YouTuber「ヴァンゆん」ヴァンビ 配信当初は1円にもならず

【役者・芸人「貧乏物語」】

 今や憧れの職業のユーチューバーで、登録者数174万人超え、総再生回数が約7億回の人気コンビ・ヴァンゆん。美男美女ユーチューバーということもあり、中高生を中心に絶大な人気がある。また、トップユーチューバーとしては初の芸能プロダクション所属となり、話題になっている。メンバーのヴァンビさん(写真左)に動画を始める前と後の苦労、コンビを組んだ経緯を聞くと、意外と苦労人で……。

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 もともとはビジュアル系のバンド活動をしていましたけど、ある時、解散したんです。人生懸けたバンドだったからショックでしたけど、僕はボーカルだから、ライブのトークが鈍らないようにするために、新メンバーを探す間、メディアに出ようとユーチューブを始めたんです。でも、メンバーが見つからず、そのうちユーチューブの動画を作るのが楽しくなっていって。

 僕のザックリした夢は“歴史に名を残す”なんです(笑い)。CDは残る物だから音楽を始めたけど、動画も残る。「これから新たなバンドを組んでも前のバンドを超えられないな」とも思っていて、動画を残したい気持ちが強くなって。

 実は6人兄弟です。そして母一人だからメチャメチャ貧乏で。高卒でバンドを始めたけど、ライブのギャラをメンバーと割ると月収は2万~3万円くらいだから、一人暮らしもしていたので常にバイトをしていました。バンドが解散してからは実家に戻ってユーチューブを始めたけど、はじめの1年はまったく芽が出なくて、編集に8時間かけて毎日アップしても1円にもならない。家にお金を入れられない。その頃はほんとダメダメな日々でしたね……。

「自分がやりたいことは捨てて、人に求められる動画を作ろう」と考え直し、再生回数が伸び始めました。お金が入るようになるとバイトを辞められて、動画に費やす時間をもっと増やせました。

■コラボ動画が100万回再生に

 ゆんちゃんと出会ったのは、いろいろなユーチューバーが集まって屋形船で会食した時。当時はゆんちゃんを知らなくて、動画も見たことがなかったけど、たまたま隣同士でユーチューブの話をして。その頃、ゆんちゃんはまだ始めたばかりで、ユーチューバーのペーペーでした(笑い)。僕がアドバイスしたら、1年間で再生回数がどんどん伸びた。だから、最初は先輩後輩の関係でした。

 同じ登録者さんもいるので、2人でコラボしてみたんです。すると、コラボ動画が爆発したんです。お互い平均が10万回再生くらいだったのがそのコラボ動画が100万回再生までいきました。「僕らの化学反応には何かあるぞ」と思い、コンビを組む決意をしましたね。それが去年の夏。

 中身はロケに出たりお互いにドッキリを仕掛けたりといろいろ。「この2人、いつ付き合うの?」という恋愛ドラマみたいな興味で見てくれてる人が多いかな。アメリカのリアリティー番組みたいな感じで。ユーチューブ版のバチェラーですね。男女でやることにより男子も女子も両方の共感を得られるのが大きいと考えてます。僕自身はユーチューブを始めて数年でこんなに生活が変わるんだなと実感しています。宝くじを引いたみたいな感じ。もちろんここに至るまでには、とてつもないつらい時期もありましたけど。

 ゆんちゃんの夢がもともとテレビで活躍するマルチタレントなので、それをかなえるためにも、芸能プロダクションに所属させてもらいました。もうひとつ、ユーチューブは僕らのチャンネルを見ている人しか知らないけど、テレビで有名な人はだれでも知っている。僕らもそうなりたい。ネットでもテレビでも強いコンビ。今、若者のテレビ離れといわれてるけど、僕はユーチューブを見てる若者をテレビに連れていける存在になりたい。その2つの懸け橋になり、いいとこ取りしたい(笑い)。よろしくお願いします!

 (聞き手=松野大介)

▽ヴァンビ 年齢非公開。バンド活動後にユーチューバーに。ゆんちゃんとコンビを組み、今年チャンネル登録者数100万人達成。太田プロダクションに所属し、芸能界でも注目が集まる。