まだまだ時期尚早な徳井義実の地上波復帰…新型コロナで会見自粛の中、出そろった民放4月改編の内幕

引用元:スポーツ報知
まだまだ時期尚早な徳井義実の地上波復帰…新型コロナで会見自粛の中、出そろった民放4月改編の内幕

 拡大する一方の新型コロナ余波。3月初旬から中旬にかけて行われる予定だった民放各局の4月番組改編説明会も5局すべて直前で中止に。資料が書面で放送担当記者に配布される異例の事態となった。

 ある局の幹部は「力の入った新番組が多かっただけに説明会は開きたかった。でも、日本中が新型コロナ余波に見舞われている中、『なんだ、記者を集めて宣伝の場を設けるのか』という批判は必至。マスコミとして、それはできなかった」と、本音を吐露した。

 1年の中でも年度初めで最も力のこもった改編だけに各局一押しの番組がズラリと並んだ。

 まず、2日のフジテレビ。改編スローガンは「追求する改編。」。斉藤翼編成部長は「ゴールデンタイムの番組をすべて現行のまま継続。各番組の持っているポテンシャルをさらに伸ばし、弱点と思える部分はリニューアル=『追求』しながら、さらに上を目指し、伸ばしていきます」とコメントした。

 水曜午後10時の「BACK TO SCHOOL!」が昨年10月30日の放送開始からわずか5か月で終了。後番組として、占い番組「突然ですが占ってもいいですか?」をスタートさせるのが、目を引いた。

 3日発表のTBSの改編スローガンは「やっぱり家族で」。月曜のゴールデンプライム(GP)帯(午後7~11時)の全4番組を刷新するのが目玉。同局がGP帯の全番組を改編するのは2005年9月以来、15年の大改革となった。

 ドラマの目玉中の目玉が堺雅人(46)主演の日曜劇場「半沢直樹」(日曜・後9時)の7年ぶりの復活。佐々木卓社長(60)も定例会見で「今年は特に『半沢直樹』に尽きます」と熱く語って話題になった。

 6日発表の日本テレビ。同局は昨年まで6年連続で年間視聴率三冠王を獲得。今年も1、2月と2か月連続で三冠王を継続中の“勝ち組”だけに改編率も全日(午前6時~午前0時)5・8%と、ごく小規模なものに。改編の目的は「地上波タイムテーブルの『新化』と『深化』とテレビを『オフからオン』にしてもらえる積極視聴コンテンツの編成」とした。

 目玉としては、特別番組として13回の放送実績を誇る有吉弘行(45)の「有吉の壁」を水曜午後7時のレギュラー番組として投入。「純度100%のお笑いバラエティー」(田中宏史編成部長)で新たな視聴者の獲得を目指す。

 10日発表のテレビ東京の改編スローガンは「視聴率ALL元年!“これぞテレ東”を目指して」。最大の目玉が月曜午後8時に2時間ドラマ枠を編成したこと。サスペンスだけでなく、バラエティーに飛んだ内容の作品を目指す。金曜午後6時55分からは新番組「デカ盛りハンター」がスタート。大食い企画で人気のフードファイターたちがデカ盛りグルメに挑戦する。

 そして12日、しんがりの発表となったのが、テレビ朝日。改編キャッチフレーズは「新しい時代のテレビ局」。ドラマの目玉が木村拓哉(47)主演で18年1月期に放送された「BG~身辺警護人~」の2年ぶりの復活。木曜午後9時の枠で4月16日にスタートする。

 個人的には、ビートたけし(73)がMCを務めてきた医療バラエティー「名医とつながる!たけしの家庭の医学」(火曜・後8時)が16年の歴史に幕を下ろすことに一抹の寂しさを感じたが、後番組として、沢村一樹(52)と昨年のM―1王者「ミルクボーイ」がMCを務める「これって私だけ?」がスタート。「ミルクボーイ」は、これがゴールデン帯初のレギュラー番組。たけしから「ミルクボーイ」へ―。お笑い界の新陳代謝の波が確実に迫ってきていることを感じた。

