低調のNHK大河「麒麟がくる」をけん引 川口春奈に訪れた“遅い春”

低調のNHK大河「麒麟がくる」をけん引 川口春奈に訪れた“遅い春”

 初回こそ視聴率19・1%と好発進したものの、第4回以降は13%台に低迷していたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が、3月1日放送の第7回で15・0%と大きく巻き返した。この回のタイトルは「帰蝶の願い」で、“前半で最大の見せ場”だったといわれている。

 話の流れはザッとこんな感じだった。駿河の今川義元(片岡愛之助)を警戒する織田信秀(高橋克典)が、美濃の斎藤道三(本木雅弘)と和議を結ぶことを決め、そのために嫡男・信長(染谷将太)の妻に道三の娘・帰蝶を迎え入れることを申し出る。そこで、帰蝶が幼なじみでほのかな恋心を抱く光秀(長谷川博己)に自身の尾張への嫁入りを止めてほしいと懇願する。この“懇願シーン”が話題となった。

 放送終了後、NHKには〈帰蝶の涙が思わず抱きしめたくなるほど美しかった!〉〈帰蝶役が芝居のできる川口さんで良かった〉などと、川口春奈(25)の演技を絶賛する声がたくさん寄せられたという。沢尻エリカ(33)の代役として“緊急登板”したにもかかわらず、座長の長谷川博己(43)を食うような存在感を見せつけている。

■石原さとみと同等のCM出演料に

 追い風に乗った川口はCM業界でも破竹の勢いだ。昨年から「カルビー」や「ヤクルト」「味の素」といった大企業8社とCM契約を結んでいたが、今年に入ってネイル予約アプリ「ネイリー」、製薬会社「ノバルティスファーマ」の出演も決まった。「麒麟がくる」の出演によって好感度が増し、川口のCMスポンサーはさらに増えそうだという。しかも、「これまで1本当たり2500万~3000万円だった川口さんの年間出演料は、石原さとみさんと肩を並べる4000万円程度にアップしそうです」と広告代理店関係者は語る。まさに、帰蝶恐るべし!

 川口の一人勝ち状態はCM契約だけにとどまらない。今年1月31日にユーチューバーデビューすると、川口のチャンネル「はーちゃんねる」が約1カ月で登録者が80万人を突破する勢いなのだ。530万回近い再生回数を記録した2月2日投稿の「実家でお母さんに会ってきた!【Vlog】」を試しに見ると、長崎県五島列島の実家で母親と何げない会話をしたり、甥っ子をあやしたり。正直、何がいいのかサッパリ分からない。2月23日投稿の「みんな気になってるアレやコレについて答えてみた」はさらに新味がなく、川口が肌の手入れ方法やストレス発散法について語るというものだった。

「川口さんはCM好感度がすごく高いのに、これまでの主演ドラマの視聴率は軒並み低調でした。それは、女優としての力量が備わっているのに作品に恵まれなかったということが考えられます。派遣先企業の上司と不倫するOL役とか、生活保護を受ける母子家庭の美少女役とか、魅力が十分に伝わりにくい役柄が非常に多かったように感じます。そんなところに舞い込んできたのが『麒麟がくる』の帰蝶役だったわけです。沢尻さんの代役とはいえ、時代劇の悲劇のヒロインという役柄は、まさに彼女の魅力が存分に生かされる適役だったということが言えるのではないでしょうか」(ある演出家)

 川口は来年のNHK朝ドラのヒロインの有力候補にも浮上した。代役から、沢尻を超える日が目前に迫っている。

(芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄)

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※視聴率はいずれもビデオリサーチ調べ、関東地区