齋藤飛鳥&伊藤沙莉、アニメ&実写『映像研』の浅草氏が対談!伊藤のハマりぶりに齋藤「どうしてくれるんだ」

引用元:Movie Walker
齋藤飛鳥&伊藤沙莉、アニメ&実写『映像研』の浅草氏が対談!伊藤のハマりぶりに齋藤「どうしてくれるんだ」

「月刊!スピリッツ」にて連載中の人気漫画をテレビアニメ化し、今年1月からNHK総合で放送されている「映像研には手を出すな!」が、幅広い世代から支持を集めて大いに話題となっている。本日最終回を迎えるテレビアニメに続き、4月からはテレビドラマが放送開始、そして5月15日(金)には、なんと実写映画となってスクリーンに登場。やりたいことに向かって突き進む“映像研”のメンバーが、漫画、テレビ、映画にお目見えし、たっぷりと楽しませてくれる。そこでテレビアニメ版で浅草みどり役の声優を務める伊藤沙莉と、実写ドラマ&映画版で同役を演じる齋藤飛鳥を直撃。伊藤の浅草役へのハマり具合を絶賛し、「どうしてくれるんだ!と思った」と笑う齋藤。「実写で、妄想パートってどうやってやるんですか?」と尋ねる伊藤。お互いの浅草役に興味津々の2人によるスペシャル対談、スタート!

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原作は、大童澄瞳による人気コミック。「アニメは設定が命!」を信条に掲げ、ことあるごとに妄想で世界を染め上げる変わり者の浅草みどり。親に反対されつつも自分を表現するためにアニメーターを目指すカリスマ読者モデルのお嬢様、水崎ツバメ。その2人の才能をまとめて管理し、金儲けをしようとするプロデューサー気質の少女、金森さやか。3人の女子高生たちが、虚実入り乱れた個性的な世界観と“最強の世界”を夢見て、アニメーション制作を志す姿を描く青春ストーリーだ。

■ 「アニメの浅草氏を見て、どうしてくれるんだ!と思った」(齋藤)

ーーお二人は、今日が初対面だそうですね。テレビアニメが1月から放送され、実写版はテレビドラマが4月より放送、映画が5月15日(金)より公開となりますが、お互いの浅草役を見た感想はいかがでしたでしょうか。

伊藤「はじめまして、伊藤沙莉です(笑)。ドラマ版を観させていただいたのですが、『うわあ、浅草氏だ!』と思って!動いている、人になっていると感動しました(笑)。齋藤さんの浅草氏、すごく原作と似ていますよね。特に、挙動不審になっている時の目の開き方がとても似ていて、たくさん研究されたんだろうなと思いました。浅草を演じるのって、きっと難しかったと思うんです。漫画原作ものって、原作に寄りすぎると人間味がなくなってしまう恐れもあるし、そういった葛藤もあったはず。目の動きなど、細かい部分を寄せることで浅草を表現されていて、すごいなと思いました」

齋藤「はじめまして、齋藤飛鳥です(笑)。すごくうれしいです!私は実写の撮影に入って少し経ったころに、アニメ版のPVを観ることができて。もう『どうしてくれるんだ!』と思いました(笑)。完全に浅草だし、それでいて伊藤さんにしかできないことをやっていらっしゃって、そんなものを見せられてしまったら、実写で表現しなければいけない私たちはどうしたらいいんだろう…と。アニメ版の放送はもちろん観ていますが、それに影響を受けすぎてしまってはいけないとも感じて。どうしても頭の片隅では意識してしまうんですが、私は私にできることを精一杯やろうと思いました。なのでアニメはいち視聴者として、楽しんで観ています」

ーー人気のある漫画が原作ですので、浅草役に決まった時はプレッシャーもありましたか?

伊藤「ファンの方がたくさんいる作品ですし、そのメインキャラクターの浅草役を私がやらせていただくなんて、最初は『すみません』という想いでした。でもとても熱い話で、演じているこちらも元気になるし、観ている方も元気をもらえるような作品だと思うので、とてもやりがいを感じました。テレビアニメの声優をやらせていただくのは初めてですし、家でもかなり練習しましたね。現場では音響監督さんにたくさんご指導いただいて、いざなっていただいた。『寅さんっぽく話せますか?』など細かいご指導によって徐々に出来上がっていった形です。そう言った意味でも浅草役は、みなさんに作ってもらったんです」

齋藤「私はまず、『この漫画を実写化するんだ』という驚きがありました。原作を読んでいて、『これを実写化するなら…』と想像すると頭がこんがらがってしまう感じもあって(笑)。私自身、漫画原作の実写化作品に出演するのは初めてでしたし、どのように表現していったらいいのかなと、不安もありました。でもなにより、私は『現実にも、浅草のような子っているよな』と思ってほしかった。もちろん原作ファンの方にもいいなと思っていただきたいけれど、浅草がそのまま漫画から出てきたというよりは、少し現実味を加えられたらいいなと思っていました」

■ 「とにかく浅草が愛おしくて仕方がない」(伊藤)

ーー愛すべき主人公、浅草みどり。お二人にとって「浅草のこんなところが好き」、また「共感する」という点を教えてください。

伊藤「私は誰とでもすぐに仲良くなれるタイプだと見られがちなんですが、結構な人見知りで。浅草ほど表面には出ないけれど、私も初対面の方と話す時は、心のなかではかなりキョドっています(笑)。言葉遣いがおかしなことになってしまうのもすごくわかるし、自分にだけわかる謎の言葉を生んでしまったりすることにも、共感ができます。“ヨイショ”と一つ持ち上げないと、人とうまく話せないところはとてもわかりますね」

