「PS2ソフト」は大ヒット作だけじゃない! 個人的に好きなタイトルをただただ語りたい─『ヴィーナス&ブレイブス』など忘れられない6作品を振り返り

引用元:インサイド
「PS2ソフト」は大ヒット作だけじゃない! 個人的に好きなタイトルをただただ語りたい─『ヴィーナス&ブレイブス』など忘れられない6作品を振り返り

20年前となる2000年3月4日に「PlayStation 2」(以下、PS2)が発売されました。性能の向上に加えてDVD再生機能にも注目が集まったPS2は、ゲームファン以外にも広まり、世界規模で大ヒットを遂げる名機となりました。

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このマルチメディア性もPS2が持つ特徴のひとつですが、本分はやはりゲームハードとしての部分。この20周年を機に、PS2に登場したヒット作や有名な作品の思い出を振り返る方も多いことでしょう。思い出はもちろん、ユーザー個々人で異なりますし、ひとつひとつが大事なもの。そこに優劣の差などは、決してありません。

その一方で、知名度が高い作品がSNSなどで語られやすい傾向にあります。知っている人が多いほど話題になりやすいのは、自然のなりゆきです。しかし、ミリオンヒットを飛ばした作品だけでなく、ミドルヒットや隠れた名作なども、PS2時代を力強く支えました。

そこで今回は、個人的にプレイして印象に残った作品の数々から、あえて大ヒット作などは除き、個性的なタイトルに絞って振り返ってみたいと思います。

誰でも知っている大作はもちろん、逆に誰も知らないようなマイナー作品もスポットライトを浴びる機会は意外とあるもの。だからこそ、この20周年を機に、ちょっと注目されにくい中堅層を取り上げたいと思います。「PS2には、面白いゲームがいっぱいあったんだ!」と、改めてお伝えできれば幸いです。

◆ビジュアルに一目惚れした『ボクと魔王』、どこか愛嬌がある魔王「スタン」が可愛い

PS2は互換性があったので、購入直後はPSソフトの方を継続して遊んでいました。そんな当時の筆者が初めて遊んだPS2のRPGが、この『ボクと魔王』です。可愛いのにどこか不安な気持ちにも駆られ、それでいて愛嬌さもある独特のキャラクターデザインに惹かれて、ほとんどパッケージ買いに近い状況で購入。しかしその判断は、プレイを通じて正しかったと実感しました。

かつて名を馳せた「大魔王ゴーマ」の(自称)生まれ変わりである「スタンリーハイハットトリニダード14世」、略して「スタン」と共に、世界に蔓延るニセ魔王を倒す旅に出かける主人公・ルカ。優しくも控えめで、どこか影の薄い少年と、自己主張こそ激しいもののどうにも締まらない「スタン」のコンビは、その凸凹感も含めて心地よい関係でした。儚げな少年の「影」に宿る魔王、というシチュエーションも、心をくすぐるモノがあります。

グラフィック表現が豊かになったPS2の性能を、写実ではなく独特のファンタジー感に傾けた舵取りで、個性と魅力が融合した見事な完成度を見せてくれました。また、いい意味でストーリーの奥深さに意外性もあるので、エンディングまで駆け抜けた思い出深い作品です。ゲーム面を調整したリメイク作が出てくれれば、間違いなく買います!

◆設定も展開もエンディングも過酷な『ドラッグオンドラグーン』シリーズ! でも、それがいい!
一作目が見つからず…すみません…
スクウェア・エニックスの作品と言えば、王道的な作品が多いイメージもありますが、『ドラッグオンドラグーン』『ドラッグオンドラグーン2 封印の紅、背徳の黒』といった個性極まる作品もリリースしており、当時のユーザーを驚かせました。

ファンタジー世界が舞台で、ドラゴンや精霊といった存在と契約を交わすことで、類い希な力を手に入れた主人公たちが活躍する物語──と表現すると、本シリーズも王道的な感じがしますが、実状はまったく異なります。

