渋川清彦、化け物になる父に「共感」…松本穂香とダブル主演映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」6日公開

引用元:スポーツ報知
渋川清彦、化け物になる父に「共感」…松本穂香とダブル主演映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」6日公開

 俳優の渋川清彦(45)が、女優・松本穂香(23)とのダブル主演映画「酔うと化け物になる父がつらい」(6日公開、片桐健滋監督)でアルコール依存症の父親役を好演している。ダメな父親として描かれているが、「共感できるところは割と多い」と理解を示す。4歳の息子を持つ父親として、お酒のこと、父親像、50歳への目標を語った。(増田 寛)

 2019年、渋川は映画「閉鎖病棟―それぞれの朝―」(平山秀幸監督)で、根っからの悪役を好演した。今作でも雰囲気の違う“クズ役”を演じるが、「芝居ですから、こういう役に思うところはないです。でも、僕にそういう役を振りやすいんじゃないですかね」とあっけらかんと語る。

 週末はほぼ必ず記憶を飛ばすほど飲んで帰ってくるアルコール依存症の父役。玄関でぶっ倒れ、嫁と娘に引きずられながら寝床に就く。絵に描いたような“ダメな父親”だが、「共感できるところは割と多い」と語る。

 「僕はウイスキーと焼酎を飲むことが多くて、酔っ払うとよく話すようになる。この役ほどひどくないけど、自分もたまにこういうことはあるみたいで。気持ちは分からなくもない。居間で寝ていたりとか、寝ている子供をワシャーっとなでたりとかしちゃうみたいです」

 酔っ払った演技をするために、監督にお酒を飲みながら撮影することも提案した。「次のシーンに影響がなければウイスキーのお湯割りをちょっと口に含んでみたり。ただ、酔うことはできなかった。周りは飲んでないし、現場は緊張感がある。こっちもセリフを言わないといけないし、そこまで酔えなかったです」

 作中では仲間3人とスナックで飲むのが鉄板だが、プライベートでは“お一人さま”も多いという。懐事情もあるようで、「役者仲間とは飲まないですね。僕が年も上で、誘われないですし、誘ったら自分がお金を出さないといけない感じになってしまう。映画の出演料は本当に安いんですよ。だから最近、現場行っても飲まないんです」

 現在、4歳になる愛息を持つ。息子と一緒に遊びながらも、父ならではの悩みもある。「なかなか叱るのが難しくて。怒るんではなくて叱るんです。怒るのは自分の感情、叱るのは教育というイメージ。どういう父親がいいのか考えたりもして。友達みたいな気さくな父親もいいのかなぁ」

 そんな中でも息子との夢もあるようで、「一緒に飲めたらいいなぁ。父親と僕がお酒飲むことはほとんどなくて。オヤジがそんなに飲めないのもあるだろうけど、照れがお互いあるので、晩酌という感じにもならないです」

 渋川は今年で46歳。いわゆる“アラフィフ”の仲間入りを果たす。「目標はないです」と頬をなでつつ、「強いて言えば、『続編』をやってみたいかも。まだパート2とかやったことないんです。同じチームで続編をやってみたいです」と掲げた。

 地元・群馬に温泉付き一軒家購入の夢もかなっておらず、「超ヒイヒイ言いながらやってます。本当に大変なんですよ。ビックリする。俳優に夢なんてないですよ」と笑いながらも頭を抱える。それでも俳優はやめられないという。

 「俳優やってるのは面白いからです。お金が目的ではやってない。後からお金がついてくればいい話で。こういう役がいっぱい来る人はCMに使われないですよ。でも、こういうポジションがあるから僕に仕事があると思ってます」

 ◆酔うと化け物になる父がつらい アルコールに溺れる父を持った菊池真理子氏の同名コミックエッセーが原作。毎日アルコールに溺れる父(渋川)、新興宗教信者の母という一風変わった家庭環境で育ったサキ(松本)は、酔うと別人になる父の行動に悩まされていた。そんな中、家族の崩壊を漫画として笑い話にすることで毎日を生きていたが、ある日父に病気が見つかってしまい…。

 ◆渋川 清彦(しぶかわ・きよひこ)本名・田中清彦。1974年7月2日、群馬県渋川市生まれ。45歳。高校卒業後、ミュージシャンを目指して上京。19歳でモデルにスカウトされ、KEEの芸名で活動開始。98年の映画「ポルノスター」で俳優デビュー。2006年に現在の芸名に変更。15年に主演映画「お盆の弟」「アレノ」でヨコハマ映画祭主演男優賞を受賞。身長175センチ。 報知新聞社