【まだ見たことのないセカイ ライヴレポート】『ハジマリノオト』2019年12月6日 at 渋谷スターラウンジ

引用元:OKMusic

 ヴォーカリスト・声優・YouTuberとして活動してきたねおきまこ(Vo)、ガールズメタルバンドのギタリストとして活躍してきた美弦(Gu)が2019年7月に結成した、まだ見たことのないセカイが10月にリリースしたミニアルバム『幽玄モノクローム』を掲げ、初ライヴを12月6日に渋谷スターラウンジにて開催をした。そのお披露目にチケットはソールドアウトを記録し、観客たちの期待感が会場を占拠する中、ステージを遮っていた幕がゆっくりと開く――。 

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 オープニングを飾った「極彩色のユートピア」からフルスロットル! ドラマチックでメロディックなメタルサウンドがフロアーを煽り立て、最前列ではヘドバン、サビになると拳が突き上がり、野太いオイコールが響きわたる。さらにまこが感情いっぱいに激唱しつつ“みなさん、そんなもんですか?”と焚き付け、観客はそれに呼応。のっけから熱気が場内の隅々にまで広がっていく。そんな中、厳ついリフを刻み、超絶ソロを笑顔で弾き倒す美弦。また、YASHIRO(Gu)、わかざえもん(Ba)、むらたたむ(Dr)と女性で脇を固めたサポート陣のプレイも圧巻で、難解で重厚な高速サウンドの破壊力を最強のものにしているのは特筆すべきところだろう。序盤にしてまだ見たことのないセカイの世界が築かれた…のだが、そのクールな空気をMCでのふたりの天然トークが破壊。ある意味、このギャプも彼女たちの世界である(その後もMCごとに楽曲が構築した世界を崩壊させたことは言うまでもない)。そんな緩んだムードをゲストのYUZUKINGDOMのグロウルとまこのハイトーンが交錯するスリリングなヘヴィチューン「escape」で蹴散らすと、まこが捌けてYUZUKINGDOMがヴォーカルを務めるブロックへ。ここから数曲は彼女名義の屈強なナンバーが披露され、グロウルとクリーンを使い分けるヴォーカルはもちろん、美弦をはじめとするプレイヤー勢のハイスペックな演奏が観客を魅了する。まこが戻るとツインヴォーカルで「Break away」、YUZUKINGDOMを送り出したあとはラストナンバー「Get on the Tailwind」を投下し、2度目の「極彩色のユートピア」でフィニッシュ。叫ぶように歌うリリックも胸を刺すメロスピサウンドでフロアーを完全燃焼させるのだった。

 大成功に終わった初ワンマン。作品がミニアルバム『幽玄モノクローム』だけのため、持ち曲が5曲しかないということで、MCタイムが多かったのもそれはそれで彼女たちのキャラが発揮されて良かったと思う。終演後には2020年に新作を発表すると告知もあり、ここからの次の一歩が踏み出されるわけだが、美弦曰くゴリゴリとのことなので、メタラーは乞うご期待だ。

取材:土内 昇

セットリスト

1. 極彩色のユートピア
2. Ark
3. escape feat.YUZUKINGDOM
4. Pandemic(YUZUKINGDOM)
5. Jail(YUZUKINGDOM)
6. Eyes Shut Tightly(YUZUKINGDOM)
7. ODD PARADE(YUZUKINGDOM)
8. National Anthem(YUZUKINGDOM)
9. Break away
10. Get on the Tailwind
<ENCORE>
極彩色のユートピア

OKMusic編集部