「ノヴェラがいなかったら、日本のロックは違ったものになっていたかも」JAPANESE HARDROCKの夜明け

引用元:夕刊フジ

 【80’s JAPANESE HARDROCKの夜明け】

 Marcy(以下M)「ノヴェラがいなかったら、日本のロックは違ったものになっていたかもしれない。関西のバンドはみんな影響されていました」

 Angie. (今A)「やってる本人たちは分からんかったけどね」

 M「シェイカーだって、ノヴェラを通してプログレを知った。海外からではなかったんです。だからシェイカーのドラマ性があるメロディアスな面はノヴェラから。『MORE』もその影響を受けています」

 A「それほど成功したのは(高橋)ヨシロウ君がビジュアル、平山(照継)がサウンド、年上の僕がお父さんだったりお母さんだったり、メンバーみんながしっかり考えていたから。いい意味でのせめぎ合いもあった。シェラザード時代の曲をヨシロウ君が弾くときはより攻撃的なベースで変化をつけていた。だから『魅惑劇』にしても、シェラザードとノヴェラで僕の歌い方も違っているんだ」

 M「ファッションだってそう。今も、ゴシック系の女の子が厚底を履くのはノヴェラからですよ。お化粧してステージに出るのも今は当たり前ですからね」

 A「レッグウォーマーをステージで着けたのも僕が最初やね。嫌いなロンドンブーツの替わり。日本のロックを変えたといえばシェイカーもそうやね。テレビに出るハードロック・バンドなんていなかった」

 M「僕が加入したのは1980年。前任のニイちゃん(二井原実)がやめたシェイカーと僕のバンドが対バンして、一緒に演奏してみたら“これは合うね”っていうことになって」

 A「当時は日本でハードロックのムーヴメントはまだ起こっていなかった」

 M「相手にされていませんでしたね。少しでも広めようと、全国をライブで回っていました。でも自信はありました。ノヴェラやシェラザードや山水館を見て、日本語でも素晴らしいロックは成立するという確信があったし。そのうちハードロックの人気がジワジワ上がってきて、デビュー前にホールが満杯になりました」

 A「僕らは少し早すぎたといわれたけど、あの盛り上がっていく様子はすごかった。シェイカーが日本のハードロックに火を点けてくれたんやね」

 ■アースシェイカー 大阪出身のメタルバンド。1978年に結成。西田昌史は80年に加入した。83年「EARTHSHAKER」でデビュー。解散・再結成を経て2018年に『THE STORY GOES ON』をリリース。

 ■西田昌史 1959年生まれ、福岡県出身。愛称Marcy。ソロでも活躍し、2018年に『GARAGE』発表。

 ■ノヴェラ 神戸出身のプログレバンド。1979年に五十嵐久勝らで結成。80年に『魅惑劇』でデビューし、86年に終焉。90年代半ばから段階的に復活した。

 ■五十嵐久勝 52年生まれ、福島県出身。愛称Angie.。ノヴェラとシェラザード、ヌーヴォ・イミグラートなどで活動中。

 ■夕刊フジロック酒場 3月7日~28日 「もつ焼でん」水道橋店