『天気の子』新海誠監督、創作意欲をかき立てるもの

引用元:オリコン
『天気の子』新海誠監督、創作意欲をかき立てるもの

 2016年に公開された『君の名は。』が、『千と千尋の神隠し』(宮崎駿監督)に次ぐ、邦画歴代第2位の興行収入を記録する大ヒット。前作から3年で完成させた『天気の子』も昨年7月の公開以来、観客動員1000万人超え、興行収入140.5億円を突破し、2019年の映画興行ランキング1位、先日発表された『第43回日本アカデミー賞』では最優秀アニメーション作品賞を受賞した。そんな日本を代表するアニメーション監督になった新海誠監督が、あらためて『天気の子』を総括。すでに次の作品に向けて動き出している新海監督の創作意欲を駆り立てるものに迫った。

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――異例の大ヒット、そしてロングラン上映となった『君の名は。』の次回作ということで、プレッシャーもあったと思いますが、『天気の子』もヒットしました。

【新海監督】制作にかかる時間を考えると、『天気の子』では3年後に公開されることを想定して、3年後の人たちが興味を持って観てくれるものを探りながら作る必要があったんです。正しい題材を選べているのかという不安は最後までありましたが、大きくは外れていなかったのかもしれないな、とようやく今は思えます。制作過程で積み重ねてきたことが今のお客さんに届いた結果だと思うので、報われたような気持ちになりました。このタイミングでこの映画を出せて幸せに思います。

――『天気の子』Blu-ray コレクターズ・エディション(5月27日発売)の映像特典に収録される<新海誠監督講演会「『天気の子』-物語の起点―」>で、『君の名は。』が公開される前から天気を題材の一つに考えていたとお話しされていたので、びっくりしました。

【新海監督】制作日記をつけているんですが、それをさかのぼって見返すと、2016年に『君の名は。』が公開される前あたりから、天候の極端化は気になっていたんです。特にここ数年は大雨の頻度が増し台風の勢力が激化していっていますが、それは個人の手の届かない大きな現象であると同時に、僕たちの日常に直結する全員に関わりのある問題でもありますよね。そんなこともあり、『君の名は。』が思いがけずヒットして、次はもっと多くの人に興味を持ってもらえる映画にしたいと思った時に、天気をテーマにしてはどうだろうと思ったんです。そこから考えを広げていったのですが、どのようなキャラクターが出てきて、どのような物語を紡いでいくのか、企画書をまとめるまでに半年くらいかかって苦労しました(笑)、というお話しを講演会ではさせてもらいました。

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