詳しく語ると長くなってしまう上に、一部表現が憚られるキャラクター(仲間なのに!)すらいるので詳細は省略しますが、主要人物のほぼ全員が何らかの喪失を味わっており、また彼らの結末も絶望的な悲痛に覆われています。その傾向は特に1作目が強いものの、敵対する相手の過去も掘り下げられた2作目の濃さもなかなかのもの。「記憶に残る作品」という言い回しが、実に似合うシリーズです。

PS3向けに『ドラッグオンドラグーン3』が発売され、設定面で繋がりがある『ニーア ゲシュタルト/レプリカント』や『ニーア オートマタ』といった作品もあるため、『ドラッグオンドラグーン』シリーズを知っている方も少なくないでしょう。ですが、PS2ソフトを語る上で個人的に外せない存在なので、今回取り上げさせていただきました。『ニーア』シリーズの10周年が近いので、関連のある本シリーズにも新展開が訪れて欲しいものです。

◆夢の競演にもほどがある! 嬉しい悲鳴をあげた『NAMCO×CAPCOM』

昨今では作品やメーカーの垣根を越えたコラボレーションも珍しくありませんが、当時はまだ希少な時代。しかも、メーカー名をそのままタイトルに盛り込んだ『NAMCO×CAPCOM』は、文字通り“社名を背負った作品”と言えました。

その意気込みは作品の中にも現れており、総勢200以上のゲームキャラクターたちが登場し、シミュレーションRPGという舞台で大暴れ! 各キャラの特徴を落とし込んだバトルシーンはドット絵で描かれているので、「風間仁」や「御剣平四郎」がドット絵で戦う貴重な姿も拝めました。

しかも本作のバトルは、コンボを繋げることで「ダメージの増加」や「必殺技」の発動が狙いやすくなるといった要素も。ただボタンを押すだけでない面白さが、多数参戦するキャラクターたちの魅力を更に引き出し、長所の相乗効果でより大きな楽しさを生み出します。

オリジナルキャラも魅力的で、コラボ作品も枚挙に暇がないほど多く、それぞれの個性もしっかりと際立っている『NAMCO×CAPCOM』。後にシリーズ展開も果たしましたが、そちらは3DS向けなので、大画面で楽しめないのが少々残念なところ。PS5向けの新作があれば、泣いて喜ぶ勢いです。あ、それと「ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 withシャオムゥ」の単体配信もお願いします!

<cms-pagelink data-text=”爽快感と歯応えが両立するアクションRPGや、100年の歩みが切ないシミュレーションRPGも!” data-page=”2” data-class=”center”></cms-pagelink>

◆多数をなぎ倒す爽快アクションと、高LVキャラに挑む“足掻き”も楽しい『シャイニング・フォース ネオ/イクサ』
こちらは『ネオ』が発見できず…
当時気になっていたけれどプレイする機会がなかった『ロードス島戦記 邪神降臨』の流れを汲む作品として『シャイニング・フォース ネオ』のことを知り、早速手を出してみたところ、アクションの小気味よさに陥落。その続編となる『シャイニング・フォース イクサ』ともども、お気に入りの作品となりました。

見下ろし型の視点で、数多の敵をなぎ倒すアクションRPG形式の本シリーズは、装備やLVアップによる戦力強化に加え、ハック&スラッシュ要素もあり、爽快感が満点。また、ちょっとルートを外れて進むと、高LVの敵がごっそり現れて一発昇天するなど、侮れない緊張感もそこかしこにありました。

この、LV差のある敵をどうやって倒すかに燃え、少し育成が進むたびに舞い戻り、「うーん、まだダメか…」「あとちょっとでいけそうだな」と模索するひとときもまた、楽しい時間のひとつでした。

そして、前作の魅力を受け継いだ『イクサ』は、「トウマ」と「シリル」のダブル主人公制に。シリルはボウガンも使えたため、LV差のある強敵を遠距離で射殺する楽しさと、一瞬のミスでやられる緊張感を存分に味わえ、こちらも印象に残る作品となりました。

ちなみに、ゲーム進行に則ったルートを進んでいけば、LV差の大きい敵と戦うことはありません。決して、無茶なLV差を覆すのがゲーム性の主軸ではなく! ですが、そういった無茶なプレイを許容する懐の広さも、本シリーズが持つ魅力のひとつでしょう。

