メイド喫茶に地下アイドルも…秋葉原“アイドルの聖地”断末魔の叫び【現場リポート】

メイド喫茶に地下アイドルも…秋葉原“アイドルの聖地”断末魔の叫び【現場リポート】

「コロナショック」は“アイドルの聖地”秋葉原も直撃している。

 4日(水)の午後8時、いつもなら平日でも海外からの観光客やサラリーマンでごった返す秋葉原駅前は閑散としていた。寒空の下、中央通りでメイド喫茶のチラシを配るメイドたちも所在なげ。聞けば「いつもの半分以下しか人がいない。お店もガラガラ」と言い、店から指導されているらしく、皆一様にノーマスクで通行人に笑いかける姿がイジましい。

 秋葉原に常設劇場を持つ「AKB48」は、先月26日に「3月11日までの主催コンサート、劇場公演、イベントに関して中止または延期」といち早く発表。“最強地下アイドル”「仮面女子」は、秋葉原カラオケパセラ最上階の劇場を拠点にした「毎日公演」がウリだが、先週までは公演を続けていたものの、今週に入り、4日から13日まで臨時休演を発表した。

 セクシー女優が参加するアダルトショップのイベントも、グラビアアイドルのイベントも軒並み中止や延期。秋葉原の大手イベント会場関係者はこう語る。

「2月下旬から主催者側からのイベント中止の連絡が相次いでいます。うちは会場を貸すだけですが、運営側は大変だと思います」 メイド喫茶に地下アイドルも…秋葉原“アイドルの聖地”断末魔の叫び【現場リポート】 休演のお知らせをする「AKB48劇場」や「仮面女子」の看板(C)日刊ゲンダイ

それでも中止できない地下アイドル

 しかしながら、都内で複数の地下アイドルのイベントや撮影会を運営している会社の関係者は、イベントや撮影会を中止せず、お客にマスク着用やスプレーでの消毒をお願いしたうえで継続しているという。その理由をこう語る。

「うちのような小さいところは、公演での物販のあがりや撮影会の参加費などでギリギリのところでやっていますから、やめることができないんです。1公演で集客15人、客単価5000円としても売り上げは10万円にも満たない。そこから会場費やスタッフの給料を支払いますから。でも集客は半分くらいになっていますね。ちなみに今は、握手や体を密着させてのツーショットチェキはお断りしています。撮影会のほうが参加費が高い(1万5000円)ので公演より若干おいしいんですが、そちらも常連客のキャンセルが増えていて大変です。いつまでこうした状態が続くのか……うちにとっては死活問題です」

 秋葉原で複数の“コンセプトカフェ”を展開する経営者にも聞いてみた。

「先月末にテレビで“メイドカフェがピンチ”という企画に協力したら、ごぶさたしていた常連さんに来ていただいて、一時的に回復しました(笑い)。しかしその後は厳しいですね。店の女のコは声優やコスプレーヤーの活動をしているコもいて、そのプロデュースもやっているんですが、3月21日から開催予定だった『AnimeJapan2020』が中止になったのも痛手です。3月の売り上げは半分くらいになってしまうかもしれません」

 メジャー、マイナー問わず、アイドル業界を直撃するコロナ禍。一日も早い終息が待たれるばかりだが――。

(取材・文=平川隆一/日刊ゲンダイ)