新型コロナ“予言”小説の恐怖の中身

引用元:東スポWeb
新型コロナ“予言”小説の恐怖の中身

 ウイルス兵器“武漢400”が、人々を恐怖のドン底に突き落とした!! 世界中に広がっている新型コロナウイルスの猛威を、まるで予知したかのように描写したサスペンス小説が、1980年代に米国で出版されていた。著者は米ベストセラー作家ディーン・R・クーンツ氏(74)で、作品タイトルは「ジ・アイズ・オブ・ダークネス」(日本語版「闇の眼」)。新型コロナによる死者が出た米国のSNSで、大きな話題となっている小説は、いったいどんな中身かというと――。

 30年以上も前に、今まさに世界を震撼させている中国・武漢発の新型コロナウイルスによるパンデミックを知っていたかのような小説が出ていた。物語のカギは、中国・武漢の生物研究所で人工的に開発されたウイルス兵器“武漢400”というから、仰天するしかない。

 ストーリーは、米国でキャンプに出かけた若者たちや引率者らが全員行方不明となり、死亡したとされたが、その約1年後、キャンプに参加した1人の少年の母親のもとに「あなたの息子は生きている」という謎のメッセージが届いたことで、一気にサスペンスフルな展開に。少年の母親は、生きていると知らされた息子と、事の真相を探るべく奔走するというものだ。

 その中に登場するのが“武漢400”と名付けられた致死率100%のウイルス兵器だ。

 中国・湖北省武漢の郊外にある生物研究所で開発されたという設定。しかも、小説では、そのウイルス兵器が数千人の命を奪うという展開から、ちまたで噂される“あの”陰謀論を連想させる。著者・クーンツファンを中心に、SNSで大きな話題になっている。

 現実には、武漢中心部から約32キロ離れた場所に中国の「国家重点実験室」と位置付けられる中国科学院武漢ウイルス研究所が存在している。そのため、武漢で新型コロナのアウトブレークが始まったころから「あの研究所から人工的に作られたウイルスが意図的か、もしくは事故によって漏れて感染が広がったのでは?」との陰謀論がネットで拡散された。

 これについては米科学誌「サイエンス」の発行元でもある米科学振興協会がホームページで「中国を除く世界的な公衆衛生学の科学者27人」が、人工的に作られたウイルスによる陰謀説を完全否定し、提唱者を糾弾する共同声明を発表したと2月中旬に伝えている。

 そんな中、米オンラインニュースサイト「インターナショナル・ビジネス・タイムズ」は、いま起きている現実と、思わず勘違いしてしまいそうな同小説の一部分を紹介している。

「それはちょうど、リー・チェンという中国人の科学者が、過去数十年にわたり中国で研究された、最も重要で危険な生物兵器の情報が収められたフロッピーディスクを持って米国にやってきた頃だった。それは武漢郊外にあるRDNA研究所で開発されたことから“武漢400”と呼ばれた」という部分だ。

 小説では“武漢400”という人工的に作られたウイルスによりパンデミックが勃発するという展開だが、発端となった場所も、ウイルス感染という点も現実とピンポイントで一致していることから話題になったというわけだ。

 ちなみに、作者のクーンツ氏は今のところ新型コロナ禍についてコメントしていない。

 実はこの小説、1981年に初版が刷られたが、当時の設定は中国ではなく、冷戦下で米国と対峙していたソ連で、生物兵器名も“武漢400”ではなく“ゴルキ400”というロシア語風だった。ところがゴルバチョフ政権以降、米ソ関係が改善したことから、89年に作者は設定を中国に変えたという裏話もある。

 今回の新型コロナの蔓延が終息した後に、改めてハリウッドが映画化するかも…。