Lead「自分たちを超えることができた」新たな出会いが生んだ音楽のグルーヴ:インタビュー

引用元:MusicVoice
Lead「自分たちを超えることができた」新たな出会いが生んだ音楽のグルーヴ:インタビュー

 3人組ダンスボーカルユニットLeadが18日、アルバム『SINGULARITY』をリリース。2002年のデビュー以来、毎年進化をとげる高いステージパフォーマンス力とさわやかで自然体なキャラクターで幅広い世代から支持を集める彼ら。9枚目のオリジナルアルバムとなる今作は、2月19日にリリースしたシングル「H I D E and S E E K/サンセット・リフレイン」を含む全13曲を収録。“SINGULARITY”=「特異点」というタイトルにも表れている通り、これまでの彼ら自身を超えていく新機軸の見える多彩な作品となった。三人に作品づくりにおいて感じたことやステージにかける想いなどを聞いた。【取材=キャベトンコ】

歌って誰かに感じてもらわないと、曲は生きてこない

――先日リリースのニューシングルは、爽快な「サンセット・リフレイン」とクールなかっこよさが光る「H I D E and S E E K」という対照的なナンバーが収録されていますね。

谷内伸也 「サンセット・リフレイン」はハワイを舞台にしたドラマ『アロハ・ソムリエ』の主題歌で夏を押し出す曲ですが、「この冬の季節に夏感というのは、どうかな?」という戸惑いはありました。でも、僕らは夏にデビューしたので夏曲は今まで多くて。自分たちでも「夏だ!  海だ!  Leadだ!」といった感じで言ってきたので、逆に冬に夏曲だと、より夏を前に出していけるかなと。逆手にとって、いいインパクトになったのではないかと思います。

――ミュージックビデオは、リラックスしたLeadの表情が伝わってくる内容になっていますね。

谷内伸也 単純に楽しく遊んでいる映像で(笑)。振り付けがあるのもサビだけ。そこだけ見たら真似できる、キャッチーなMVになりました。

――サビだけの振付にしようと思ったのはなぜですか?

谷内伸也 皆さんに踊っていただきたいところをピックアップして、そこだけ踊ることによってインパクトが残せる。そして踊りだけじゃない、Leadの和気あいあいとした雰囲気も伝わるんじゃないかと思って。「きっとLeadのライブは楽しいんだろうな」といったところに結びついたらいいな、とは思いながら撮影したんです。

――「H I D E and S E E K」はいかがですか?

谷内伸也 こちらはしっかり踊りたい、という思いがありました。前回のシングル「Summer Vacation」でも振付をしてもらったRADIO FISHのShow-heyさんにお願いしたんです。「H I D E and S E E K」はニュージャックスウィング的な楽曲ですが、Show-heyくんもニュージャックスウィングはバッチリ世代でかなり踊ってきたと思いますし、今の最新のダンスも取り入れるのが上手いので。

――特に気に入っているポイントは?

古屋敬多 ニュージャックスウィングならではのキメが多いところですね。歌詞もはまっていて、そういうところが歌っていても気持ちいいです。ちょっと難しい曲ですけど、皆さんに歌ってほしい、という思いもあります。

――この曲は輝さんが歌詞を書かれていますね。

鍵本輝 はい。自分で書くと、歌いやすいか歌いにくいかもさじ加減でできるので。伸ばしやすい、高音が出しやすい母音をチョイスしたり意識してやりました。たとえば最後の<H I D E and S E E K>と歌うところは、最後あえて母音を“i”で終わらせていて。まあ<H I D E and S E E K>という言葉がはまったからここに置いたんですけど。最後母音を“i”で終わらせるからこそ、喉を締めてエッジィに歌えるというか。

――終わりをどの母音にするかの選択も大きい?

鍵本輝 けっこう大事ですね。高いポイントで終わるんだったら、絶対的に“a”の方がやりやすいですし。僕たちが恵まれていると思うのは、いろいろな作詞家さんの曲を今までも歌ってきたこと。そしてディレクターの人が「ここをこうしたいね。ちょっと手直しできますか?」というやりとりなど、いろいろな人のギミックとやり方を見てきて、ここまで来ていることだと思います。

――2月に発売したシングルのカップリング曲で葛藤する思いを描いた「midnight free way」は、作詞作曲を輝さんが担当されていますが、これはフラワーカンパニーズの名曲「深夜高速」に影響を受けたそうですね。

鍵本輝 そうです。僕もあの曲に感銘を受けた大勢のユーザーの一人なんですけど「わ、すごい! こんな曲を書きたい!」と感じたんです。

――この曲を作った際、メンバー同士ではどんな話をしましたか?

鍵本輝 これは2、3年前くらいに僕が勝手に作っていて。ちょうど「もっと成長したい。もっと曲作りをしたい」とか、「どうやったらうまくなるんだろう?」と悩んでいた時期だったんです。その時に「深夜高速」という曲が好きだったな、と思い出して改めて聴いたら「やっぱりかっこいい! こういういろいろな人に響く楽曲が書けたら本望だな」と思って。結局、スキルというより、歌って誰かに感じてもらわないと、曲は生きてこないんだろうなと。じゃあ、好きなように書いてみよう、と考えて「midnight free way」を作りました。

――具体的にどのようなことを悩んでいたのでしょうか?

鍵本輝 もっとやりたいと思うことがあるのに、腕がついてこない、みたいな。

谷内伸也 2、3年前というと、「Bumblebee」のあたり?

鍵本輝 それくらいかな? グループとしては安定していたけど、個人的にはいろいろ力不足を感じて。「midnight free way」は特別な思いで書いた曲です。

――敬多さんはいかがですか? 同時期でなくても、個人的にここ数年で大きな壁はありましたか?

古屋敬多 壁ですか? どうだろう? 常に「ここを、もうちょっとうまくなりたい」とかはあるんですけど。

――大きな壁を感じるというよりも、日々少しずつ乗り越えていくタイプ?

古屋敬多 どちらかというと、そういう感じですかね。大きな壁というと、あまりない気がします。

――伸也さんは?

谷内伸也 その時期は確かDA PUMPのKIMIくんと2人で2FACEというユニットをやる直後だったんですよね。そこではLeadで吐き出す分量以上の言葉を吐いて、歌詞に出して書いていたので、「吸収しないといけない」みたいな感じのマインドだった気がします。ジャンルも今までにないようなものもやったから、もっといろいろ挑戦したいなという気持ちもありました。

――大小はあれども、そうやって悩みを抱いた時に感情を重ねさせたのが「midnight free way」なんですね。

鍵本輝 悩ましい部分もある中で、もがきながらも今を必死に強く生きていこうとする力、みたいなものも感じてもらえたらと思います。