「スカーレット」武志は白血病だった 試練の展開にネット涙 脚本・水橋文美江氏「覚悟決めて」執筆

「スカーレット」武志は白血病だった 試練の展開にネット涙 脚本・水橋文美江氏「覚悟決めて」執筆

 女優の戸田恵梨香(31)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「スカーレット」(月~土曜前8・00)の第131話が6日に放送され、主人公・川原喜美子(戸田)の長男・武志(伊藤健太郎)の病名は白血病と判明した。1983年(昭58)、武志は22歳。喜美子たち家族を待ち受ける試練の展開に、視聴者には衝撃が走った。脚本の水橋文美江氏(56)は“モデル”となった女性陶芸家・神山(こうやま)清子氏(83)に敬意を払い、制作陣と「十分に熟考を重ね、できる限りの配慮を胸に、私は覚悟を決めました」と執筆にあたった心境を明かしている。

 朝ドラ通算101作目。タイトルの「スカーレット」とは「緋色」のこと。フジテレビ「夏子の酒」「妹よ」「みにくいアヒルの子」、日本テレビ「ホタルノヒカリ」などで知られる脚本家の水橋氏が朝ドラに初挑戦するオリジナル作品。“焼き物の里”滋賀・信楽を舞台に、女性陶芸家の草分けとして歩み始める大阪生まれのヒロイン・川原喜美子の波乱万丈の生涯を描く。

 今週は第22週「いとおしい時間」。物語は1983年(昭58)8月に進み、喜美子(戸田)は45歳、武志(伊藤)は22歳に。11月半ば、喜美子は陶芸教室の準備を進め、武志は次世代展への応募作を完成。しかし、その間、武志は立ちくらみや鼻血など体調がすぐれなかった。

 第131話は、武志から体調の異変と病院で精密検査を受けることを告げられる喜美子。2人で病院に向かうと、担当医は前に会った大崎(稲垣吾郎)だった。詳しい検査を受け、結果を待つことに。年末、再び喜美子が武志とともに病院を訪れる。喜美子は1人、診察室へ…という展開。

 大崎「では、改めてご説明させていただきます。先日の検査結果です。やはり白血球の数値に異常が見られ、骨髄検査で染色体の異常も確認されました。武志君の病気は慢性骨髄性白血病と判明しました」

 喜美子「…」

 インターネット上には「病名を言葉で聞くと、とてつもないショックを受けてしまった」「息子の病名を宣告されたきみちゃんの気持ち思うと言葉が出てこない。結果が出るまで何もない何もないって、どんだけ心の中で祈っていただろうかとか」「武志は子供の頃から見ているだけに、身内みたいに涙目だわ」「涙目で通勤している。涙目で仕事すると思う」「わたしが泣くことじゃない、泣いちゃいけない気がする。泣きたいのは喜美ちゃんだ」などの書き込みが殺到した。

 「スカーレット」が参考にしたのは、信楽焼の女性陶芸家の草分けとなった神山氏の人生。長男の賢一さんが29歳の時、白血病に倒れ、神山氏は骨髄バンクの立ち上げにも尽力した。

 脚本の水橋氏は2月29日、自身のインスタグラムを更新。最終盤、シビアな展開を選んだ理由を明かした。

 「(喜美子が)陶芸家の道を歩きだしたことを表現するためには、どなたかの作品をお借りしなければなりません。あちこちから適当にというわけにもいきません。喜美子の作品はすべて陶芸家の神山清子先生からお借りすることになりました。喜美子の作品イコール神山清子先生の作品です。神山清子先生の最愛の息子さんは白血病と闘われたという経緯があります。お借りした作品ひとつひとつに、息子さんへの深い愛情とその時々の思い出、いとしい出来事が込められていることを知りました。それら大切な作品をお借りして喜美子の作品と謳っているからには、その思いに全く触れずにいることは同じ物作りの端くれとして敬意に欠けることではなかろうか。チーフ演出の中島(由貴)さん、(制作統括の)内田(ゆき)P(プロデューサー)と十分に熟考を重ね、できる限りの配慮を胸に、私は覚悟を決めました。第22週からは喜美子の人生の最終章『生きるということ』を描いていきます」

 ドラマは2月29日にクランクアップ。11カ月の長丁場を完走した戸田も「作品としては、喜美子に試練が続きます。けれど、本気で自分の人生を生きている1人の女性の姿を通して、多くの人たちに力を渡せる作品になると思うので、力強い喜美子を見守ってもらえたらいいなと思います。『しあわせのかたち』っていうのは人それぞれ。喜美子が出すその答えを、楽しみに見てもらえたらいいなと思います」と呼び掛けた。