ハーモニカの気持ちわかる? 「モノノコエ」

引用元:夕刊フジ
ハーモニカの気持ちわかる? 「モノノコエ」

 【週間BSマップ】★モノノコエ <3月7日(土)午後10時BSフジ>

 「擬人化」という手法は昔からあるもので、当然落語にもあります。代表的な噺としては「疝気(せんき)の虫」でしょうか。昭和の名人、古今亭志ん生師匠の録音が残っています。ちなみに私の師匠、志らくも十八番としてやっております。

 これはどういう噺かと言いますと、疝気というのは男の下の病のことなのです。その病を、人に見立てるわけです。人の体を蝕む悪いやつのはずなのに、やたらとかわいかったりして。擬人化というのはきっと古今東西にある魅力的な表現方法なんでしょうね。

 7日午後10時からBSフジで放送されるのが「モノノコエ」です。

 モノの気持ちを声にした、モノ目線の擬人化ドラマです。

 単純に言ってしまうと、身近にあるモノの、あまり見たことがない製造工程のリアルな現場からモノの誕生秘話を届けてくれます。主人公は人間ではなく、モノ。身近なモノへの愛着が深まりそうな、オムニバスコメディーです。

 7日の初回放送に出てくるのは卓球のボール、ハーモニカ、剣道の防具です。これ、映像を見ているだけで面白いんですよ! ハーモニカのできるところなんて見たことあります?

 ハーモニカというのは、種類にもよるんでしょうが、テンホールの単純なものだと五千円もしないくらいリーズナブルなものなんですよ。それが、まさかあんな工程で作られているとは!

 剣道の防具なんか、あまりにも手間暇かかっていて、剣道やっている人はこの映像を見たら申し訳なくてこれから胴を打つのを躊躇(ちゅうちょ)してしまう可能性もありますよ!

 そんなモノたちが軽い口調で喋ってくれるんですから、楽しいに決まっています。

 声の出演は、コントで大人気のお笑いコンビ、シソンヌ。そして、大人気声優で、歌手としても活躍する水瀬いのり。この番組を見ると、身の周りにあるモノが次々にシャベリ出す可能性、十分ありますな。(立川志らべ)