杉良太郎「活字読んで豊かな感受性を」 『アジア国際子ども映画祭』で提唱

 歌手で俳優、杉良太郎(75)が7日、名誉会長を務める「第13回アジア国際子ども映画祭」を兵庫・南あわじ市で開催した。日本やアジアの子供から映像作品を募る祭典で、ゲストとしてEXILEのATSUSHI(39)らが初参加。杉はインターネット社会で育つ日中韓など16カ国・地域の約400人の子供たちに「活字を読んでじっくり考えることが、豊かな感受性を育てる」と力説した。

 ラグビーW杯ではサモア代表とロシア代表の合宿地として注目された淡路島が、アジアの将来を担う子供たちの希望で再び盛り上がりを見せた。

 鳴門海峡の渦潮で知られる兵庫・南あわじ市文化体育館には日中韓、ベトナムなど16カ国・地域の約400人が来場。杉は映像制作の心構えとして「議論と協調性を持つこと」と伝授し、「将来、大人になった皆さんとまたお会いしたい」と仕事での再会を願った。

 今年の募集テーマは「迷惑をかけることとは? ~自分だけが、良ければいいか? 人のことも考えてあげられるか?~」。ホームビデオで3分にまとめられた力作470本が寄せられた。

 審査も務めた杉はモンゴルの作品を例に「遊牧民の移動式住居にも太陽電池があり、室内でパソコンをやる時代」と世界規模での急速なネット社会の普及を実感した。

 その上で、迷惑行為の根源は「社会や人間に対する理解力の欠如」と指摘。ネットにあふれる莫大な情報量の影響で思考力の低下が叫ばれる中、「新聞で世の中の動きをチェックしたり、小説の一節に感動したり、活字をじっくり読むことで育まれる」と強調し、活字文化の復権を提唱した。

 最近はあおり運転による事故や神戸の小学校教師によるいじめ事件など、自分を客観視できない大人の行為に心を痛める杉。会場では来年のテーマを「私の目標」と発表し、「このテーマをよく考えると、大切なものがきっと見つかるはず」と力説。子供たちの感性と思考力が導く未来予想図に期待していた。