宝塚音楽学校がコロナ厳戒態勢の下、卒業式…保護者の“マスクの花”に見守られ精いっぱい華やかに

宝塚音楽学校がコロナ厳戒態勢の下、卒業式…保護者の“マスクの花”に見守られ精いっぱい華やかに

 新型コロナウイルスの感染防止策として安倍晋三首相の要請を受け、全国の小中高校で2日、臨時休校が始まった。突然の表明から週末を挟み4日後の実施。混乱が続く中、各校は子供を預かったり問い合わせなどへの対応に追われた。また開催時は感染防止など万全の対応を求められた卒業式も各地で行われ、兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校では来賓らに出席制限やマスク着用を要請。厳戒態勢の下、卒業生39人が別れを告げた。

 黒紋付きに深緑色のはかま姿。その周りには、マスクの花が咲き乱れた。

 宝塚音楽学校の卒業式。第106期生の39人は小林公一校長(60)に1人ずつ名前を呼ばれると、はつらつとした声で返事をし、両手で卒業証書を受け取った。小林校長から「みなさんは令和最初の卒業生です。受け継がれてきた伝統を今の形に適した形で次の世代で引き継いでくれました。心より敬意を表したいです」との言葉を贈られ、笑顔でうなずいた。

 2年間に及ぶダンスや歌唱、礼儀作法…。厳しい稽古漬けの日々を乗り越えた未来のタカラジェンヌ。例年なら華やかな雰囲気の中で巣立ちの時を迎えるが、今年は厳戒下での挙式となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大のため、宝塚歌劇団では2月29日から3月8日まで公演の中止を決定。一方、卒業式は学校側が「生徒のため」として実施を決めたが、厳重な感染防止策も実施。

 参加者数を制限し、保護者の出席は卒業生1人に対し、2人まで。来賓数も3~4割程度に減らした。さらに来賓、保護者、報道陣にはマスク着用を義務付けた。卒業生や在校生は「君が代」「仰げば尊し」などを歌唱するためマスクをしなかったが、恒例となっている在校生から卒業生へブーケを手渡すセレモニーが中止された。

 1913(大正2)年に創立され、100年を超える伝統と歴史を誇る同校では異例の事態となった。それでも、主席で卒業生総代の平野花奈さんは式後、「こうして卒業式を無事終えられてうれしい気持ちでいっぱいです。セレモニーが中止になり残念な気持ちもありますが、コロナウイルスの一日も早い収束を願っています」と笑顔で語った。

 第106期生は、4月24日開幕の宝塚歌劇団月組公演「WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-」「ピガール狂騒曲」(兵庫・宝塚大劇場)で初舞台を踏む。