◆衝撃的な“5センチメートルジャーニー”『ボクは小さい』
口コミに惹かれ、ベストコレクション版でプレイしました
長いゲーム史の中には、個性豊かな作品が数多くあります。決して主流にならない切り口でも、しっかりとしたゲーム性を備えて魅力へと昇華した作品も少なくありません。この『ボクは小さい』も、稀有で素晴らしいゲームのひとつです。

洋館全体を舞台とするゲームはいくつもありますが、本作の舞台は日本の標準的な一軒家のみ。非常に狭い範囲と思われるかもしれませんが、しかし実状はまったく異なります。というのも、主人公の大きさはわずか5cm。そのため相対的に、4LDKの家屋が相当な広さとなります。

本作の目的は、この家屋で助けを待つ仲間を救出しながら、指名手配中の凶悪犯を捕らえること。しかし、巨大過ぎる家の中は、行きたい場所に移動するのも一苦労。人間サイズでは想像もしない経路を使って移動する醍醐味は、初めて味わう新体験でした。

住人達の生活や会話をこっそり覗くのも刺激的ですし、ゲームを進めていくことで時間移動も可能になり、そこから新たな発見に辿り着くのもまた楽しい。ちょっと視点を変えるだけで、日常にある非日常が垣間見えてくる──そんな、新しい扉を開けてくれたゲームでした。

『ボクは小さい』の影響で、ハードは異なりますが、同じく「家」を舞台とした『ちびロボ!』にも手を出し、こちらも非常に楽しいひとときを堪能しました。家の中を大冒険するゲームは希少ですが、このジャンルに外れなし! と言いたくなるきっかけとなった『ボクは小さい』。個人的なPS2史に残る名作です。

◆戦闘が面白い! 100年の歩みが切ない! 台詞も印象的な『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』

それぞれの列で行動内容が変化する「3列×4マス」のフィールドに7人のメンバーを配置し、戦況に合わせて隊列を入れ替える「ローテーションバトル」を採用した『7~モールモースの騎兵隊~』。

敵が誰を攻撃するかといった一部ランダムの要素はありますが、事前に決定する隊列の配置とローテーションのタイミングが戦局の大半を握っており、戦力の分析と戦略から導き出す計算が、勝利という結果に辿り着いた時の達成感は並みならぬものがありました。

この「ローテーションバトル」の楽しさを提案した『7~モールモースの騎兵隊~』は、バトルと育成が主軸で、チュートリアルを兼ねた物語は比較的あっさり風味。ですが、「ローテーションバトル」を受け継ぎ、物語面をたっぷり膨らませた『ヴィーナス&ブレイブス』が、約2年後に登場しました。手応えのあるゲーム性と物語が結びついて、面白くないわけがありません。

しかも『ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~』は、設定やシチュエーションも秀逸。不老不死の主人公「ブラッド」は、100年後に訪れる災厄に立ち向かうべく、多くの仲間たちを率いて戦いや育成に励みます。しかし、人の寿命は限られており、戦闘に耐えうる最盛期は更に短め。早ければ数年単位で、出会いと別れを経験することになります。

ゲーム開始直後から、戦力外の騎士を団から外したり、ブラッドを慕う少女の気持ちに応えられず、彼女が別の仲間と結ばれた姿を見送るといったシーンが続々と。「退団」などのチュートリアルを兼ねているとはいえ、ブラッドの孤独を存分に表現してくれます。

ですが、別れだけではないのが、『ヴィーナス&ブレイブス』の憎いところ。戦力外通告をした騎士のその後を意外な形で知ることができたり、引退した団員の息子や娘が入団希望者として訪れたりと、新たな出会いに繋がる時も。切ない別れと嬉しい出会いの折り重ねが、本作の思い出をより深いものにしてくれます。大事なのは間合い、そして引かぬ心──そんな名台詞も忘れられない、100年の“重み”が“絆”となる作品です。

今回は、以上の6本をピックアップさせていただきましたが、この他にも数多くの作品がPS2を彩りました。名作からマイナー作まで、その幅広さも魅力のひとつ。当時と違い、今はインターネットが非常に身近な存在となっているので、お気に入りの1本をSNSで語ってみたり、他のユーザーの思い出を辿ってみてはいかがでしょうか。

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