DA PUMP「地道に培ったものと自信がダンスに表れている」

引用元:Lmaga.jp
DA PUMP「地道に培ったものと自信がダンスに表れている」

代表曲『U.S.A.』の「いいねダンス」など、誰もがひと目見ただけで踊れる振付を発表し続けるDA PUMP。3月25日リリースの『Heart on Fire』では、アメリカで流行し、ハッピーな気持ちを表すときにやる「つり革ダンス」を取り入れている。

電車のつり革を持つときの動きをモチーフにしたこの振付は、誰でもできるお手軽なダンスだ。しかしDA PUMPは、卓越したスキルを各自が持っているグループ。「誰でも真似ができる」という打ち出し方についてどのように考えているのか。来阪したメンバー全員に話を訊いた。

──『Heart on Fire』のつり革ダンスは、TOMOさんが渡米した際に目にした振付をモチーフにしているんですよね。

TOMO「僕はアメリカで何が流行っているのかその目で見たいので、意識的に渡米する機会を設けているんです。つり革ダンスはSNSでも見たことがあったのですが、実際に目にして『今回の楽曲のノリの良さやテンションにハマるんじゃないか』と感じました」

KIMI「その動き自体は、自分も友だちがSNSでやっているのを見たことがあったので知っていたけど、あれを現地で吸収して取り入れる、TOMOくんの感覚がすごいと思う」

U-YEAH「海外の人は、誰もが自分の感情表現として自然にダンスを踊るけど、日本はまだまだ抵抗があって、『ダンスを習っているかどうか』みたいな分け隔てがあるような気がする。そのなかでDA PUMPの踊りは真似してみたいと思わせる・・・やっぱりTOMOさん、やばい!」

DAICHI「『U.S.A.』(2018)のいいねダンス、その次の『桜』(2019)でのサクラフィンガー、『P.A.R.T.Y.~ユニバース・フェスティバル~』(2019)のバイーンダンスなどがあって、今回がつり革ダンス。どんな年代の方たちでも覚えられるし、踊れる。さすがTOMOさんはすごいな~って!(全員うなずく)」

TOMO「(笑)」

──(笑)。でもDA PUMPへの驚きってそこなんですよね。従来のダンスグループは誰もマネができないアクロバティック性を売りにすることが多いですが、『Heart on Fire』は「2秒で誰でも真似ができる」というようなキャッチコピーですよね。DA PUMPに圧倒的な技術があることは誰もが前提として分かっているけど、それでも「自分たちの踊りはみんな簡単にできる」と言えちゃう部分がすごい。

TOMO「高い技術力を魅せたいという思考も現在もなくはないんです。スキルを打ち出したい気持ちは10年間変わらない。だけど『U.S.A.』以降、みんながもっと一緒にできること、それこそ『ダンスをシェアしていこう』という気持ちの方が強くなりました」

YORI「『U.S.A.』までの10年の時間があったからこそ、『Heart on Fire』でもこういう打ち出し方ができるようになった気がします。『U.S.A.』をきっかけに、お客さんが求めてくれていること、楽しみにしているものに応えていきたいという考え方になった。試行錯誤して、いろんな経験が混ざった形が、今なんです。それにみんなで一緒に出来るって、すごく素敵なこと。『自分たちはこれがやりたい』というエゴが強いだけではダメですから」

DAICHI「それでも、自分たちが純粋に見せたいことはちゃんとライブでやっているよね。覚えやすいダンスと楽曲があって、そのなかで自分たちが魅せたいものは表現しています。『U.S.A.』以降、そのバランスが良くなってきました」

──今回のつり革ダンスも、ちょっとした上下の腕の動き。でもDA PUMPのダンスは、大きなライブ会場で遠くからでもきっちり伝わるものがある。そこが不思議なんです。あと、たとえばダンスコンテストなんかでは大きな動きをみんなが狂いなく揃えることが、趣旨としてあるじゃないですか。DA PUMPは揃っていなくても成立している。

TOMO「それについてはひとつ言えることがあって、楽曲に合ったグルーヴ感やテンションがメンバー全員で一致しているからなんです。そこが一番大きい。もちろんダンスにおいて動きの決まりはあるけど、僕らはそのなかで自由度や個性を出せるように余白を作っています。みんなはそこを『遊び』に使っているけど、ただ、グルーヴ感やテンションだけは何があっても合わせる意識は持っています」

ISSA「あと『U.S.A.』以降、それぞれのメンバーの存在が多くの人に認識してもらえるようになったことも理由として大きい。みんながちゃんと表に出ているからね。地道に培ってきたものと、今こういう環境に立たせていただいていることで生まれた、それぞれの自信。『U.S.A.』までに僕らがやってきたことは、すごく深いものがあった。だからこそ何があっても甘んじることなく、感謝の気持ちを忘れず全員が活動できているし、そこからにじみ出るものがダンスに表れているのかもしれない」

KENZO「ダンスにはいろんな動きや型があるけど、でも一番重要なのは、本人たちがどういう感覚で、どういう気持ちで、どういうエネルギーを人に伝えたいのかなんです。まさに身体表現。同じ振付でも『この人たちは違うな』と上手く見えたりする。それって、そういうこだわりが表現のなかにきっとあるからなんです」

KIMI「DA PUMPは楽しむということを前提にやっているから、内面的なものが自然と出ているのも理由のひとつかな。テレビに出演したら、友人から連絡が来るんですけど、みんな『めっちゃ楽しそうにやっているよね』と言ってくれる。僕は『うん、すごく楽しいよ』って。そういうものがきっちり伝わっているのかもしれません」