<コラム>aiko、新曲リリース&サブスク解禁の影響は? 各曲のチャートアクションを振り返る

引用元:Billboard JAPAN
<コラム>aiko、新曲リリース&サブスク解禁の影響は? 各曲のチャートアクションを振り返る

 2月26日、aikoがニューシングル『青空』をリリース。併せて、1998年のデビューから発表してきた全414曲のダウンロード配信及びストリーミング配信をスタートした。

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 配信開始直後のTwitterでは、“aikoサブスク解禁”がトレンド入りするなど、大きな話題を呼んだ今回の新曲リリース&配信解禁。そのインパクトの大きさは、ウィークリーのチャートにも表れており、2020/3/9付(集計期間:2020/2/24~3/1)のBillboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”では、「青空」が6位を獲得したほか、「カブトムシ」が11位、「ボーイフレンド」が89位、「ストロー」が93位にそれぞれチャートインした。さらに、ストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”では、初期の楽曲から最新曲まで、計8曲がトップ100入りを果たした(【表1】)。

 星野源、嵐、サザンオールスターズなど、この1年で多くのアーティストがストリーミング・サービスに楽曲を解禁し、その都度チャートを賑わせてきた。しかし、今回のように複数の楽曲が、ストリーミング・チャートのみならず、総合チャートにもチャートインする例は、極めて稀と言える。では、なぜこれほどまでにaikoの配信解禁は注目を集めたのだろうか。

  【表2】は、「カブトムシ」の2020年以降のチャートアクションを示したグラフになる。この表を見てみると、2020/3/2付チャート(集計期間:2020/2/17~2/23)より、ツイート(水色)、動画(赤色)のグラフが上位に食い込んでいることがわかる。これは、2月20日オンエアの『King Gnu 井口理のオールナイトニッポン0(ZERO)』にaikoがゲスト出演した際、本楽曲をデュエット歌唱し、その様子を収めた動画がTwitterやYouTubeでバズったことが影響している。加えて、ストリーミング配信が始まった2020/3/9付チャートからは、ストリーミング指標(青色)が18位に初登場。同時に、ミュージックビデオのフルバージョンがYouTubeのaiko公式チャンネルにアップされ、動画指標も5位にジャンプアップした。ラジオ番組を機にaikoや「カブトムシ」に興味を持ったライトリスナーを取りこぼさない、抜群のタイミングでの配信&ミュージックビデオフル解禁であったことが窺える。

 また「カブトムシ」は、ここ数週間のバズ以前から、カラオケ(深緑色)のポイントが安定しており、カラオケの定番曲として定着していたことが見て取れる。aikoの楽曲にはこうした定番曲が多く、たとえば「花火」は、毎年7月~8月になるとラジオとツイートのポイントが増加し、“JAPAN HOT 100”の300位圏内に浮上してくる。夏の定番曲としてラジオでのオンエアに加え、Twitterでは毎年多くのカバー動画が投稿されるのが特徴的だ。また、2018年にリリースした「ストロー」も、近年の楽曲の中では特にカバー人気が高い。2019年4月には、人気YouTuber=パオパオチャンネルが、オリジナル振付のダンスカバー動画を投稿し注目を集め、2019/5/6付チャート(集計期間:2019/4/22~4/28)では、動画指標8位に急浮上を果たした(【表3】)。

 さらに、シングルコレクション『aikoの詩。』をリリースした2019年は、「KissHug」「milk」といった過去のヒット曲をテレビで披露する機会が多く、その都度ダウンロードとツイートのポイントが微増していた。この年、aikoは多くの音楽番組に出演したが、どの番組でも異なる楽曲を歌唱していたことが、今回の複数曲チャートインに繋がったのではないだろうか(【表4】)。

 このように、実は配信解禁前からいくつもの楽曲がアクションを起こしていたaiko。今回の新曲リリース&配信解禁は、従来のファンはもちろんのこと、潜在していたライトリスナーを一気に取り込んだことで、大きなインパクトとなったことは間違いないだろう。

 現在aikoは、3月8日配信したライブ【Love Like Rock vol.9~別枠ちゃん~】のアーカイブをYouTubeの公式チャンネルにて公開中。リアルタイムで約13万人が視聴した同映像は、3月15日23時59分までの期間限定配信を予定している。