宝塚、桂小文枝…自粛ムードのエンタメ界 再開はいつ?/芸能ショナイ業務話

宝塚、桂小文枝…自粛ムードのエンタメ界 再開はいつ?/芸能ショナイ業務話

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2月26日に安倍晋三首相から全国的なスポーツ、文化イベントの中止、延期または規模縮小などの要請があってから、3週間がたつ。3月10日には当初の2週間の予定から、さらに10日間の延長(3月20日前後)が要請された。

 その間、毎日のニュースはコロナ関連のバッドニュースばかり。感染終息のメドが立たず、自粛ムードが続く中、経済停滞、株価暴落…。エンターテインメント界も多くの業界と同じように大打撃を受けている。運営側とすれば、終息まで待ってはいられないだろう。

 では、いつまでイベントを自粛すればいいのか?

 明確なメドや見通しがないまま、9日に演劇界の先陣を切って再開した宝塚歌劇団には賛否の声が上がった。安倍首相が求めた2週間の要請より、1日早い。当日は現地で取材したが、観劇したファンに限れば、再開を心待ちにし、満足していた人が大半。「大劇場から感染者を出さないように」とファン同士が“ONE TEAM”となって予防していたのは驚いた。マスクを余分に持ってきている人もおり、トイレの手洗い場は入念に手洗いをするため長蛇の列ができたそうだ。

 歌劇団側はチケットの払い戻しにも応じており、それでも訪れたファンは「自己判断」とも言えるが、同日にプロ野球の開幕延期、Jリーグ中断の延長が決定され、当時の状況を振り返ると、宝塚の再開は少し早かったか。翌日に安倍首相が大規模イベントの10日間の延長を要請したため、公演は再度中止となった。中止の期間は19日までとしているが、再開のタイミングが難しくなった今、20日から公演を始めるには、世の中の動向を注視する必要がある。

 3月12日には落語家、桂小文枝(69)を取材した。本来なら「きん枝改め四代桂小文枝襲名披露公演」(クールジャパンパーク大阪TTホール)の千秋楽だったが、延期に。6月5日に同所で振り替え公演を行う。小文枝は2月下旬から仕事のキャンセルが相次いだといい、「3、4月はサッパリですわ」と嘆いていた。

 「僕らは人が集まるところに行く仕事ですから」という言葉を聞いて、芸能界は電波を使うもの(テレビ、ラジオ、ユーチューブ)以外は機能していないことをひしひしと感じた。寄席が主な仕事の落語家にとっては死活問題だ。「自己責任という形はできないやろか。入り口に消毒やマスク、サーモグラフィーとかを置いて万全にした上で、来たい人に来てもらう。そうやないと、若い子の収入が断たれてしまう」と持論を展開していた。

 翌13日には歌手、加藤登紀子(76)の歌手生活55周年記念コンサート「未来への詩」(6月20日、京都芸術劇場 春秋座)をPR取材へ。加藤も3月のイベント、コンサートはほぼ中止や延期になった。「こうするべきだとかはないし、どうすることが、正しいかはわからない」と前置きした上で「いろんなリスクの中で生きていて、それぞれの人が抱えていることがあるので、政府の判断はもちろんですが、心のどこかで私としての自立した判断は持っていいと思う」と私見を述べた。

 われわれ芸能担当記者の取材機会も激減しており、比較的小規模の会見さえも次々と中止になっている。コンプライアンスが厳しくなった昨今、「右に倣え」の風潮が増しているのはわかるが、「とりあえず自粛」の流れはどうか。確かに中止をすれば感染リスクはゼロだが、それでは経済が停滞してしまう。政府や専門家の意見は大いに参考にしながら、そろそろ自立した判断をしてもいい時期なのかもしれない。(YW)