「放射能。においも、色もない。目に見えない。コロナウイルスで同じようなことが起こっている気がする。お互いの目がとても厳しい日常になっている」3.11追悼行事 いとうせいこうが声を落とす

引用元:中日スポーツ
「放射能。においも、色もない。目に見えない。コロナウイルスで同じようなことが起こっている気がする。お互いの目がとても厳しい日常になっている」3.11追悼行事 いとうせいこうが声を落とす

 歌手の加藤登紀子(76)、タレントで小説家のいとうせいこう(58)らが11日、東京・日比谷公園で東日本大震災犠牲者への追悼イベント「311未来へのつどい ピースオンアース」に出席した。加藤は最新曲「未来への詩(うた)」に「希望」への思いを込めて歌唱した。

 東日本大震災から9年―。同イベントも2012年から9回目を迎えた。加藤は美しいピンク色の花を咲かせた桜の木が添えられた献花台を前にたち、手を合わせた。そして、午後2時46分。再び静かに手を重ね、黙とう。同県二本松市在住の詩人・関久雄さんの詩集「なじょずべ」に収められている「希望」という詩を朗読した。

 そして、震災直後に書き下ろした「今どこにいますか」を歌唱。NHKラジオ第1放送「ラジオ深夜便」(午後11時5分)で4~5月の“深夜便のうた”に決定した「未来への詩」を、娘で歌手のYae(44)と「希望」を込めて響かせた。歌手生活55周年を迎えた加藤は「歌は遠い昔から何かを届けてくれる。昔の人が何を届けたかったのか分かる」と語った。

 被災地での取材を続けているいとうは9年間を思い起こしながら「コロナウイルスで同じようなことが起こっている気がする。9年前は放射能。においも、色もない。目に見えない。分からないとされたことが今も多くある。コロナも電車の中でもお互いの目がとても厳しい日常になっている」と声を落とした。そして、「明るい顔ができない毎日がある。つまり、3・11の問題はまったく終わっていないと考えてる。見えないものが私たちの生活を脅かしていく」と訴えた。