『ファイアーエムブレム』死んだ仲間は戻らない残酷さ 己の手でキャラを扱う責任

引用元:マグミクス

「おれは……こんなもんじゃ……! 兄貴……ヨファ……すまね……え……」

 アクションゲームやRPGをプレイしていてパーティーメンバーが倒れると、決まって筆者の脳内をよぎるのが上記の言葉。これはシミュレーションRPG『ファイアーエムブレム(以下『FE』)』シリーズ作品で流れた”キャラクター死亡メッセージ”です。

【画像】『暗黒竜と光の剣』から始まった、FEの歴史(8枚)

 任天堂が1990年4月に発売したファミコン用ソフト『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』は、当時のゲーム業界にシミュレーションRPGが定着するきっかけとなりました。性能の異なるユニット(兵器や兵隊)を操って敵軍の壊滅を狙うSLG(シミュレーションゲーム)をベースに、各ユニットに詳細なプロフィールと顔グラフィックを追加。結果として、戦争の道具にすぎなかったユニットが命の込められた「キャラクター」へ生まれ変わったのです。


『ファイアーエムブレム』死んだ仲間は戻らない残酷さ 己の手でキャラを扱う責任


『FE』のキャラも参戦。Nintendo Switch用ソフト『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(任天堂)

『FE』は据え置き機から携帯ゲーム機へとハードをわたり、2019年の現在まで続いているヒットタイトル。中世ファンタジーを下地にした舞台で、これまで幾多もの人間ドラマや英雄譚を描いてきました。

 昨今では『暗黒竜と光の剣』『紋章の謎』のマルスや『蒼炎の軌跡』『暁の女神』のアイクといった主人公格が、人気ゲームのさまざまなキャラクターが登場するアクションゲーム『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズへ参戦していることもあり、「実際にゲームをプレイしたことはないけど、キャラクターはなんとなく知っている!」という方が多いかもしれません。

 また、2019年7月発売の最新作『風花雪月』は物語を二部構成とし、同じ釜の飯を食べたかつての学友と矛を交えるシリアスな展開に。この『風花雪月』を含め、本シリーズは戦争に赴く人びとの生きざまや人間の生死にフォーカスしていますが、なかでも筆者の脳裏に焼き付いているのは『FE』特有の”ロスト”です。


『ファイアーエムブレム』死んだ仲間は戻らない残酷さ 己の手でキャラを扱う責任


ゲームボーイアドバンス用ソフト『ファイアーエムブレム 烈火の剣』(任天堂)

死んだキャラクターは二度と戻らないのが『FE』

『FE』シリーズにおけるロストとは、戦闘中に敵の攻撃を受けて倒れたキャラクターが永遠に自軍から離脱してしまうシステム。一時的な戦闘不能ではなく、一度倒されてしまうと二度と本編に登場しません。『FE』シリーズを特徴づける仕様のひとつで、蘇生アイテムや倒されても復活するゲームモードなどの救済措置を除き、基本的にロストしたキャラクターは使用できなくなります。ちなみに2003年発売の『烈火の剣』TVCMでは「別離」というフレーズにより、キャラクターのロストが強く押し出されていました。

 ラスボス直前まで進めたセーブデータの進行不能バグや、手塩にかけて育てたキャラクターの消失など、筆者はこれまでさまざまなゲームプレイを通してロストを味わいましたが、そのどれとも比較にならないほど、『FE』のロストは悲壮感で満ちあふれていたのです。