ーーかなり心を寄せられるキャラクターだったのですね。

伊藤「もう、とにかく浅草が愛おしくて仕方がない!現実を叩きつける金森氏、自分のやりたいことを貫き通したい水崎氏。そして想像の世界を繰り広げるけれど、最終的に意見をまとめるのは意外と浅草氏だったりして、そういった浅草氏のかっこよさを毎回見せつけられています。私も作品やお芝居の話をする時は、浅草氏のような熱量を持って話している気がしていて、好きなことに関して譲れない想いを持っているという点もすごく共感します」

齋藤「すごくわかります。私も浅草氏が、すごく愛おしい。私自身、あまり人前で素顔を見せるのが得意ではないので、浅草氏が誰かと接しているときに、なにかを演じているというか、不思議な話口調になったりするところにすごく惹かれるんです。私も江戸っ子のようにやってみようとか、落語家さんのように話してみようとか、いろいろと研究しながらギャップを大事に演じていました。アニメのことになるとバーっと夢中になって話す浅草氏がすごく魅力的ですが、私たちのなかではその状態を“覚醒”と呼んでいます。覚醒している時の浅草、べらんめえ口調の浅草。いろいろな表情があるので、その演じ分けが大事だったように思います」

■ 「プロペラスカートのモーターもきちんと背負っています!」(齋藤)、「うわあ、楽しそう!」(伊藤)

ーーアニメ版ならではのよさ、実写版ならではのよさを、それぞれどのように感じていますか?

伊藤「漫画があって、実写があって、その中間的な立ち位置になるのがアニメなのかなと感じていますが、そのすべてで『映像研には手を出すな!』の世界ができたと思うと、すごく素敵なことだなと思います。アニメ作りの現場をアニメで描いているわけですが、私はほかのアニメを観る時も見方がちょっと変わってきて、『ここはこういう効果を使っているのかな』とか思ったりしちゃう(笑)。アニメの楽しみ方が増えるような作品になっているのかなと思います」

齋藤「先ほど『現実にも、浅草のような子っているなと思ってほしかった』とお話ししましたが、私は、浅草のような子が現実にいてほしいなと思うんです。そういった女の子を演技で表現できるのはとてもうれしいこと。きっと浅草のように人と接するのが苦手だという人もいると思うし、そんな子が、好きなことになると熱中して、こんなにもまっすぐになれるんだと思ったり、自分の好きなことであれば、自分をバン!と出していく強さを持つことができるんだと思うと、私自身、すごく励みになって、勇気をもらえたんです。観ていただく方にも、そんな経験をしてもらえたらすごくうれしいです」

ーー浅草という素敵なキャラクターを共有する、特別な体験をしたお二人。お互いに聞いてみたいことはありますか。

伊藤「実写に関しては、聞いてみたいことばかりです!“想像の世界”って、どう表現しているんですか?」

齋藤「コックピットや戦車は実際にありますよ!セットとして作って、そのなかに入ってレバーを動かしたりしています。プロペラスカートもモーター部分はきちんと背負っていますし、私はワイヤーで宙に浮いています(笑)」

伊藤「ええー!すごい!ドラマ版でツバメちゃんが川に落ちるシーンがありましたが、あれもツバメちゃん役の山下(美月)さんご本人?」

齋藤「本人が川に飛び込んでいます。やはり怖かったんでしょうね、1回目は怖くて飛び込む姿勢が悪かったり、衣装を押さえられずいろいろとうまくいかなかったらしくて(笑)。撮り直しをして、2回飛び込んだりと、なかなか体を張っています。でも声優さんも、しんどくないですか?」

伊藤「あはは!声を収録する時は、実はまだアニメが完成していなくて、絵があまりわからない状態だったりするんです。そのタイミングを計ったりするのが、最初は難しかったですね。しかも尺にきちんと収めなければいけない。プロの声優さんは本当にすごいです!」

ーーお二人の笑顔からも、現場を楽しんでいることが伝わってきます。本作を通して、ものづくりの楽しさを実感したことはありますか?

伊藤「『アニメ第1話の前半パートができあがった』ということで、映像研メンバーのキャスト3人一緒に、はじめて出来上がった映像を見せていただいた時は、すごく感動しました。自分たちのお芝居、監督の演出、絵の動きなど、これまでやってきたことすべてが形になって息づいていると思うと、本当にうれしくて。作中でも『いい仕事は、いい遊びから』という言葉がありますが、“楽しむ”ということは、一番の武器にもなるんだなと実感しています。浅草役をやらせていただいたことで、私自身、いろいろな自信につながることができたと思っています」

齋藤「実写の現場は、照明さんがいて、音声さんがいて、アニメーター指導の方が何人もと、たくさんのスタッフさんがいらっしゃいます。乃木坂46の活動では、メンバー以外のたくさんの方々とこんなふうに関わることって、あまりできる経験ではなくて。そういった現場で、作品に対してイチから、みんなで同じ熱量を持って向かっていくということが、すごく心地よくて。撮影が進んでくると、言葉を交わさなくても、バシッとそれぞれの役割やタイミングが合うことがあり、そういった瞬間を経験できたことが本当にうれしいです。私自身、映画の完成がとても楽しみです」

(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)