「それは津軽三味線じゃない」上妻宏光 周りの厳しい言葉を乗り越えた20年

引用元:TOKYO FM+
「それは津軽三味線じゃない」上妻宏光 周りの厳しい言葉を乗り越えた20年

アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」。3月17日(火)の放送は、津軽三味線プレイヤー・上妻宏光さんが登場。矢野顕子さんとのコラボレーションや、デビュー20周年を迎えた思いなどを語ってくれました。坂本:上妻さんは私の母・矢野顕子とユニット(「やのとあがつま」)を組まれていますね。びっくりしました。お世話になっております。

上妻:お世話になっております(笑)。組ませていただきました。

坂本:私が上妻さんに初めてお会いした6年前に、ニューヨークでうちの母と共演をなさったんですよね。

上妻:そうなんです。そのあとに、「面白いから日本でもやろうよ」みたいな話になり、国内でも何本かやらせていただいて。それで、「せっかくやるんだったら、作品を作りましょうよ」ということになって、作品を出すだったら、ちゃんとユニットとしてやったほうがいいんじゃないかということで、組ませていただいたんですよ。

(中略)

坂本:上妻さんはソロデビューから、今年で20周年を迎えるんですね。いろいろなジャンルの方とコラボレーションをしたり、津軽三味線の世界を広げた方だと思うんですけど、この20年間での(活動の)受け取られ方というのは変わってきましたか?

上妻:三味線をやる若い人も増えましたし、古典のような昔ながらのスタイル以外で活動しやすくなったと思います。あと一般の方が、アレンジされた三味線の音楽に触れることもより多くなったこともありますかね。デビューしたころはその辺に壁があったというか、そのあたりはだいぶ変わったんじゃないかと思うんですけどね。

坂本:海外でも三味線の魅力は認められてきていますよね。

上妻:そうですね。アジアやアメリカなど海外で演奏をする方もだいぶ増えていますね。

坂本:素朴な疑問なんですけど、どこまでが津軽三味線の“古典の弾き方”なのか、その境目がよくわかっていないのです。上妻さんが編み出した“新しい弾き方”というものもあるんですか?

上妻:“古典の弾き方”では撥(ばち)の使い方も違いますし、親指で弦をはじくというのも普通はしないことです。スタンディングのような、立ち姿で演奏をすることもやらないですね。

坂本:そういうことにチャレンジし始めたときに、伝統的な演奏家の方々の反応はいかがでしたか?

上妻:(賛否が)両方ありましたね。面白いと言ってくれる先輩や業界の方たちっていうのは1~2割。それ以外の方たちからは「それは津軽三味線じゃないな」と、よく言われました。だからこそ、ベーシックな津軽のスタイルを追求していくという“縦線”も大切にしながら、“横線”の(津軽三味線を)広めるっていう作業も、バランスを取ってやってきましたね。

上妻宏光さんのデビュー20周年記念アルバム『TSUGARU』は、現在発売中です。詳しくは公式サイトをご覧ください。

(TOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」3月17日(火)放送より)