんです。日々上がっているわけではなくて、停滞や後退している時もあるじゃないですか。その瞬間を踊り場として見立てています。

 でも、その瞬間も振り返ってみたら、しっかり進んでいたという事を肯定したくて。それらがつらなっているから大丈夫だよ、と言いたかったのと辛くなったら踊れば良いじゃんというのも掛けたくて。

――ダブルミーニング的な。シンプルになって来ているとは言いつつも、深いですよね。

 私の中では相当シンプルにしたつもりなんですけど、染み付いたものがあるなとは感じています(笑)。

――そういえばライブのMCでお話ししていたマッチングアプリは試してみたんですか。

 やってないんです。やっぱり身バレするのも嫌ですし…。会社員だと偽ってやってみようかなとも思ったんですけど、友達から「それって意味あるの?」と言われて、正論だと思いました(笑)。

――恋愛を軸と聞いて、てっきりマッチングアプリから出来た曲もあるのかなと思いまして。

 今はそんな事をしなくても、ご飯に行きたい時はクリエイターの方とか自然と誘えるようになったんです! この1年ですごく社交的になれました。

――それはすごいことですよ!

 そうなんです。前は音楽を聴かない方が感性が潰されないとか、閉じこもって自分を掘り下げた方が良い歌詞が書けるとか受け身だったんですけど。

――それって中二病的な?

 そうかもしれないです(笑)。今は中二病の第2形態なのか、中3に進化したのかはわからないんですけど、昔とは全然違うんです。人との出会い、例えばsasakure.UKさんに出会った事でもっと音を勉強したいと思いましたし、歌詞も自分にはない価値観を取り入れるのが元々好きだったので、色んな人と喋った方が楽しいかもと音楽的に思えたんです。前は音楽的に嫌だったから社交的にもなれなかったんです。

――インプットの方法が変わって。

 そうなんです。これまでは自分の主観が入るのが怖くて最終的なジャッジは他の人に任せたいと思っていた事も、今は自分でトータルプロデュースしたいと思えたり。今は外に開けている感覚が強くて、この前対バンしたxiangyu(シャンユー)ちゃんにクラブに連れて行ってもらおうとしてたり。クラブに居て余裕という感じではないんですけど、前よりは楽しめている自分もいるのは確かです。