休校支援で子ども向け無料コンテンツ続々公開、企業が打ち出す社会的意義とは?

引用元:オリコン
休校支援で子ども向け無料コンテンツ続々公開、企業が打ち出す社会的意義とは?

 新型コロナウィルスの感染拡大を受け、3月より全国の公立小・中・高等学校で休校が実施されている。春休みを含めての長期の休み…その間、子どもたちがどのように日々を過ごすか、議論や話題は尽きない。そんな中、エンタメ・教育企業が続々とコンテンツの無料公開に踏み切っている。この施策は家庭と企業にそれぞれどのような効果を及ぼしているのだろうか。

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■市場はすでに前年超えで商機? 自宅学習あと押しで注目される子ども向けコンテンツ

 臨時休校が発表されてから、学習ドリルや教養本が売れ行き好調。「臨時休校発表当日から、お子様連れのお客様が増加し、児童書、学習参考書やコミックの販売部数が伸長しています」と話すのは、TSUTAYAの広報担当だ(WEB『コンフィデンス』/3月12日掲載)。30万部を突破するヒットとなっている『東大教授がおしえる やばい日本史』など、“楽しくてためになる”児童書に力を注ぐダイヤモンド社の宣伝プロモーション担当者も、「臨時休校発表当日から、すべての児童書の売り上げが急増している」という。

 3月16日付の「オリコン週間BOOKランキング」 ジャンル別「児童書」(集計期間3月2日~3月8日)をみても、4位の『小学生なら知っておきたい教養366』(小学館)や、6位の『お金の使い方と計算がわかる おかねのれんしゅうちょう』(学研プラス)、10位『おやくそくえほん』(日本図書センター)といった教養をテーマにした作品が散見されている。

 同ダイヤモンド社の宣伝プロモーション担当者は「家庭で過ごすことが多くなる子どもの時間つぶしという需要はもちろん、学習機会が減ることにならないよう、ゲームやマンガではなく、少しでも知識になる本を読ませたいという親の願望があるのだと思います」と分析(WEB『コンフィデンス』/3月12日掲載)。また『東大教授がおしえる やばい日本史』の売り上げが臨時休校発表当日に前日の約2倍に、翌日には約4倍まで伸びたことを受け、「孫と一緒に過ごすための共通話題として、祖父母が歴史という自分が得意あるいは好きな分野の本を購入しているというケースが見受けられる」とも明かす。

 現在の親世代は苛烈な受験戦争を経験した層も多く、この長期の休みの間に子どもの学力が著しく低下しないか、その不安も根っこにはあると考えられる。こういった実情も合わさり、この“有事”は、皮肉にも、出版社に商機をもたらしている状況だ。