ボ・ガンボス、入魂の一作『BO & GUMBO』

引用元:OKMusic
ボ・ガンボス、入魂の一作『BO & GUMBO』

OKMusicで好評連載中の『これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!』のアーカイブス。今回はボ・ガンボスのデビュー作『BO & GUMBO』を紹介したい。一般的な知名度は高くないかもしれないが、ボ・ガンボスは早くから業界内で注目されていた存在で、デビュー前から「近い将来、確実に武道館でやれるバンド」としてX(現:X JAPAN)と並び称されていたと言えば、そのポテンシャルの高さを感じとってもらえるかもしれない。もっと手っ取り早いのは本作を聴いてもらうことである。絶妙なバンドアンサンブルが奏でるグルーブ感は今聴いても瑞々しく、邦楽名盤のオールタイムベストに挙げられるほどの傑作であることが分かってもらえると思う。
※本稿は2016年に掲載

デビュー前から話題になっていたバンド

筆者はローザ・ルクセンブルグをリアルタイムで聴いていたわけではなかったが、ボ・ガンボスがデビューする頃、「ローザ・ルクセンブルグを辞めたどんと(Vo&Gu、本名:久富隆司)が新しく立ち上げたバンドはすごいらしい」という噂は人づてに耳にしていた。ボ・ガンボスのデビューは平成元年=1989年。『三宅裕司のいかすバンド天国』、通称“イカ天”がスタートした、まさにバンドブーム直前であり、「どんとの新バンドがすごいらしい」という話は業界内での先物買い的な指向もあったのだろう。

この業界に足を踏み入れたばかりだった筆者が当時、他によく聴いていたのは松任谷由実の『Delight Slight Light KISS』、COMPLEXのデビューアルバム辺り。“セカンドライン”という言葉を知っていたかどうかも怪しい頃で、ニューオーリンズはおろか、ファンクやらR&Bにもさほど興味はなかったにもかかわらず、ボ・ガンボスの1stアルバム『BO & GUMBO』はよく聴いていた記憶がある。

とは言っても、リピート率が高かったのはユーミンやCOMPLEXのほうだと思っていたのだが、本稿作成にあたって、久しぶりに『BO & GUMBO』を聴き直してみたら、M1「助けて!フラワーマン」~M2「泥んこ道を二人」~M3「魚ごっこ」辺りは、歌詞はおろか、ヴォーカルのフェイクまで覚えていて、「こりゃ相当聴いていたんだなあ」と我がことながら、ちょいと不思議な感じだった。そのことを即ちボ・ガンボスの音楽の優秀さと結び付けるわけにもいくまいが、ボ・ガンボスの楽曲が普遍的であることは間違いないし、演者の熱がこもった音楽であることを再確認させてもらった次第である。