 売り出し中の若手がスポットライトを浴びる一方で、今回の改編で最後の最後まで名前が挙がらなかった元超売れっ子がいた。

 「チュートリアル」徳井義実(44)の名前は、どの局のラインアップにも一切無し。一時はNHKと民放各局に11本の地上波レギュラー番組を持っていた人気者だっただけに寂しさが漂った。

 徳井は東京国税局から18年までの7年間で総額1億2000万円の申告漏れを指摘されていたことが昨年10月23日に発覚。同日夜に謝罪会見を行ったが、その後、個人会社「チューリップ」が09年の会社設立以降、毎年期限内の申告が行われておらず、社会保険未加入だったこと、個人事業主としても所得税の無申告を繰り返していたことが発覚。同年10月26日付で活動を自粛していた。

 雌伏期間4か月を経て、先月24日、所属の吉本興業が活動再開を発表。今月7日夜に放送された京都ラジオ「キョートリアル!コンニチ的チュートリアル」に約4か月半ぶりに出演。「このたび、活動を再開させていただくことになりました。今後また、相方の福田さんと番組をやっていけたら。みなさん、改めて、申し訳ありませんでした」と、リスナーに謝罪した。

 15日の無料生配信企画「ルミネtheよしもと配信寄席」では舞台復帰。着々と“復活”への道を歩んでいるが、冷静に考えれば、私が勝手に想像した4月の地上波復帰は時期尚早そのもの。スポンサーの意向も大いに考慮されるだけに、その道のりは険しい。

 象徴的なシーンがあった。先月28日に東京・台場のフジテレビで開かれた遠藤龍之介社長(63)の定例会見。4日前の活動再開発表を受け、「徳井さんの番組復帰は?」という質問が出た。

 しかし、編成担当の石原隆取締役は「今のところ、出演予定はないです」ときっぱり。「前回の出来事を受けて、番組の出演を見送っている現在の状態を変える予定がないということです」と淡々と続けた。

 同局は「TERRACE HOUSE」(月曜・深夜0時25分)、「乃木坂46のザ・ドリームバイト!」(火曜・後11時半)という徳井の出演番組を2本持っていたが、問題発覚直後から出演を自粛中。遠藤社長は昨年10月末の定例会見で「本人も(会見で)ルーズだとおっしゃっていたが、こういうことはきちんとしていただきたかった」と、苦言を呈していた。

 昨年、振り込め詐欺グループの忘年会に出席していたことが発覚した「雨上がり決死隊」宮迫博之(49)は1月にYouTubeチャンネル「宮迫ですッ!」をスタートさせた。「ロンドンブーツ1号2号」田村亮(48)も同月、トークライブを開催し、復帰した。

 「もはや徳井たちを見ても笑えない」という視聴者も多い中、一見、“みそぎ”を終えたかに見える彼らの地上波復帰は現状では困難。新型コロナの感染拡大で世の中が沈鬱(ちんうつ)な空気に包まれている今こそ「笑いの力」が求められている気もするが、徳井らが何をしても「時期尚早」と言われてしまうのは事実だろう。

 閉塞感にあふれた今だからこそ少しだけ寛容になってもいいのかなと、私は思ったりする。だからこそ、長年にわたって多くの人を心から笑わせてきた実力の持ち主・徳井、宮迫、田村らの笑いが必要とされる日は、きっと来る。私は勝手に、そう思っている。(記者コラム・中村 健吾)

 ◆民放各局の4月番組改編の改編率(発表順)

 ▽フジテレビ 全日(午前6時~午前0時)5・7%、ゴールデン(午後7時~10時)8・6%、プライム(午後7時~11時)13・6%

 ▽TBS 全日7・59%、ゴールデン23・10%、プライム27・50%

 ▽日本テレビ 全日5・8%、ゴールデン15・8%、プライム9・2%

 ▽テレビ東京 全日19・2%、ゴールデン31・5%、プライム29・3%

 ▽テレビ朝日 全日12・6%、ゴールデン17・1%、プライム13・2% 報知新聞社