グラミー受賞ヴァイオリニストが幼少期を漫画で描くワケ 同じ境遇親子の「心の支えになれたら」

引用元:オリコン
グラミー受賞ヴァイオリニストが幼少期を漫画で描くワケ 同じ境遇親子の「心の支えになれたら」

 今年1月に発表された『第62回グラミー賞』で最優秀室内楽賞を受賞したアタッカ四重奏団/キャロライン・ショウのアルバム『オレンジ』に参加したヴァイオリニストの徳永慶子。アメリカを拠点に活動をする一方で、自身のインスタグラムでは、漫画『ヴァイオリニストができるまで』(@keikonomanga)で体験記を発表している。二足のわらじを履く彼女に、受賞時の様子や反響、インスタグラムで漫画を公開したきっかけや伝えたい想いについて語ってもらった。

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◆『グラミー賞』受賞は一番のご褒美…驚き、震えが止まらなかった

――『第62回グラミー賞』で最優秀室内楽賞を受賞しました。受賞を知った時、どうでしたか?

【徳永】 アメリカの音楽界では最高峰の賞ということで、ノミネートされただけでも光栄でした。実際に受賞したと報告を受けたときは本当に驚き、震えが止まりませんでした。数年をかけて作り上げたプロダクトを多くの方に評価され、喜んでいただけたという事実が何より嬉しかったです。

――受賞後の反響はいかがですか?

【徳永】 おかげさまで、日本でもアメリカでも多くの方から祝福していただき、新しいお仕事のお話などもいただいております。以前から応援してくださっている方々に、こうして努力の成果をお見せすることができ嬉しいです。今回の受賞を通して初めて私やアタッカ四重奏団のことをたくさんの方々に知っていただけたことが、一番のご褒美のように感じられます。

――米国では、どのような活動を行っているのでしょうか?

【徳永】 先日退団したばかりなのですが、受賞作『オレンジ』は、私にとってアタッカ四重奏団での最後のアルバムとなりました。現在は、米国各地でフリーランスの室内楽オーケストラ奏者として活動する傍ら、ジュリアード音楽院予科とフォーダム大学でヴァイオリンやソルフェージュを教えています。そして、5月には東京でソロ公演も予定しています。

――徳永さんのインスタグラムでは、ご両親と共に取り組むヴァイオリン生活『ヴァイオリニストができるまで』が漫画で描かれています。なぜ、ご自身の体験を漫画にしようと思ったのでしょうか?

【徳永】 これは私に限ったことではないのですが、ヴァイオリンやピアノを幼い頃から一生懸命勉強している生徒さんとその親御さんは、非常にユニークな幼少期を体験することになります。過度な競争やプレッシャー、友達と遊ぶ時間や趣味などにあてがう時間もなく、練習に明け暮れ、次第に学校生活との両立も難しくなる。その一方で、舞台で成功したときに味わえる何とも言えない幸福感。実際に経験した人にしかわからない辛さと喜びが凝縮された時間です。お金もかかりますし、ご家庭によっては親子の仲が悪くなり、精神を病むケースもあります。私の経験を誰かにクスッと笑ってもらえたり、少しでも心の支えになったらいいな、と思い自分の体験談を形に残すことに決めました。